Official髭男dism『Cry Baby』を物語に沿って歌詞考察してみた


こんにちは。
今回は、今大人気の「東京卍リベンジャーズ」のOP主題歌、Official髭男dism『Cry Baby』の歌詞考察をしていきます。
アニメ放送開始されてから数ヶ月経ちますし、様々な歌詞考察が既にされております。おそらく今放送されている血のハロウィン編で一旦放送が終わるかと思われますので、今更感はありますが、歌詞考察していたら楽しくなってきたので話させてください…。
まず、私は東リべをアニメと実写映画のみ見ております。一応ネタバレ食らったせいでアニメ以降の話も若干知っておりますが、原作ノータッチです。そのうち漫画を買いに行きますけど。
そのうえで、アニメの物語に沿って歌詞考察していきます。なんでそうしたかは考察していく中でお話しますね。
アニメ『東京リベンジャーズ』のあらすじは、

人生どん底のダメフリーター花垣武道(タケミチ)。 中学時代に付き合っていた人生唯一の恋人・橘日向(ヒナタ)が、 最凶最悪の悪党連合”東京卍會”に殺されたことを知る。

事件を知った翌日、駅のホームにいたタケミチは 何者かに背中を押され線路に転落し死を覚悟したが、 目を開けると何故か12年前にタイムリープしていた。

人生のピークだった12年前の中学時代にタイムリープし、 恋人を救うため、逃げ続けた自分を変えるため、 人生のリベンジを開始する!                             

              アニメ『東京リベンジャーズ』公式HPより

です。
ヤンキー、不良といった作品はいくつも存在しますが、タイムリープするというファンタジー要素を加えた東京リベンジャーズ。
私の考察では、アニメのストーリーに沿って展開させますので、アニメのネタバレ及び一部実写映画のネタバレします。まだ物語を知らない方はご注意ください。ネタバレに関するクレーム等は受け付けません。ご了承ください。

では早速、一番から見ていきましょう。


一番 リベンジの始まりと誓い

胸ぐらを掴まれて 強烈なパンチを食らってよろけて
肩を並べうずくまった
予報通りの雨にお前はにやけて
「傷口が綺麗になる」なんて嘘をつく

ここでもう既にタケミチだと思いましたね。
アニメ第一話から、清水将貴ことキヨマサと彼のつるむ一派に殴られ蹴られ、ボロボロになりながら膝をついて謝るシーンがあります。実写映画では分かりやすく、溝中のメンバーが膝をついて肩を並べているシーンがありました。おそらく、「肩を並べうずくまった」はこのシーンからきているでしょう。
予報通りの雨。雨を予測しているつまりは、喧嘩に負けることを予想できていたことを表していると考えられます。予想通り、喧嘩に負けて傷だらけの仲間たちに、「傷口が綺麗になる」つまり、平気だ大丈夫だと強がって嘘をつく。嘘をつく相手は誰なのか。ワンシーンで考えれば、喧嘩の場にいた溝中の仲間たちにでしょう。「お前はにやけて」とありますから、おそらくタケミチに対してでしょうね。
アニメではその喧嘩の後、タケミチは彼女であるヒナの元に訪れ、タケミチの顔を見たヒナは「また喧嘩したの?」と言われていますから、少し口調がキツイようにも思いますが、ヒナに対してタケミチが大丈夫だと言い聞かせているようにも考えられます。

いつも口喧嘩さえうまく出来ないくせして
冴えない冗談言うなよ
あまりのつまらなさに目が潤んだ

物理的暴力もそうだが、口でさえ対抗できないタケミチが、冗談を言う。その冗談があまりにもつまらなさすぎて、泣けてくる。このフレーズからはそう読めます。
ここで言う冗談はいくつか考えられるでしょう。大丈夫ではないのに大丈夫だと嘘をついたことなら、前のフレーズから予想できます。
しかしながら、ここにいる花垣武道は未来からタイムリープしてきた花垣武道です。ヒナを助けるためにはここでへばっていてはなりません。ですから、キヨマサに立ち向かおうとしているのです。アニメで言うと、喧嘩賭博のシーンでしょうか。体の弱いタクヤに代わって、キヨマサにタイマンを申し込んでいるタケミチは、今までのタケミチにはない姿。その姿が「お前、冗談だろ?」と仲間に思われている。タケミチを見て、冗談だろと思いながら、そのカッコ良さに涙すると捉えられます。

何度も青アザだらけで涙を 流して 流して
不安定な心を方に預け合いながら 腐り切ったバッドエンドに抗う

サビは特に重要です。
この楽曲自体、何度も転調を繰り返しています。藤原さん曰く、この転調はタケミチがタイムリープしている様子やリベンジしている様子を表しているそうですので、サビは特に、タケミチを表した箇所と言っていいでしょう。
このサビで出て来る「涙」は、何通りかの理由があると思われます。傷の痛みから来る涙、負けて悔しい涙等々…。「流して」が繰り返し使われていますので、涙には様々な理由があると捉えていいかと思います。何度も喧嘩し、その度に青アザをつくって、何度も涙を流す。
喧嘩に勝つぞとポジティブになったり、俺なんかじゃ勝てないとネガティブになったり、笑ったり泣いたり、不安定な感情を仲間や自分自身に預け、腐り切ったバッドエンドに抗う。ここでいう、腐り切ったバッドエンドは、主にはかつてのタケミチを表した言葉だと考えられます。逃げ惑って、体たらくな日々を送っていた生活が腐り切っていると表しています。またバッドエンドは、ただのエンドではないことは文字から分かりますよね。一度だけではなく何度もタイムリープを繰り返している理由は、過去で任務成功しても未来は違ったからというものがあります。例えば、マイキーと接触成功し、現在に戻るが、溝中の仲間であった千堂淳ことアッくんが、タケミチを線路へ突き落としたのは自分であると告白したのち目の前で自殺を図ったことや、東京卍會副総長ドラケンこと龍宮寺堅が死んでいることを知ります。これがバッドエンドだとすれば、このバッドエンドを変えるために再び過去へタイムリープする、抗うと捉えられます。

なぜだろう 喜びよりも心地よい痛み ずっしりと響いて
濡れた服に舌打ちしながら 腫れ上がった顔を見合って笑う
土砂降りの夜に誓ったリベンジ

ここで私がポイントだと思う箇所があります。それが「土砂降りの夜に誓ったリベンジ」です。
『Cry Baby』には雨に関する表現がいくつかありますよね。そして、東京リベンジャーズにも雨のシーンがあります。アニメ八話。タケミチが愛美愛主のメンバーにガムテープでぐるぐる巻きにされているところに、ヒナがやって来るシーンです。このシーンを見た時、これだ!と思いました。考察をしようと思ったのは正に、これでした。
まず、「喜びよりも心地よい痛み」とは何でしょうか。いくつかの考察サイトでは、喧嘩で負った痛みは何度も抗おうとする自分の成長の嬉しさが痛みで表現されていると解説しています。勿論、私自身もそう思います。しかし、アニメのシーンを頭に浮かべると、祭りの最中に降り始めた雨でびしょ濡れ、そんな二人が顔を見合って笑う。その時タケミチはなにがなんでもヒナを救い、ドラケンを救い、自分の過去も未来も変えてやると過去の自分にリベンジを挑むと捉えることができるのではないでしょうか。弱音を吐くタケミチに対してヒナは次のように言います。

「君はドラケン君じゃない。マイキー君でもない。タケミチ君はタケミチ君だよ。人の為に思いっきり泣けて、人の為に思いっきり悔しがれるタケミチ君だよ。こんなかっこいいヤツ、他にいないよ」

タケミチとヒナのファーストキスのシーンですね。アニメを見ていると、この一件でタケミチがさらに成長したような描写がされていますし、この言葉が嬉しくて、受けた痛みは己を奮い立たせると捉えていいかと思いました。

以上、一番では八月三日の愛美愛主との抗争までにおいて、溝中メンバーや橘日向によって大きくタケミチを動かし、あの雨が降った神社で、もう諦めない、どんな事があってもヒナを守り抜くと誓い、リベンジすることを誓ったことを表現されています。

二番 過去の自分を変える、諦めない

胸ぐらを掴み返して 反撃のパンチを繰り出すくらいじゃなきゃ
お前の隣には立てないから
相手が何であれ日和らない 何度伸されても諦めない
忘れるな忘れるなと言い聞かせ続けたのに

「胸ぐらを掴まれて 強烈なパンチを食らってよろけて」いた一番とは違って、何かしらの行動をしようとしている表現に変わっています。
しかも、一番ではタケミチ以外の登場人物がいましたが、この歌詞からはどうも一人の人間しか出てこないのです。周りには数人いるでしょうが、肩を並べてうずくまってませんし、誰かに反抗しようとしている人物一人の発言です。一番及び、東京リベンジャーズの物語から考えるに、これは主人公である花垣武道の発言ではないかと考えられますね。
殴られたら殴り返すような心意気じゃないとお前の隣に立てない。では、この「お前」って誰なんでしょう。
隣に立つ、この隣とは、東京卍會総長佐野万次郎ことマイキーではないでしょうか。ドラケンの死によってどうかしてしまったマイキーの手によって東京卍會が変わってしまったから、ドラケンの死を防ぐ。これに成功したタケミチは、二度とマイキーをドラケンと離れさせないために隣に立って防ぐ必要があります。ですが、喧嘩が弱いタケミチにとって、マイキーの隣に立つということは大変難しいことです。少なくとも、今までのようにただ殴られて伸びるのでは到底立てないでしょう。だから、殴られても殴り返すくらいの度胸がなくてはならない、そう言っているように思えます。
ただ、タケミチはマイキーに対して「お前」とは言いません。勿論、この考えもありますが、もうワンパターンとして、この「お前」は、何があっても諦めないと誓った未来のタケミチを表しているのではないかとも考えられました。隣に立とうとしているのは、過去のタケミチです。過去のタケミチは嫌なことがあればすぐ逃げてしまうような人間でした。人間は染み付いた癖があればすぐにその癖を辞めるということはかなり難しいですよね。ですから、いくら諦めないと誓っても、かつてのタケミチが逃げようと問いかけるように邪魔してくるのです。この邪魔してくるタケミチの発言こそがこの歌詞。打ち勝とうとしている未来のタケミチの隣に過去となりつつあるタケミチが自分の隣に立つには、逃げずに殴り返すくらいの度胸が必要だと言うのです。
「日和らない」という歌詞、聞き覚えないですか?
アニメ第五話、マイキーが東京卍會メンバーに対して、愛美愛主と抗争することに「ひよってるやついる?」と聞いたあのシーンから来ているでしょう。今までの歌詞からいくと、「相手が何であれ諦めない」のような歌詞が来るはずですが、ここであえて「日和らない」とあるということは、マイキーの台詞にかけたのではないかということが予想されます。相手がどんなに強くても日和らず、負けたとしても、何度伸されても諦めないと誓ったことを忘れるなと言い聞かせてたのでしょう。「のに」で終わっているのは、諦めずに対抗しようとリベンジしているのに未来が自分の思い通りになっていないから。忘れるな忘れるなと二度繰り返しているのに加え、ヨーデル調にしてあるのには、ただ音符にのせて歌うより強調されるからですよね。

どうして
(やり直してしくじって)どうして
(踏み倒して肩落として)どうして どうして

間奏にのせられた歌詞、あえてメロディーにしていないのは、タケミチの心の叫びを表現しているからだと思います。
ドラケンを救えば、未来でヒナとアッくんが死ぬ。過去も未来も変えたんじゃなかったのか。これでは今までといっしょじゃないか。
タケミチがタイムリープをしているのを知っているのはタケミチ自身と未来の橘ナオトのみです。過去を変えることに関してはタケミチ次第ですから、この気持ちをナオトに言ったとしても無駄なのです。自分の心のうちでしか自問自答できません。あえて、メロディーにのせないことで、タケミチのこの辛い思いを、叫びを表現しているのではないでしょうか。

傘はいらないから言葉を一つくれないか
微温い優しさではなく
弱音に侵された胸の奥を抉るような言葉を

どう足掻いても望んだ未来にならない、ひたすらネガティブになる自分を奮い立たせられるような、胸の奥を抉るような言葉をかけてくれ。過去で、過去を変えるために一人戦うタケミチにとって、共感というより、何か少しでもいいから共に戦ってくれる言葉が欲しかったんだと思います。過去を変えるためには自分で行動しなければいけないから。誰かに頼ることができないから。

何度も青アザだらけで涙を 流して 流して
不安定な心を肩に預け合いながら 腐り切ったバッドエンドに抗う
なぜだろう 喜びよりも心地いい痛み ずっしりと響いた
濡れた服に舌打ちしながら 腫れ上がった顔を見合って笑う

ここは一番のサビと同じです。ただ、同じ言葉が繰り返されるだけ、二度目の言葉は重みを増します。ですから、一番以上にタケミチ自身は成長し、思いが強くなったことを表しています。
また、一番とは違い、タケミチの一人称視点で歌詞が展開されていることから、「不安定な心を肩に預け」たのは過去と未来のタケミチでしょう。
そして、何か心が揺れる度にヒナの言葉を思い出しているのでしょう。未来を変えるきっかけはヒナですからね。

土砂降りの夜に 囚われの日々に 問いかけるように
光った瞳の中で 誓ったリベンジ

そして、ここは一番にさらにフレーズが加えられています。
あの神社の前で誓ったことと、囚われの日々、つまり逃げてばかりいた日々やキヨマサに奴隷扱いされていた日々に、今の俺は違うぞと、もう一度「諦めない」とまた過去にタイムリープ、リベンジする。光った瞳はアニメでは強い意志や、なにか覚醒する際に用いられる表現です。このフレーズが入ったことにより、一番以上に固く強い意志が誓いが過去にリベンジすると捉えられますよね。


私の勝手な解釈ではありますが、『Cry Baby』の歌詞考察は以上です。いかかでしたでしょうか。
最後にCry Babyは弱虫や泣き虫のことをいいます。題名から花垣武道のことを表した楽曲であることがうかがえます。一番は溝中やヒナを含め、タケミチの思いや誓いを、二番はタケミチの視点で思いや誓いを表す。
アニメのストーリーに沿って考えると、ただ歌詞考察するより、シーンごとに「ここの歌詞だ!」「あの歌詞だ!」とイメージしやすくなります。
歌詞がストレートなだけに、歌詞に込められた思いは聞き手にストレートに伝わります。
これだけ物語に一致し、考えさせられる楽曲は、アニメタイアップのアニソンの中でも類を見ないのではないでしょうか。

私はこの考察をし終えて、まず「髭男やべぇ」と思いました。ただのアニソンではなく、元気づけられる曲でもあります。前向きになれない、何か迷った時にオススメの一曲です。
録画しているとOPやEDはスキップしがちです。聞いたことないわという方は一度でいいから聞いてみてくださいね。

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