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クラシカルメカニカルフィルムホビーエモーショナルスナップシューター:BESSA-T

こんばんは。
年の瀬ですね。久々の書き込みになるけど、今年のまとめ的な感じで書いてみようと思う。

Sony Cyber-shot RX100V(DSC-RX100M5A)は僕が社会人になってちょっとした頃に、当時通勤の途中に有ったソニーストアで、店員さんにめちゃくちゃ進められて買ってしまったカメラだ。小さいながらに本格的な機能が盛り込まれていて、フラッシュもEVFも内蔵しているのにチルト液晶やレンズ外周のダイヤルリングまでついている”ガジェット感”が気に入った。このカメラを持って写真を撮り始めたのが僕のカメラライフの始まりだった。
そのRX100Vを、今年は手放した。
理由は、メインで使っているα7IIIのサブ機として使うにはスペックが足りないように感じたからだ。
いや、今思うとそんなのはただの詭弁で、本当はFujifilm X-E4が欲しいけどお金がなかっただけなのかもしれないけれど。
少なくとも当時の僕には、最初のオンナであるRX100Vと別れなければ、次のステップに進めないような気がしていた。
それ、今年の春頃の話。

しばらくはX-E4で写真を撮っていた。通勤に使っているリュックに放り込んでおけば、残業でへろへろの帰り道でも何枚か写真を撮る気になれる。
しかも、以前から持っていたMinolta M-Rokkor 40mm F2をアダプターを噛ませて取り付けると35mm判換算60mmという画角が結構スナップショットに合う。

しばらくして、夏前だったかな。名古屋駅でクラシックカメラ市が開催されてた。ふらっと立ち寄った僕はそこで人生初フィルムカメラ、Minolta X-700を手にする。おいお前、ちょっと気が合いそうだな、使ってみるか?そんなことをショーケースの中から言われた気がしてしばらく立ち止まってしまったら、すかさず店員さんに声をかけられた。フィルムカメラを使ったことがないと言うと、店員さんはフィルムの装填の仕方と写真の撮り方を教えてくれた。もともとロッコールレンズは持っていたから、そのまま本体だけ買ってしまった。

そこからが沼だったような気もする(笑)

フィルムカメラって、撮った写真の仕上がりがわからないから余計、その写真を撮る過程に重きを置くようになる。これまではどうやって、エモい写真、を撮るかを考えて写真を撮っていたような気がするが、X-700で写真を撮るときは違った。カシャコン、とかわいいシャッター音をどうやって聴くか、みたいな。気になる被写体を見つけて、カメラを構え、ファインダーを覗いて構図を決める。そうしてからようやく、さて、カメラを使うか。という感じに巻き上げレバーを引く。レリーズボタンに指を乗せる。適正露出をカメラが教えてくれる。それに合わせて微調整する。シャッタースピードダイヤルをカチカチと回す。またファインダーを覗く、みたいな。

そうなるとだんだん、X-700はちょっと親切すぎるな???みたいな謎の感情が湧いてきて、もっと面白いフィルムカメラをネットで探し始めてしまった。
そう、Voigtländer BESSA-Tである。

かっこよくね…?

このカメラ、カメラを始めたばかりの自分に見せたらきっと、ばかか、というような気がするんだけど、ファインダーと距離計窓が別々になっている。
まず距離計窓を覗いたままレンズのフォーカスリングを回してピントを合わせる。
そしたらなるべくカメラを動かさないようにしてコールドシューに取り付けたOVFを覗いて構図を確認する。
巻き上げレバーを引く。レリーズボタンを押す。
そんな感じ。

ダイヤルやらボタンやらがいちいちエモい。
巻き上げレバーを引くと巻き戻しレバーが回る。エモい。

もちろん、絞り値やシャッタースピードも自分で設定するんだけど、露出計も面白くて。

▶ ● ◀ みたいな部分が順番に光って露出を示す。●が光れば適正露出。

暗いか適正か明るいかしかわからん。レリーズボタンを半押しすると光る。この感じが気に入った。例えるならば、ぶきっちょなラーメン屋の店主みたいな。自分の言ったことに対して正確には返してくれないけど、何度も通うとその返しのニュアンスがわかってくる。ニュアンスがわかってくると麺の硬さの注文の仕方がわかってきて、だんだん自分が食べたかったラーメンが食べられるようになる。

40mmのレンズを使っているので、41mm相当のOVFであるSigma VF-21を使っている。

このカメラの特徴として、ファインダーが外付けであるということも面白い。レンジファインダー式のカメラって、ブライトフレーム?とかパララックス補正?とかいろいろ大変そう??みたいなイメージが有ったんだけど、なんのことはない、このカメラにはそんなものがないから気にしなくていい。レンジファインダーカメラの入門機としても最適だと思う!(そんな馬鹿な)

VF-21というファインダーは覗くとカメラだ!という感じがしてテンションが上がるのだ。

まあたぶん、他にMマウントのレンズを買ったら、それに合った画角の外付けファインダーを買う必要が出て、お財布的に大変なのは絶対こっちだと思う…

ドゴームとか、どーもくんとかに似ていると思う。かわいい。

実はこのカメラ、電池がなくても動くらしい。そもそもシャッターを切るのに電力は使っておらず、露出計のための電池なんだとか。なんじゃそりゃ。
X-700と違ってシャッターは金属製。シャッター音も全然違う。なんか、機械細工を動かしている感じがあってこれはこれで面白い。このせいで最近はα7IIIでも電子先幕シャッターをオフにして使うようになったくらい。

M-Rokkor 40mm F2の赤いポッチは購入時点で取れていたので、ダイソーのビーズでDIYしている。かわいい。

筐体はプラスチックらしいけど、しばらく自分は金属製だと思いこんでいた。それくらい質感は良い。安っぽさを感じない。
あと、この個体は限定カラーモデルらしいんだけど、ボディだけで売っていたもので専用のファインダーやレンズは持っていない。入手性はだいぶ低そうだし僕は多分セットで揃えることはないと思う。この緑色のボディがなかなかかっこよくて、シルバーのダイヤルやブラックのレンズやファインダーと相まって独特の雰囲気を醸し出している。X-E4や他の手持ちのカメラと違った見た目がまた、所有欲を満たすんだと思う。

ストラップには、PeakDesign Cuffを使っている。

バッテリーを気にしなくて良い分X-E4よりも気軽に持ち出せるし、同じレンズをつけるならアダプターがないから薄くて軽いので、気づけば通勤にはBESSA-Tを持っていくようになってしまった。なんてことだ。

BESSA-T一式

好きなレンズ、好きなファインダー、好きなストラップをつけて持ち出す好きなカメラ。こんなにテンションの上がるカメラがあるのだろうか。写真を撮らないで手に持っているだけで、満足感は高い。見た目はクラシカル、中身はメカニカル、本質は超ホビー、存在はエモい、そしてこれを持ち出してたくさんスナップショットを撮りたくなる。
自分の中で今年のカメラオブザイヤーを決めるならBESSA-Tだと思う。

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