現在分詞となかまたち
前回、現在進行形という公式から「分詞を解放する」という話をしました。
こういう話をすると、「現在進行形の-ingが、現在分詞だとは知りませんでした。目からウロコです。」と言ってくれる人がいます。それはそうだと思います。学校ではそういう教え方をしていませんから。
I'm happy.(私は幸せです)
I'm hiding.(私は隠れています)
学校ではこの2つの文を、状態や様子をあらわす同じ仲間だとは教わりませんよね。
でも、ネイティブの感覚はこんな感じ。
”Happy?" "Happy!"
「うれしい?」「うれしい!」
"What 're you doing?" ”Hiding."
「何してんねん?」「隠れてんねん。」
こんな風に、状態や様子だけ、ポンと言ってしまうんですね。
なんとなく、感覚としてはわかりますよね。この感覚をつかむのが大事なのです。
その感覚がつかめたら、次の文はどうでしょう?
She has black hair.(彼女は黒髪だね。)
She has waving hair.(彼女はウエーブヘアだね。)
形容詞も、現在分詞も同じ位置にありますよね。髪が黒いのも、波のようにうねっているのも、彼女の髪の様子や状態なので、同じように扱うのです。(ちなみに、このwavingは、動詞のwave(波打つ、うねる)にingをつけたものです。)
では、次はどうでしょう?
He saw her smiling.(彼は彼女が笑っているのを見た。)
この文はいわゆる第5文型(SVOC)なのですが、これを感覚で捉えてみましょう。
語順のヒミツのところで説明したように、英語は見たままをズームアウトのベクトルで並べているだけです。なので、読む時は逆に、並んでいる単語を順にイメージして、ズームアウトしてみましょう。
He saw her smiling.
彼→見た→見た先には彼女がいた→笑っている状態だった
どうですか?英語のベクトル、みたまま語順の感覚、それに現在分詞を状態・様子と捉えることで、英文を目で追うだけで、状況が目に浮かぶような気がしませんか?
もうひとつ例をあげましょう。
I saw mommy kissing Santa Claus.
これは、かのマイケル・ジャクソンがまだおチビちゃんだった頃に、かわいいハイトーン・ボイスで歌ってた歌詞ですが、ある男の子がクリスマスイブの夜、眠れなくて起きてきたら衝撃の場面を目撃します。「あ、ママだ。あ、キスしてる。えっ?相手サンタ?!」と画づらがズームアウトされていくのがわかりますね。
そうやって見たまま、聞いたまま、ビジュアル化していけば、必ずしも日本語に訳さなくても意味はわかります。つまり、日本語で本を読めば情景が浮かぶのと同じことが、英語でも出来るようになるのです。それが、英文速読・リスニングのコツなんです。
そのためには、smiling, kissing を見たら、状態・様子が思い浮かぶことの方が、公式よりも何倍も大事なんだってこと、もうおわかりいただけますよね。これがwings超英文法メソッドです。
さて、現在分詞が、形容詞と同じように状態・様子をあらわす仲間だとしっかり認識できたところで、もう少し仲間を紹介しましょう。
「英語の語順のヒミツ」のワークで使った例文です。
He poured the water into the glass.
He saw her smiling.
ごらんのように、現在分詞と、前置詞+名詞が、同じ位置です。これは、into the glass が、水がグラスの中に入っていく様子あらわしているからです。この文は5文型では第3文型(SVO)に分類されますが、それはあくまで動詞を基準にした分類上のことであって、単語を並べる感覚は3も5もたいして変わらないのです。
むしろ、状態・様子をあらわすバリエーションを同じように扱うことで、どんどん英語を使えるようになるのです。
<英語のしっぽのつかみ方⑤> 現在分詞・形容詞・前置詞+名詞は、状態・様子としてビジュアル化する