英語発音上達のコツとは?
別冊マガジン「英語のしっぽのつかみ方ーwings超英文法メソッドー」の姉妹版として、大人のための発音教室をはじめます。どうぞ気楽にお付き合い下さい。
●英語の発音は、大人になってからでは無理?
英語の発音に関しては、さまざまな流言があります。
そのほとんどが、実にネガティブなものです。
「英語の発音は、子どもの時から始めないと身につかない」
「ネイティブに習わないと、ネイティブ並みの発音はできない」
「英語の音の周波数は、日本人には聞きとれない」
これらは、ある意味正しいとも言えるし、見方を変えるとまったく間違っているとも言えます。
確かに、英語と日本語の発音は、大きな違いがあります。でも、それは単なる違いであって、違いそのものにネガティブもポジティブもありません。違いをはっきり認識して、練習すればよいだけのことです。留学しなくても、ネイティブに習わなくてもできます。人間である以上、超音波以外の音は聞こえますしね。
英語の発音練習は、トランペットやサクソフォンなどの楽器の練習と似ています。やったことのある人は分かると思いますが、トランペットやサックスって、最初からまともな音は出せないんですよね。口の形や息の出し具合を微妙に調整して、楽器の中に息を最適に送り込むコツをつかんではじめて音が出せるようになります。
英語の発音もそれによく似ていて、口の周辺機器をフルに使って音を出す感覚をつかんでいきます。自前の楽器なので、お金もかかりませんしね。いつでも気軽に始められます。
ただし、上達にはいくつかのコツがあります。
まず、「英語の発音は難しい」「日本人には無理」、という先入観を捨てて下さい。だからと言って、「絶対できる!」と力むのもよくありません。「難しい」とか「やっぱり無理」という不安や思い込みを手放して、「なんか楽しそう」ぐらいの感覚で気楽に楽しんで下さい。
次に、カタカナ英語に慣れた自分をぶっこわす覚悟をして下さい。結構派手にこわしていきますので、価値観がゆらぐことに耐えて下さい。
さらに、「恥」という概念を捨てて下さい。英語の音をちゃんと出そうと思うと、どうしてもぶつかる壁です。「なにこれ、へ―んな音(笑)」と、おもしろがるぐらいの余裕をもっていただけるとよいです。
最後に、手抜きをする自分を責めないで下さい。日本語はひとつひとつの音を真面目に出す言語なので、人によっては「英語を話す時は人格が変わる」ぐらいの勢いが必要かもしれません。でも、もしかしたら肩こりがなくなったり、人生生きやすくなったりするかもしれません。
・・・と、およそ発音とは関係なさそうなコツがずらっと並びましたが、実は、大人が英語の発音を習得する際の最大のネックは「意識」なのです。大人と子どもで、発音の再現能力に差があるわけではないのです。
子どもでも、3歳ぐらいになって自分の思うことをなんでも表現出来るようになった時点で、母語が思考を支配します。ただ、子どもは、日本語と違う音に対して、「なんだろう」「わくわくする」「楽しいな」「違うっておもしろいな」というモードで対応するので、どんどん音を吸収します。
ところが大人は、長年日本語の音に慣れきっている上に、最初にあげたような「意識のブロック」が無意識にかかっています。その「意識のブロック」を認識して手放すことが、発音上達のはじめの一歩になります。ストッパーをはずせば、キャスターが楽に動くようになるのと同じですね。まずは、楽になりましょう。
●英語の上達には右脳?左脳?
実は、子どもがみんな発音が得意かというと、一概にそうともいえないのです。お受験などを経験した左脳優位のお子さんは発音が苦手な傾向にありますし、小学校の高学年ぐらいになると恥ずかしさがでてきて、急にカタカナ英語になってしまったり、リズム感や身体感覚、思考の柔軟性によっても差が出てきます。
しかし、発音が苦手なお子さんは、総じて文法の理解や読み書きに優れている場合が多いので、どちらがよい悪いという話ではありません。単に、脳のクセのようなものです。こどもの頃に習い事をするのがよいのは、左脳優位になる前に、身体感覚として叩きこむことができるからでしょう。
それに比べ、大人の多くは左脳優位なので、発音習得にはあまり有利とはいえませんが、それでも右脳がまったくないわけではありませんから安心して下さい。逆に、3歳のこどもに理屈は通じません。左脳優位な大人だからこそ、理屈で理解が進むという利点があるのです。
このマガジンでは、右脳がちょっとお休みモードな大人のみなさんのために、左脳的なアプローチで、右脳を刺激する発音の極意をお伝えしていきます。もちろん、右脳全開のアーティスティックなみなさんも大歓迎です。別冊のマガジン「英語のしっぽのつかみ方~wings超英文法メソッド~」と合わせて読んでいただくと、英語を英語で聞いたまま理解できるようになりますよ。
そろそろ、英語ができる日本人に進化してもいい頃ですよね。
では、こどものような無邪気な気持ちで、はじめましょう!