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出張回想録Vol.9

地図にも無い小国ジャパン
サウジ地方都市の小中学生用教材の世界地図にはこの当時、残念ながら東洋の小国日本は表記されていない。そんな地図にも無き小国の日本が経済大国へと成り上がったのは、良くも悪くも多くの企業戦士がガムシャラに世界を駆け巡り“メイドインジャパン”の信用信頼を勝ち取らなければ、地図にない日本などサウジの片田舎では誰も知らない国でした。

待ってました!予定変更
王子との熱烈歓迎ランチ会を終え、日没前にホテルに戻り部屋でシャワーを浴びていると、商談を終えたM商社ジェッダO所長より電話があり、明日の1日2便しか飛ばないジェッダ行き午前便の飛行機が機材トラブルで欠航になり、これから車で夜通し約10時間掛けてジェッダに戻るとの楽しい連絡でした。
私は明日、夕方便でナイロビ行きの飛行機に乗らなくてはならないので、車での移動の選択しかありませんでした。そんなこんなで、いそいそと身支度をし手配されたドライバー付きミニバンに乗り込みアブハを出発したのは、9時pmを過ぎた頃でした。
「中近東やアフリカでは、予定変更の予定変更は普通の普通、臨機応変に対応しないと仕事にならないよ」『大したことはないよ!“マアレーシュ”キツネ目の上司の声が頭の中を駆け巡りました。

IBMはアラブの文化
中東諸国でビジネスされる方々はご存知ですが、アラブではIBMには注意するようにと言われます。IBMとは「I=インシャーアッラー」「B=ボクラ」「M=マアレーシュ」の3つの言葉で、外国人がアラブ諸国で仕事・生活する際にこの言葉を聞く度にストレスを感じると言われています。
「インシャーアッラー」は『もし神が望むなら!』、「ボクラ」は『明日!』、「マアレーシュ」は『大したことではない!』という意味です。この言葉をアラブ人が言い出すと物事がなかなか前を向いて進まなくなり外国人がストレスを感じるみたいですが、私的にはこのIBMの3つの言葉はイスラム教のアラブ文化を象徴する言葉だと思います。「あくせく生きてもしかたない」「神のみが知る」「明日は明日の風が吹く」「どうにかなるさ」「ありのままに」、「Let it Be」的なアラブで生き抜くためには、とても大事な言葉だと今回の訪問で強く感じました。

さらばアブハ、また来る日まで
アブハの夜景が遠ざかるに連れて、短かい滞在ではありましたが、取引先親分・彼との再会や色々な方々との出会いがとても懐かしく思えました。欧州から途上国に担当が変わった時に、キツネ目の上司より「皆んなが滅多に行けないとこにいっぱい行けるぞ!」との励ましの言葉をいただきましたが、ほんと、こんな所に来られるなんて、「サウジだけにメッカにないことだ」と痛感しました。

アブハから一路ジェッタへ
見渡す限り何もない漆黒の闇、街灯もないハイウェイをひたすらジェッダに向かう深夜ドライブのミニバンな中では夜通し、ソマリ人商社スタッフよるイスラム教徒ムスリムの生活の基本となる、信ずべき6つの信仰箇条と5つの義務「六信五行」についての講義が繰り広げられていました。信仰を持たずに、へいへいほーと生きてきた私にとっては、とても新鮮でした。信仰パワー恐るべし!

途中、深夜ドライブインでハーシー(牛肉っぽい味のラクダ料理)とマタジス(ラムと野菜をスパイスで煮込んだ料理)をアッラーの神に感謝を捧げいただきました。とてもスパイシー&ヘルシーで美味しかったです!
朝靄の中、ジェッダに着いたのは朝の8時頃でした。M商社O所長宅で仮眠をとりジェッタ事務所にて今回の商談結果をまとめ、日本への報告書と不要書類一式の発送をお願いし、皆さまに別れを告げてジェッダ国際空港(キング・アブドゥールアズィーズ国際空港)に向かいました。ジェッタ国際空港はとにかく広大で、行先ごとの巨大ターミナルが幾つもあるので、間違えるとターミナル間の移動だけでも小一時間を要します。ドライバーには、行先を告げていたのですが、期待通り間違え空港でのチェックインがギリギリとなりました。「マアレーシュ」大したことないさ!

いよいよアフリカの地へ
ジェッダよりケニア首都ナイロビのジョモ・ケニアッタ国際空港までの飛行時間は10時間ほどのフライトだったと思います。途上国では仕事だけではなく、昼夜を問わず様々な事に気をつけないとトラブルに巻き込まれるリスクが非常に高く緊張の連続です。そんな中で移動の飛行機内は唯一、心安らぐことのできるオアシスです。ヨルダン〜サウジと初のアラブ国への出張で疲れていたのか、飲めなかったビールを久しぶりにグビグビ飲み、食後にオールドパーを胃袋に流し込むと、一気に深い眠りに着いてしまいました。
つづく、、、、、、、、、


いくど、マザーアイランド「アフリカ」!

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