地球が割れた話
「地球が割れたらどうなりますか?」
2月11日、子ども科学電話相談を聞いていたらこんな質問があった。
この質問を聞いて私は『非現実的な仮定に対して科学的に回答するのは大切なことだな』と思った。しかし先生の回答は違った。
「地球ができてすぐのころ、大きな天体がぶつかって地球が割れてしまった。ぶつかった星のかけらと、もともとあった地球のかけらが集まって地球の周りをまわり、月となった。」
私は地球が割れたという現実を把握できていなかった。
現実の話ではあるが、現在の話ではない。46億年前、地球ができてすぐのころの話だ。
私が当初イメージしていた「地球が割れた話」は、キャベツに包丁を入れるように、球体が2つの半球になるイメージだ。
しかし、観念上の世界やギャグマンガを別とすれば、地球が二つの半球になることなど、あり得ない。地球が割れたというのは、地球が砕けた。というケースの方が正しいだろう。
46億年前、地球は割れたのである。
JAXAの探査機SLIM
1月20日、JAXAの探査機SLIMが月面へのピンポイント着陸に成功し、大きなニュースとなったことは記憶に新しい。
SLIMは世界初となる有重力天体へのピンポイント着陸だけでなく、月の起源に迫るというミッションも担っている。
天体が地球にぶつかり月ができたという話は、ジャイアントインパクト説と呼ばれ、月の起源として現在もっとも主流の仮説である。
SLIMは着陸も素晴らしかったが、月の観測データによって、宇宙の謎が解き明かされていくのも、また楽しみなことである。