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長い夜。延長に次ぐ延長で、試合は終わらないままはじまろうとしている。
例えば眠りが浅い日。眠れなかった日。一日が24時間で終わってない感覚がある。今は8月20日の30時。

昨晩もまた仕事が終わらなかった。いつも自分の不甲斐なさと戦いを繰り広げている。具体的には仕事の遅さとできなさと不勉強さとその他いろいろな感情をじくじくとえぐりながら白旗を掲げているだけなんだけど。

終電がいつのまにか走り去って、ただでさえ夜が早い神保町は本当に誰もいなくなる。東京にも夜はあるのだな、意外と。ネットカフェにいこうと思ったけれど、最近のわたしの懐は終わりの見えない氷河期を迎えており、わたしはこの中での生存戦略を考えることにした。どうにかお金をかけずに休めるところはないだろうか。
そういえば自社の福利厚生で24時間ジムを契約しているのだった。週一回のペースを目指しているがなかなか難しい。わたしの労働のいくらかは、かのジムへと捧げられている。そうして経済は廻るのだな。
ジムには着替えるための個室とシャワールームがいくつかあり、今晩だけは個室のひとつを占拠することにした。ここの電気は人感センサ式で、準備運動にストレッチをしていると本当によく消える。お手洗いでもこういうのがあるけれど、便器に腰掛けながら手をパタパタと動かすのはなんとも情けなさを感じる。
そんなわけで、今晩はできるだけ動かずに、電気にはわたしを認識しないでもらうことにした。
普段はいろんな音がするジムも夜は本当に静かで、たまに誰かが動いてる音がする。暗い。薄い戸の隙間から光が漏れる。館内bgmが聞こえてくる。ちょっとうるさい。お腹が空いた気がする。床は硬くて寝づらい。布団ってすごいよな。そうこうしながらいろんなことがあたまをぐるぐるした。最近のわたしには考えるべきことが多い。普段どれだけ頭を使わずに生きてるんだろうと思う。人間は理性を持っていきなきゃいけない。真っ当であらねば。頭をすりつぶしながら心に刻む。けれどもまとめきれないまま、目を瞑った。掃除機の音。スタッフさんが出勤してきたらしい。
気づけば朝になっていた。そそくさと荷物をまとめ、何事もなかったように外に出た。朝ラン終わりのお兄さんが汗だくで入ってくる。不思議そうな顔をしていたけど素知らぬ顔ですれ違った。わたしはこういうところで時々都会を感じる。

長い夜の延長戦、わたしはまたパソコンに向かわなきゃいけない。今日という一日はどこまでなのかわからないけれど、まだ見ぬゲームセットを目指して試合を続けていく。

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