リスニングの盲点

これまで、個々の発音を中心にリスニングのコツをお伝えしてきました。
たとえば、このマガジン内の「どうして英語は早く聞こえるのか」の回で、

単語そのものの発音がリズミカルに手抜きされているだけでなく、単語のまとまりや文章全体にも、リズムや手抜きがある

と、書きました。

つまり、英語にはリズムがあって、アクセントのあるところは強く、アクセントのないところは弱く、メリハリをつけるのがコツだということです。

基本はそうなのです。それができるだけでも、英語を理解するスピードが、英語の音のスピードにぐっと近づきます。

ところが、ネイティブが自然に話せば話すほど、リズムはそのままで、抑揚がなくなったり、独特の抑揚がつく傾向が出てくるのです。

たとえば、次のような場合。

When I was reading the book that you had given to me last year,the telephone rang.

Whenで始まる従属節(Whenからコンマまでの間)が、リズムはそのままで、低く、抑揚のないしゃべり方になったり、上下動するような抑揚になったりするのです。

テニスの錦織圭選手がインタビューで、抑揚のない自然な感じの英語で答えていますよね。抑揚のない英語は、慣れないうちは本当に聴き取りづらいです。

また、独特の抑揚でたたみかけるように話す人もいます。これも聴き取りづらいですね。

アメリカ大統領選の各候補の演説を聞いていると、人によっていろんな抑揚があるんだな、と思います。

そりゃそうですよね。日本語でも同じことが言えますよね。

さて、この自然な英語を聞きとるには、まずは自分が抑揚をなくしたり、独特の抑揚をまねて話してみることが近道です。

ニュースやインタビュー、CMなど、お手本となる素材を探して、特徴を意識してリピート練習をしてみましょう。

リピートができたら、今度は聞こえたらすぐに影のように追いかけて言ってみます。(これをシャドゥイングといいます。)

慣れてきたら、音声といっしょに声を合わせて言ってみて下さい。(これをオーバーラッピングといいます。)

このようにして、いろんな英語にふれることが、リスニングには大切だったりするのです。

リスニングの盲点、「抑揚」を意識すれば、リスニング力がワンランクアップしますよ。お試し下さい。

いいなと思ったら応援しよう!