出張回想録Vol.12
わくわく、どきどき、はらはら、うるうる、ほかほか、マサイマラ!
わくわくマサイマラ
ケニア取引先への訪問後、軽めのランチを取りナイロビ・ウィルソン空港へH所長のランクルで移動。今回の出張で一番楽しみにしていましたマサイマラ国立保護区にゴー!
パイロットは陽気なイギリス人、飛行機は4人乗りの小型セスナ機。
初となるセスナ、とても楽しみ、
飛び立つといきなり眼下に広がるナイロビ国立公園、野生動物の姿がチラホラ、ケニアの大地、広大なサバンナの風を感じながら一路マサイの聖地を目指しセスナはケニア南西に向け急上昇。雲の切れ間から見え隠れするサバンナの大草原を眺めながら30分位ほど飛ぶとパイロットが無線で何やら慌ただしくどこかとやり取り。非常事態発生⁈
どきどき、マサイマラ
ナナナナなんと、目的地マサイマラ上空に雨雲の塊りがあり、降下できないとのこと。
なので、着陸予定だったキーコロック滑走路/マサイマラから少し離れたエアー・ストリップ(仮設滑走路)に着陸し、ホテルから迎えが来るまで待つようにとパイロットより指示がありました。確かに先ほどよりモクモクとした黒い雲の間を避け、お尻がムズムズするアップダウン飛行。
まるでジェットコースター!
結構こわい〜、笑いそう〜、
ふとパイロット見るとタバコを咥え足でリズムを取りながら余裕の操縦。。
雨雲の切れ間を縫って一気に急降下⤵︎
予定の空港とは異なる草原を切り拓いただけのデコボコ滑走路にモコモコと土煙を巻き上げ無事に着陸。
全身から汗が拭き溢れビッショリ、
胃が天地返しでキュンキュンしている。
逆流した血が全身に巡るのを感じながら、
セスナからヨタヨタと降りると、パイロットから「ここはスコールが来ないけど、早く帰らないとナイロビに戻れなくなるので直ぐ行くね!ホテルには迎えに来るように無線連絡をするから問題はナシ!“Don't eat it”そんじゃ!」と言い残し、そさくさと飛び立って行きました。
なに〜?
「Don't eat it!」「食べられるなよ?」
はらはらマサイマラ
機体を揺らし飛んでいくセスナが見えなくなり、改めて周りを見渡すと広大なサバンナの平原にH所長と2人ぼっち。
一難去ってまた一難!
あと数時間で日が暮れるが、
こんな所で、いつまで待つのか?
パイロットはホテルに連絡したのか?
本当にホテルから迎えが来るのか?
ジャングルで野宿できるのか?
野生動物に襲われないのか?
様々な不安が頭を駆け巡りました。
冷静に考えても考えなくても、マジやばい状況かも?
携帯電話も衛星電話も糸電話も無いこの時代、ただひたすら待つことしか出来ない。
キツネ目の上司からレクチャーがあった今風で言うBCP(持続継続計画)にも全く無い展開、想定外!
うるうるマサイマラ
長年ケニア駐在のH所長も徐々に笑顔が薄れ、夕闇迫る上空をぼ〜っと眺めています。遠くで野生動物の鳴き声が耳鳴りのように聞こえ辺りがドップリと暗くなってきた頃、遥か彼方より一粒の光が徐々にこちらに向かって近づいて来た。
「バイク?自転車?ライオン?天使?」
一台の片目ライトのジープでした。
「やっと来たー!」
イスラム教徒では無いけど、「インシャラー!神さま〜!」思わず口から溢れました。
待つこと約3時間、
とてつもなく長い長い3時間、
一生涯忘れることの出来ない3時間、
サバンナでの3時間。。。
ほかほかマサイマラ
今夜のお宿“マラセレナ・サファリ・ロッジ”より、ようやくお迎えが来ました。
遅くなったことへのごまかしか、暗闇の中、白い歯しか見えないドライバーは陽気な声で、「jumbo!」「飛ばして来たよ!」
「どこから来たの?」「お水飲む?」
連打トーク!
頭がもうろうとする中、H所長と顔を見合わせ、ジープの後部座席で握手!
とにかく、よかった〜!助かった〜!
雨雲が晴れ満天に煌めくサバンナの星を見ながら、片目のジープにてお宿へゴー!
注釈)
マラセレナ・サファリ・ロッジは、マサイマラ国立公園保護区でもっとも有名なマサイマラ・トライアングルの中心にあり、高台からは広大なサバンナの大地やマラ川を一望することができる数少ないホテルです。部屋は全てロッジ風で窓からは隣国タンザニア側のセレンゲティも眺めることが出来ます。
予約は1年待ちの超人気ホテルですが、H所長のコネで予約をしていただきました。H所長も長年ケニアに居ますが、このロッジに泊まるのは初めてとのことでした。
部屋はマサイ族の住居を似せたロッジ風で、調度品もそれっぽい物でコーディネートされていました。即、カバンからマラリア対策の蚊取り線香を取り出して火をつけました。もちろん、ホテルにも備え付けの蚊取り線香はありますが、余り効かないので日本物を使います。
ディナーは観光用マサイ族のダンスを観ながらビュッフェスタイルでの夕食。キリッと冷えたタスカービールを飲みながらH所長と、とても長かった一日を噛み締めました。
その夜は安堵と興奮が入り混じり、なかなか眠れなかったです。
つづく、、、、、、、、、、、、