MDMAの本当の恐ろしさ
報道で沢尻エリカ容疑者が、合成麻薬(MDMA)の所持で逮捕されたのはご存知の方も多いと思う。芸能人が、麻薬や覚せい剤の所持・使用の容疑で逮捕されるケースは毎年あり珍しくないが、今年はすでに、ピエール瀧氏や田代まさし容疑者が麻薬取締法違反の疑いで逮捕・起訴されている。
有名人一般人問わず、覚せい剤や大麻で捕まったニュースになると、薬物が体にもたらす害も併せて報じられる。もちろん、そういった薬物の恐ろしさを伝えることは大切だし、これ以上薬物依存や使用者を減らすためにも重要。でもそれ以上に、合成麻薬MDMAの使用で及ぶ体体への影響や、誰でも気軽に手に入る点は、もっと踏み込んで周知する必要があると感じる。
そもそもMDMAって?
ほとんどの方は、MDMAという言葉は一度は耳にしたことがあるのでは。そして、MDMAには名称が付いている。すでに知っている方には恐縮だが、MDMAは、”メチレンジ オキシメタンフェタミン”と呼ばれている。白い粉末に赤・青・緑などの着色成分を入れることで、カラフルな仕上がりになる。
アメリカでは過去に、抑うつ病の患者に治療目的で投与された過去があり、大麻やヘロインに比べ依存度は低いものの、日本では違法薬物であることに変わりはない。また、別名「パーティードラッグ」とも言われている。その理由は、若者が集まりやすいクラブや繁華街で直接取引されているから付けられたとのこと。このように、特に10代~20代の若い世代を中心に使っていたり出回っている薬物とも言える。
MDMAの怖いところ
もちろん、薬物による悪影響は恐ろしいものだが、MDMAは、大麻や覚せい剤以上に厄介なものでもある。今年6月には、こんなニュースが報じられた。
「ワリオ」のようなMDMA押収 密輸入容疑で男を逮捕
合成麻薬MDMAを密輸入したなどとして、四国厚生支局麻薬取締部は、徳島市国府町、会社員岸本智志容疑者(27)=大麻取締法違反の罪で起訴=を、麻薬取締法違反(輸入)などの疑いで逮捕、送検したと18日発表した。容疑を認めているという。押収されたMDMAの大半は、人気ゲーム「スーパーマリオ」シリーズに登場するキャラクター「ワリオ」のような形だった=写真、神戸税関提供。同部によると、MDMAは近年、キャラの形をしたものもあり、「気軽に手を出しかねないデザインが増えている」として注意を呼びかけている。逮捕容疑は、3月20、21両日、スペインとオランダからMDMA計132錠やLSDを密輸。5月27日には、自宅で液状の大麻約0・4グラムと乾燥大麻約4・6グラムを持っていたというもの。同部は税関からの情報をもとに同日、岸本容疑者の自宅を捜索し、大麻取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕。6月17日、麻薬取締法違反容疑で再逮捕した。(2019年6月18日 朝日新聞)
「MDMA=丸い形をしたもの」というイメージが強いかもしれないが、このようにデザインも巧妙化していて、引用でもあったように「ワリオ」の形をしていたり、他のアニメキャラクターや、インスタ映えするようなデザインも出回っている現状。言い換えれば、ラムネ菓子によくありがちなデザインもMDMAとして流通しているという恐ろしい事実である。ある意味売人側にとしては、こうした親近感のあるデザインを用いることで、敷居を低くする狙いもあると推測する。
売人「このラムネ食べてみる~?」
受け手「おっ、けっこう可愛らしくていいじゃ~ん」
といった感じで若者を騙すことが想像できる。薬物使用の低年齢化がさらに進む可能性も否定できない。たとえ見栄えがいいものでも、関係性が薄い他人から物を貰う行為は、考え直した方がいいかもしれないかと。
薬物(特にMDMA)の危険性の周知強化を
今回、沢尻エリカ容疑者が逮捕されて、衝撃を受けた方も多いはず。私も中学生のころに、沢尻容疑者が出演していたドラマを毎週観ていたし年も近いせいか、今回のニュースをよく観察している。
当たり前だが、どんな理由であれ、薬物を使用する人の気持ちは理解もできなければ共感もできない。テレビ・新聞などで薬物の危険性を伝え続ける必要はあるが、別の視点から伝える必要があると思う。今回上記で述べたように、MDMAが誰でも手軽に手に入る点や、手口が巧妙化している点など、MDMAが日常生活の中で身近なところに潜んでいることを周知することが、薬物による被害者を減らすための喫緊の課題かもしれないだろう。
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