街に音楽が帰ってきた！ 高槻ジャズストリート
音楽が、街に帰ってきた……！
街角で、公園で、学校で、劇場で。生の音楽を聴きながらみんなで一緒にリズムに乗る。拍手をする。たちまち心に水が染みて元気が出てくる。
待ち望んだそんな時間を、シーンを３年ぶりに「高槻ジャズストリート」で体感してきました。
今日はただただ、その聴いてきたライブ内容と雰囲気を記すだけのnoteです！（笑）
「高槻ジャズストリート」とは？
「高槻ジャズストリート」は大阪北摂の街、高槻がジャズに染まる２日間。1999年から毎年ゴールデンウィークに開催されています。市民会館、小学校のグラウンド、中学校、駅の高架下特設会場……。街のあちらこちらがステージになって、ジャズライブ。それも、すべての会場が入場料無料です。
元は小さな規模で始まったイベントですが、回を重ね、高槻出身のアーティストが参加し、少しずつ協賛が増え、今ではJR高槻駅・阪急高槻駅周辺で約50会場の規模になっています。
今回の帰省の主目的は、ジャズストに行くこと。2020年、2021年がコロナで中止になり、３年ぶりの開催に、例年以上に街は湧き上がっていました。イベントTシャツ・通称「ジャズT」が、１日目の5/3（火）でバンバン売れて、私が参戦した5/4（水）には残りがほとんどない状態だったほど。いやー、朝一のステージ前にTシャツ求めて行ってよかった！
ちなみにジャズストの企画・運営は全てボランティアで支えられており、運営資金は寄付・協賛とジャズTの売上です。だから我が家は行くと必ずTシャツを購入しています。
聴いてきたライブを一挙レポート
ひと公演が40分程度。MCも挟んで４〜５曲演奏というパターンが多かったです。あっという間に過ぎて、もうちょっと聴きたい〜！ってくらいでステージ転換。複数のバンドを聴くにはちょうどいいコンパクトさですよね。
さて、今回聴いたのは（途中から・途中まで含め）以下のアーティストたち！
西山瞳トリオ
今回、私たちの行動拠点になった小学校グラウンド会場でオープニングを飾ったバンドさん。ピアノ、ベース、ドラムのシンプルな構成で「うっしゃ、ジャズ聴きにきたぜ！」という気分が上がりました。
asobiyoshi
やわらかくてかわいい声をした女性ヴォーカルが印象的なバンド。サウンド・オブ・ミュージックから“My Favorite Things”を歌っていたのが、似合っていました。
Yutaka Shiina Inspired Swing Quintet
父がピア二ストの椎名豊さんが好きで、必ず聴きに行くリストに毎年入っています。コアなファンが多くて、ホールでやるといつも行列。今回は小学校グラウンド会場で聴きましたが、立ち見もたくさんいました。椎名さんのピアノは、音の輪郭がピンとして透き通ってた。やっぱり、ピアノっていい音だなあ、好きだな。
ドラムの広瀬潤次さんも軽快な演奏で好き。父曰く「変態的なおもしろいドラム」。ドラムスティックではなくタクトを手にしているような、踊るような動きで叩く方でした。
ちなみに椎名さんは東京で活動されていることも多く、今回と同じ構成で５月・６月と渋谷宇田川町のライブハウス“BODY & SOUL”に立たれるそうです。
Soubleed ft 東原力哉 & 清水興 from NANIWA EXPRESS
今回のイベントのための特別フューチャリング。ドラムの東原力哉さん、かなり圧のある力強い、ロックなドラムでした。演奏もエレキギターが入り、尺八が入り、縦笛が入りとおもしろかった。ジャズって、懐が深いですよね。聴きながら「和太鼓とか、津軽三味線とか入れてもかっこよくなりそう！」と思いました。
ちなみに、さらにおもしろいのが、この演奏は会場が地元の神社の能舞台だったんです。能舞台でジャズ！ 能舞台に楽器！ しゃれてませんか？
ユッコ・ミラー カルテット
今年一番楽しみにしていたの！ 大ホールで聴きました。これ本当に入場無料でいいの？ おかしいでしょ……！
独特の艶と揺らぎがあるのに、ズシンと重さのある音を飛ばす、ユッコ・ミラー。いぶし銀のような深みのある音を出したかと思ったら、キラリと光る。あの体のどこにそんな肺活量があるの？！という音のインパクトと伸び、勢いに、もう笑いが出ちゃうほど。オリジナルの伸びがある曲も、カバーのスピード感と超絶技巧がグイグイくる曲も、どっちもすごい。まだ耳に残っているよ、あの琥珀色をした音が。
聴き終わった後の父の感想は一言「ぶっ飛ぶぞ」でした。父、最新アルバムCDその場でご購入。
ちなみにユッコ・ミラーの登場あいさつは「あなたの心をハートキャッチ！ ユッコ・ミラーです！」。……プリキュア？！
Haruki Matsumoto Project
「街のバーやカフェで演奏している小さな会場にも行きたい」という私のリクエストで入ったJK's BIRDで演奏していたバンド。お酒を片手に、タバコを吸いながら楽しんでいる人がいれば、フロアで踊っているお客さんもいたりと、楽しい会場・演奏でした。ギタリストの松本ハルキさんは、アルバム制作のクラウドファンディングに挑戦中なのだそうです。
Vermilion Field スペシャル・ゲスト NAOTO
父はVermilion Fieldを、私はNAOTOを楽しみに参戦。
Vermilion Fieldはピアノ・サックス・ギター・ベース・ドラムで構成された5人組。全員が作曲できる、ちょっと異色のバンドです。なんというか「好きなことしかやらない悪ガキたちが息が合っちゃって、５人集まったらすごいことになりました」みたいな雰囲気。いや、このたとえ、伝わるんやろうか。本人たちは「大型犬がドックランで走り回っているみたいなバンド」って言ってたけど、それもイマイチわからん（笑）。とにかく各楽器がそれぞれに音が立って目立つのに、５人の音が心地よく合わさる、楽しいバンドでした。
NAOTOはヴァイオリニスト。彼を知ったのは、ポルノグラフィティのライブでいつもヴァイオリンを担当していたからです。調べてみたら他にもいろんなアーティストのサポートバンドメンバーになっていて、さらに「新世紀エヴァンゲリオン」「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の劇中音楽のヴァイオリンを担当しているのだとか。ヴァイオリンでポップスって、珍しいですよね。遊んで飛び回るように軽やかで艶と伸びのある演奏でした。
あと、ヴァイオリンって、いろんな楽器の中でも色っぽい。Vermilion Fieldの演奏とヴァイオリンが合わさったら、すごくおもしろい化学反応でした。NAOTOをVermilion Fieldと合わせたら良さそうと考えた運営さん、ナイス！
ウルフルケイスケ & リクオ with 高木まひことシェキナベイベーズ
高槻市の出身でウルフルズのメンバーのウルフルケイスケさん。LOVE & PEACE！ みんなハッピーになろうぜ！ 笑顔になろうぜ！
小学校のグラウンドステージは会場全体、みんなで一緒に拍手して「フェス！！！」って感じ。楽しかった！
会場全員が楽しんでいるのが、肌で感じられるライブでした。
Geila Zikha & Super Soul Jazz
パワフルな女性ヴォーカルのGeila Zikhaさん。MISIAに楽曲提供をし、MISIAのライブやアルバム収録にも参加されているそうです。数々のCMソングも歌ってらっしゃり、ふと口ずさんだフレーズに「この声、この響き、聴いたことある！」となりました。
有名どころはスバル・レヴォーグのCMで使われた「Long Train Runnin'」。女性ヴォーカルでこの曲をカバーしている人は珍しいのだそうです。今回のライブでも「Long Train Runnin'」歌ってくださいました。耳に残るパワフルな曲って、生で聴くと楽しい！
ユッコ・ミラー カルテット special guest David Matthews
ユッコ・ミラー、再び。今回はホールではなく、屋外ステージ。夜・屋外に合うセトリで先ほどとはまた一味二味違ったライブになりました。YouTubeで閲覧人気の高い、名探偵コナンのテーマのジャズカバーもやってくれたよ〜！
後半でゲスト登場したDavid Matthewsは、アメリカのジャズピアニスト。父も母も昔から好きだったそうです。でも、立ち上がってピアノに片手を置いてあいさつする姿は、「ニコニコしたかわいいおじちゃん」って感じ。こっちまでニコニコしちゃう。父はその姿に「そうか、もうお年だもんな」と言っておりました。
彼のピアノは、やわらかくて温かみのある音でした。しっかり正統派で、だけどお洒落で遊び心があり、表情豊か。落ち着いて、だけどワクワクしながら聴いちゃいます。やっぱり好きだなあ、ジャズピアノ。
父は「やっぱりすごいなあ、（ちょっとリハしただけだろうバンドメンバーとでも）パッとしっかり合わせちゃう」と感嘆しておりました。
・・・
「音楽は、心のワクチンです！」とウルフルケイスケさんがマイクに叫んでいたけれど、本当にみんなで楽しむ音楽には、心に水分が染みていくような力があるなあ〜。と感じた丸１日！
整っていい音がするCD音源もいいけれど、やっぱりライブは熱が、空気の揺れが、躍動感が違います。観客と演者が一緒に音楽とシーンを作る。ワクワク興奮する時間でした。
ちなみに、私がツイートしたのを見て、柴田さんもいらっしゃり、現地で声をかけてくださいました！ 会場で一緒になっていろいろ話して、楽しかった〜！ 音楽でつながるの、うれしいな。
来年も、再来年も、また楽しめるといいなあ。高槻以外でも、いろんなところでこんな音楽シーンがたくさんたくさんみられるといいなあ。
