コンプライアンス態勢の構築ってなんだろう
今日は金融事業者にとってのコンプライアンス態勢の構築についてお話ししてみたいと思います。noteでは金融庁のガイドラインや法令など、読めば誰でも分かるというようなことを書くつもりはなく、実体験から得たものを書いていこうと思います。
コンプライアンス態勢って?
コンプライアンスというのは「法令遵守」なんて言われますけど、法令遵守という言葉でコンプライアンスを話す時代ではなくなったと思っています。
コンプライアンスとは「社会の目」だと思うのです。みなさん、法律を犯したり、「オレオレ詐欺」や「闇バイト」で得た金銭は不当な利益で社会的に許してはいけないと思いますよね?それと同じように、法律を守っていれば何をしてもいい、というのはもうすでに時代錯誤になっていると思うので。法律は時代に先んじて制定されるものではなく、必要に応じて制定されるものですから、法律が求めるものよりも「社会の目」の方が時代の先を行っているのです。
大企業や資金が潤沢にある企業は、それこそコンプライアンス態勢を構築するのに、人財もいる、資金もある、なんでもできる状態です。それでも、数年前に某メガバンクがATMトラブルを起こして業務改善命令を受けた。人がいても、それは人材であって人財ではないと大企業で働いて思いました。資金があっても形式で満足するから大問題を起こす。つまり彼らは「その地位に安住していて『社会の目』を意識できていなかった」それでも某メガバンクは営業を続けられる。それが不条理だよなとも思います。
Fintechスタートアップが目指すコンプラ態勢とは
彼らが目指すべきコンプラ態勢とは、前段に書いている通り、社会の目を意識した態勢を構築することです。この社会の目は、先ずもって当然に法律を遵守することができていることです。ですがあの難解な法令やガイドラインを読みこなすのは大変です。だからこそ、我々のような金融コンプラを経験した人が必要なんですよね。
でもマーケットにはそんなに転がっていないし、経験者となると年収も張ってスタートアップではかなり厳しい。そこがスタートアップのジレンマですし、なかなか成功しない要因の一つでもあるんです。コンプラ態勢を整えるためには
でも残念なことに、得てしてコンプラに従事している人たちはコンサバな人が多い。コンサバな人たちはリスクテイクしてスタートアップにチャレンジしない。チャレンジしたとしても、あるべき論を語り、地に足つけた態勢を構築できないんです。それはビジネスを知ろうとする人が少ないから。起点が法令にあって、ビジネスを起点にしていないから。法令を起点にしてコンプラ態勢作るのって意外に簡単なんです。なぜなら投資すれば見合うものが返ってくるから。でもそれではスタートアップが成長できる余裕がない。だからこそ、ビジネスを起点としたコンプラ態勢を目指し、その中で項目ごとに何点なら許容されるのか、というのを考えていくのです。もちろんここに正解はないのですが、そこは金融庁との対話を通じて落とし所を探るんですよね。
ということで次回は金融庁検査についてお話してみようと思います。