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「デットファイナンス」による調達が急増

STARTUP DBの集計によると、2022年の年間を通じてのスタートアップ企業の資金調達件数は3,717件、合計金額は約1兆1,386億4,800万円でした。


2022年のエクイティによる調達は、前年から大きく落ち込んでいます。ただし、21年は親会社から子会社への大型出資を含んでいるため、それらを差し引けば大きな差はありません。


違いが鮮明に現れたのは「その他」の数字です。21年が約1,137億6,400万円だったのに対し、22年は約2,538億9,000万円でした。件数はほぼ同じですが、金額では1,400億円ほど増えました。増加した金額の大半はデットファイナンスによるものとみられます。


なぜ2022年は「エクイティ」以外の資金調達が活発になったのか。


背景には、資金調達環境に逆風が吹いたことがありそうです。ウクライナ戦争や世界の中央銀行の相次ぐ利上げなどマクロ経済の影響で、日本の株式市場も冷え込みました。


こうした状況下で、運転資金を確保するために有力な手段の一つとしてデットファイナンスに注目が集まったとみられます。


デットファイナンスは返済義務を伴いますが、原則として創業者ら既存株主の持株比率を薄めずに済むというメリットもあります。


投資家からは、「レイターステージで、24ヶ月分のランウェイ(残存資金が尽きるまでの時間)を確保しようというデットファイナンスが活発だった」といった声も聞かれます。


金融機関側の関心も高まっています。三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行のメガバンク3行がスタートアップ向け融資の体制を強化しているほか、あおぞら銀行は子会社を通じて転換社債などを引き受ける「ベンチャーデット」ファンドを新たに組成しています。




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