「逃がさない」リードから「手をつなぐような」ハーネスへ~ビビリの元保護犬はなが教えてくれたレッスン④
<はじめましての方はまずこちらを読んでくださいね>
家のドアを開けた瞬間にガタブルに震えて固まってしまう。
外の世界は恐怖に満ち満ちている。
歩けないったら、歩けない。
やがて、家族との関係が築かれてきて、少しずつ少しずつ奇跡が広がっていく。
散歩の工夫によって、ニコニコがどんどんと増えていく。
今は天使となった世界一可愛い我が家の愛犬はなさん(親バカはこれぐらいじゃないとあきまへん)。
ペットロスを乗り越えて、彼女のことを以前よりもゆっくりとほっこりと思い出せるようになった今だからこそ、びびり犬との向き合い方い悩んでいる飼い主さん、世の主流のしつけやトレーニングの常識にどうもすんなり頷けずに悩んでいる飼い主さんたちに、何かお伝えできないか、何か喜んでもらえないか、との思いで記事を書き始めました。
メインの先生はあくまでも「はな」さんです。ワタクシ、なばな円盤(はなの母=里親)がたまにはずっこけながらも、失敗や反省を繰り返しながらも、はなという犬から学んだこと、ヒトとして感じたことをお伝えします。必ずしも時系列的に記事が並ぶことはないかもしれませんので、その点はご容赦下さい。
応援・シェアをしていただけたらとても嬉しいです(イラストもななば円盤本人が描いたものです。えへへ)。
どうぞよろしくお願いします。では行ってみよー。
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速足になると締まっちゃう「紐」
最初のお母さん(はなを引き出して2ヵ月くらいご自宅で育ててくださった保護ボランティアさんです[母より])は、アタチのお散歩の練習を始める時に、紐みたいなものを使ったの。首の周りに輪っかができるんだけど、自分だけ先に早く歩こうとするとその紐がだんだんきつく締まってくるの。
その頃、アタチはこの世に生まれてからたぶん半年ぐらい経ってた。それまでに別のどこかでお散歩らしいことを練習したかどうかは、「分かりません」ってことにしておくね(はなは飼育放棄されたという情報がありますが、元飼い主が愛護センターに迎えに来なかったこともあり、経緯の詳細が不明です[母より])。
パパとママが、最初のお母さんのお家でアタチとはじめましてのお見合いをしたとき、お家でアタチとちょっと遊んだり、しばらくニンゲン同士でお話をしてから、アタチと一緒に家の外に出てみたの。最初のお母さんがアタチに例の紐を付けて、ママに紐の反対側の端っこを見せた。「持ってみますか?」と。ママは輪っかの部分を持って、ちょっと不安そうにしてた。使ったことがなかったんだね。アタチがちょっと鳴いてぐいっと引っ張って歩き出そうとしたら、ママが「おおっ」って小さく声を出したよ。びっくりしたかな。
やっぱりこれは合わないんじゃないか、とママは気づいた
この紐は、アタチがパパとママの子になっても、しばらくの間使ったよ。最初のお母さんが、アタチをパパとママのお家へ届けてくれたとき、この紐の掛け方や使い方も教えていってくれた。パパもママも最初はちょっと使い方を間違えてた。「あ、逆か」「輪っかが下向きになるのはどっちだ」とかぶつぶつ言ってたな。
「このリードは抜けないから」って最初のお母さんが教えてた。ママは、「わかりました」ってお返事してたよ。首輪(住所や名前のメモを挟みこんで鑑札も付けたものです[母])を付けて、紐(もうお分かりの方もいると思いますが「スリップリード」です。デザインはこんな感じ↓[母])も付けて、そうしてお散歩したんだ。
アタチはビビリだけど仲間である犬たちのことは大好きだったので、お散歩で仲間たちの姿をみかけると「待って~!」って走り寄ろうとした。逆に、怖いものが目に入ると急いで逃げようとした。そのたびに、緩かったはずの首の輪っかがきゅっと締まる。アタチは「ヒハ、ハァハァ」と息をつなぎながら、それでも先へ先へと急ぎたい。ママは「ちょっ(と待って)」と止めようとするけど、止めると苦しそうだから、なんとなく小走りになってアタチに合わせる。そんな感じだった。
ママは、お家の玄関に座り込んでその紐を見ながら悩んでいたことがあった。散歩中に、仲良くなった犬の飼い主さんのうち二人ぐらいから「これじゃ締まってかわいそうじゃないの?」とか「あ、苦しそうだよ」(自転車に乗った男子集団がやってきて、ギャーって走って逃げようとした時です[母より])と言われたことが気になってたみたい。ママが紐の使い方に困っているのは、お散歩してても体に伝わってきたよ。アタチも相変わらず、歩けるときはムガムチューでパタパタ歩き、ダメならいやいやで向きを変えようとしたり、怖くてパニックになったりもしてた。
(※スリップリードが悪いと言いたいわけではないのです。それまで、実家で飼っていた犬は首輪についているリングにリードを付けて散歩をさせていたので、紐1本を首に巻いて使うという方法に慣れるのはちょっと難しかった。確かにこれならすぽっと頭が抜けるというリスクは少ない。逃がさないため、迷子にさせないため、という理由でこのスリップリードが使用されるのは理解できます。確かに首輪なら外れてしまうことがある。でも自分が犬だったとしたらこれは苦しいのではないか、と想像すると、我が家には合わないかなぁと思いました。同時に、せっかく譲渡してもらった可愛い保護犬を脱走させたり、迷子にはさせたくない。ダブルリードというものも試してみましたが、まだ1歳になるかどうかの体に2本のリードを括り付けるというのも、いざその重装備の小さな姿を見たら切なくなってしまって、すぐに止めてしまいました。ご近所の犬友さんたちがおっしゃったスリップリードの印象というのも、確かに言えていた。私も違和感を感じてたけど、今の時代の保護犬の扱い方の一つがこうしたリードなのだとしたら、それに従う必要性があるのかな、と認めていました。今思うと、時代ってなんだ?という感じですが(汗)。迷子にだけはさせたくない。でも急に急ぎ足になるときは苦しそうだしなぁ。振り返ると、使用していた数ヵ月は、このことでけっこう悩んでいました[母より])。
「ハーネス」っていうのがやってきたよー
ママが、アタチのビビリをどうにかしたいと「ストレスマネジメント」に向き合いだした頃(このマガジンの③を読んでね)、ママは新しい大きな輪っかを買ってくれた。
アタチは素直にそれを付けられたよ。脇の下でカチッと止める大きな輪っか。首の下にも横に一本平べったい布がくっついてるの。
コンフォートハーネスって言うんだって。
これを付けて歩いてみたら、ワタタッと急ぎ足になりたい時も、胸がぐぐっと抑えられるようになって、思うように進めなくなる。でも、紐の時に比べたら苦しくない。息もラク。アタチはこっちの方が気に入ったの(歩く様子を見ていても、ヒーヒーハーハーが減り、お顔にも少しずつだけど余裕がみられるようになりました[母より])。
ハーネスには、紐じゃなくて、平べったいテープをくっつけて、ママはそれを手に持って歩くことに変えたの。テープの使い方は、再びお姉ちゃん(同じく前回の③を読んでね)から教えてもらったみたいよ。
急ぎ足になると、テープを使って、アタチの胸にストップをかける。アタチは「むーっ」と感じながらも止まる。テープが緩んだのが分かるとまたトコトコと歩き出す。
「手をつなぐような感じで、優しく」
お姉ちゃんはさすがにテープを使うのが上手だった。ママに交代すると、まだグイッと止められたりして、たまにぶるぶるっとなったり、舌をペロペロしたりしちゃった。そのたびにママは「あー、失敗、ごめんねー」って謝ってくれた。
このテープは3メートルの長さがあったの。上手に使ってくれると、アタチもすごく歩きやすくて、お散歩にもちょっとずつ自信が付いてきたんだよ。このテープのことは、また次回お話するね。