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愛せるモノを、持たないか? 愛せるモノを、贈らないか?

「愛せるモノを、持たないか?」

大阪のレザーストア「スナワチ」さんのスローガンです。

スナワチさんには大阪に帰省したタイミングでちょこちょこうかがっています。今回の帰省でもうかがいました。今日は自分が「持つ」のではなく、人に「贈る」愛せるものが目的です。

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扉を開けると、看板犬のジョージ店長を膝に乗せた店主の前田将多さんが「ああ、どうも、こんにちは」と立ち上がって挨拶してくださいました。降ろされたジョージくんがチョコチョコと入口に歩いてきてお出迎え。

このジョージくんが、かわいいんです。それにおとなしくて全然吠えない。しっぽをピコピコ振ってやってきて、でも近づきすぎることなく間に人ひとり入るくらいの距離で止まります。じーっとお客さんや前田さんを見上げながら、お客さんが移動すると一緒についてきて、つかず離れずで待っていてくれる。私がいた間に入ってきたほかのお客さんも、ジョージくんに「かわいい、かわいい」とメロメロでした。

ただ、ちょっとビビりちゃん。私は過去2回、近づいてきてくれたからなでようとしたとき、いきなり近づきすぎ・上からなでようとしたことでビビられてしまいました(笑)。今回はゆっくり下からコチョコチョして、やっと念願の触れ合いが実現!!

ジョージくんがかわいすぎて、すっかりジョージくん紹介になってしまった。ちゃうねん、いやちゃうくはないんやけど、今回のメインは友人へのギフトの購入です。

前田さんにプレゼント用でブックカバーがほしいと伝えると、「好きなだけ見ていってください」と、いくつか取り出してくださいました。

(写真以外のタイプもあり、それぞれ複数色置いてありました)

「これね、表面をあえて荒らす加工がされてるんですけど、そうすることでレザーのオイルが滲み出る面積が増えるんですよ。だから、使えば使うほどオイルでよく艶が出て色が変わっていくんです」

小さなレザーのハギレを出して「使い込んでいくと、こんな色になるんですよ」と見せてくださいます。びっくりした。新品の青緑も鮮やかで綺麗なのですが、その経年変化したレザーがすごく深いフォレストのような色で重厚感ある艶を放っているのです。美しい……!

「あとね、もう一種類ブックカバーあって、こちらは大阪の女性クラフツマンがつくってはるんです。サイズ調整がしやすい形になってるんですよ。薄いレザーを使っていて柔らかいですね。色はブラウンとブラックがあります」

そういって取り出してきた、別の形のブックカバー。こちらもかわいい……! え、悩む。

2種類の重さの違いまで、秤を取り出して見せてくださいました。ブラウンのカバーは青緑のカバーの1/2〜1/3くらいの重さで、レザーによってこんなに重さの違いがあるのかと驚き。ほかにもそれぞれの違いや使うときの注意点などを丁寧に説明してくださいます。

「いやー、悩みます……。相手は同い年の友人でクラシックカーとか好きな男性なんですけど、普段の持ち物を考えるとブラウンがイメージ合うんです。でも、やっぱり青緑きれいですよね」
「ねえ、その色、きれいですよね」
「うーん。軽くて柔らかいほうが使いやすいかなとも思うけれど、重みがあるほうがレザー感というか重厚感あってかっこよくもありますよね」
「男性やったら、いうてもその程度の重さの違い気にならんでしょうしね」
「うーん、やっぱりブラウンのほうが持ち物のイメージに合うんだけども、でも深くなったときの青緑はしっかりなじむと思うんだよなあ。バッチリ合うものを贈るのもいいけど、普段とはちょっと違うものを贈るのもギフトの楽しみですよねえ」
「もらわないと手にしないけど、使ってみたらいいものもありますしねえ」

ほとんど独り言のような私の相談に、相槌を打ったり男性の視点を教えてくれたりしてくださる前田さん。どちらの商品も好きでどちらの商品にも公平なのが伝わります。どっちがいいって、使うシーンや人によっても変わるものね。急かすでもなく、押し売りすることもなく、「好きなだけ悩んでください」とジョージくんをなでなでしながらゆったり待ってくださいます。

せっかく買うなら、吟味して、使い込んだ先までイメージして、納得して買いたい。それが好きなだけ叶うお店です。

どちらのブックカバーも手に持って、手触り感を比べながらしばらく悩み、納得して決めました。贈るときをイメージしながらルンルンで決めたほうのブックカバーを前田さんに渡します。そこでふと、別の商品が目に留まりました。

「あ、レザーの栞もあるんですね」
「そうそう、それね、ブラウンのほうのブックカバーをつくっている職人さんがつくってるんです。表面の柄は、専用の道具で付けているんで、全部柄が違うんですよ」

一目惚れ。これはかわいいし、複数買って取っておいたら、絶対誰かにプレゼントしたくなる……! ということで、こちらも購入です。

スナワチさんにはオンラインストアもあり、遠方でもそちらから購入できるアイテムも多数あります。

だけどやっぱり、お店があるっていいですね。これだけいろいろ教えていただけるのは、前田さんがいるお店だから。目的だった商品以外に出会えるのも、お店に行ってみたから。こういう時間、好きです。

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スナワチさんでギフトを購入するのは、これが2度目。先日は従姉の出産祝いにファーストシューズを贈りました。

それから、レザー商品ではないですが、本『寅ちゃんはなに考えてるの?』と『カウボーイ・サマー』を友人にプレゼントしたこともあります。

自分が好きなお店の愛せるモノって、人に贈りたくなってきます。自信を持って渡せて、「愛せる」のお裾分けできる。「愛せるモノを、贈る」おすすめです。

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ちなみに、私ももちろんスナワチでお迎えしたものを複数愛用しています。レザーのポケットがついたTシャツ、ボールペン、メガネケース、名刺入れ、財布、バッグ、バッグにつけているキーリング。ジョージくんのついたポロシャツに、ニット帽。今自分で書き出してみて驚きました。こんなに持ってたんや。

前田さんにお会いすると、たびたび「つーさん、財布見せてください」と言われます。そこでお財布を渡すとブラッシングをしてくださるので、普段特に手入れしていないのをわかってケアしてくださっているのかと思っていました。

でも今回、会話の中でそうではない(それだけではない、かもだけど)のだと気づきました。ブラッシングしながら「だいぶ色変わってきましたねー」と言われたんです。

「え、変わってますか?」と驚く私に、「そうそう、元の色はこんなやったはずですよ」と同じレザーを使った新品の商品を見せてくださいました。

驚いた。あれ、こんなに薄く淡い色をしていたんだっけ?

「本当だ、全然違う。気がつきませんでした」
「毎日使っているとね、少しずつ変わるから本人は気づかなかったりしますよね」

育ってるんだ、私の財布。そう思って、うれしくなってきました。わーい、このコはもう私だけの一点モノだ! 名前つけてあげなきゃ!

そして前田さんは、送り出した商品がどう育っているか一緒に見てくれているんですね。それも、「このお財布、愛されてるんだなぁ」とうれしかった。

育ってきたって気づいたら、前田さんもどう育っているか気にかけてくれているんだと思ったら、より一層愛しさが増しました。

愛せるモノを持ったら、それは時間をかけて、もっと愛せるモノになっていく。

何か1アイテムでいい。そういうものがあると、生活が豊かになる気がします。

愛せるモノを、持たないか?
愛せるモノを、贈らないか?

本町の駅から徒歩2分
前田さんの作業をじーっと見つめるジョージくん
声掛けたらこっち向いてくれた!


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