7/7(日)現役競馬誌記者 今週の勝負レース 小倉11R プロキオンS(GⅢ)
熊による人的被害が深刻となっている。以前、岩手競馬のある調教師と熊の話題になった。聞いたところ近所の中学校のグラウンドに出没したそうだ。一歩間違えれば大惨事を生みかねない状況ではあるが「なんでそこに至るまで気付かないのでしょうかね」とも疑問を投げかけていた。しかし地方都市というのは、昼間であっても人のいない場所がいくつもあるので、人口減少社会の悲しい行く末である。ともかく熊と対峙したところで勝ち目はないので、われわれはできるだけ遭遇しないように、遭遇したら適切な方法で退避するほかない。最後に「まあ、オレの母校なんだけどね。大谷翔平と一緒。ハハハハハ」とホームラン級の笑いが返ってきたので、私から月間MVPを贈呈しておいた。
かくいう私は熊に遭遇した経験こそないが、熊っぽいものに出合ってしまった経験がある。学生の頃、旅行会社のアルバイトで某大規模花火大会に添乗したときのことだ。その年は前日まで降った大雨で桟敷席のある河川敷のコンディションが悪く、当日キャンセルが続発していた。当日キャンセルはキャンセル料100%なので何も損はしていないのだが「おい、これをコッソリ売ってこい」とさらなる金策に付き合わされるのだった。それを学生バイトにやらせるんですからね。
上司にパシられるがままに人目の付かない場所にいき、「有料席は満席」と書かれた看板を見て肩を落とすカップルに「実は桟敷席の空席あるけどいかがですか…」と話しかける。水道橋で見た怪しいチケット売りを真似しつつ、ちょっとずつチケットをさばいていく。すると私の回りには人だかりができてしまった。「よし、これで完売だ!」と思ったところ、回りを囲んだ人たちというのは県警と商工会だった。ワタクシは、完全に包囲されている! いや皆さん熊みたいなガタイでもうホントに怖かった。あやうくお縄になるところだったが、慣れた上司が仲裁して解放。が、その後に厳重注意を受けたことは言うまでもない。旅行系の仕事はするものかと誓った夏であった。
さてこの夏、小倉で行われるプロキオンSにも巨大な熊が出没すると聞いている。ヤマニンウルス(Ours=フランス語で熊)である。プロキオンSと同じ小倉ダ1700mの新馬戦を大楽勝。今村聖奈50キロという綿アメ同然の鞍上だったにしろ、後続に4秒3というとんでもない着差で1分44秒3の大レコードを刻んだ。そして4戦全勝の成績をひっさげ、再びナツコクにやってくるのである。さて馬体重は何キロに増えているのだろうか。
これまでのスケールの大きい走りを見てもG3なら通過点という見方もあるが、ダート古馬重賞を初挑戦での突破はハードルが高い。過去2年の小倉開催はともにハイペースとなったため、スローペースの先行押し切りしか経験していない▲ヤマニンウルスには、決して楽なレースにはならないだろう。その過去2年はともに大荒れだった点を考慮しても、断然1番人気から買うのは得策ではない。とはいえ、21年メイショウカズサ、22年ゲンパチルシファーに共通するのは「小倉ダ1700mでの勝利歴」の実績で、該当する同馬を完全に無視できない。が、ここは3番手までとしたい。
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