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WSET Level3:記述問題対策②(醸造編)

今回は、記述問題のうち、「醸造」の頻出問題の解き方と、対策方法についてまとめます。醸造に関する問題は、以下の2パターンが出題されます。

「醸造」に関する記述問題の出題パターン

パターン1.工程描写問題

ブルゴーニュ地方の白ワインには、バターやクリームのような香りを持つものがある。それはどのような工程によるものか?

解答例

  • マロラクティック発酵によるものである。

  • アルコール発酵後に、亜硫酸塩を加えず、温度を下げないことによって発生する現象である。

  • マロラクティック発酵では、ワインの持つリンゴ酸が乳酸菌により乳酸に転換される。これにより、酸味が減少し、バターやクリームのような香りが生まれる。

パターン2.因果関係問題

冷涼なロシアン・リヴァー・ヴァレーAVAの生産者は、高品質なシャルドネのワインにマロラクティック発酵を行う場合があるが、それはなぜか?

解答例

  • 冷涼なロシアン・リヴァー・ヴァレーAVAでは、酸味が非常に高いシャルドネが産出される

  • 酸味が過剰な場合、マロラクティック発酵により、リンゴ酸を乳酸菌により乳酸に転換されることで、酸味を減少することができるから

  • シャルドネはニュートラルな香りの品種である。マロラクティック発酵を行うことにより、バターやクリームのような香りを追加し、複雑性を高めることができるから

「醸造」に関する記述問題の解法

どちらのパターンも、前回の「記述問題対策の原則」で記載した手順で解く事ができます。以下を念頭に入れて、もう一度読み直してみてください。

STEP1.問題をよく読み、端的な解答を考える
STEP2.端的な解答を、ポイントを見極めて掘り下げる(5W1H)
(それは「何か」、「何に」、「いつ」、「どのように使うか」、「なぜそうするのか」)

以下記事より

「醸造」に関する記述問題の対策方法

解法は上記の通りですが、解法を上手に使うためには、アウトプットを見越したインプットを行う必要があります。
今回扱ったマロラクティック発酵もそうですが、一つの用語に関する記載が1箇所にまとまっていないことも多く、上手にまとめを行わないと、インプットに漏れが出ることがあります。

まとめ方は単純で、「5W1H」でまとめると良いです。最終的に5W1Hで答えるのだから、まとめも同じ形式で行うわけです。

例に「マロラクティック発酵」をまとめるので、如何に解答時の元ネタとして使いやすい形になっているかを確認してください。

【記載例】マロラクティック発酵

まとめのコツは、とりあえず順番に書いていくことです。特に、Whyは「結果として起こること」を何でも書いてしまいましょう。他の「W」と内容が被っていても問題ありません。Whyまでは必ず書く必要がありますが、全部埋めないといけないわけではありません。

まとめ用のテンプレート

まとめは、書き直しができるよう、Googleスプレッドシートなどで管理すると良いと思います。(ちょっとした時間でスマホからも確認できますし)テンプレートを共有しますので、使ってみてください。

まとめるべき用語

試験対策が必要な用語は、Specificationの「範囲 3:ワイナリーにおける人的要因 」と、「範囲2:ブドウ畑における人的要因」の一部です。

Specificationの用語はどれも重要ですが、特に問われやすいポイントが存在します。そのポイントを太字にしたので、まとめる用語は太字のものに絞るのがおすすめです。全てやろうとすると時間がかかり過ぎるので、半分くらいに絞っています。

まとめのコツは、綺麗なノートを作ろうとしないことです。まとめを行う目的は、あくまで記述問題への対策です。知識が記憶に刻まれ、試験ですらすらとアウトプットをできるようになるためにやっているのです。ノートの美しさより、自分に如何に染み込んだかが重要です。

範囲 3:ワイナリーにおける人的要因 範囲3

■共通の要素
酸素の役割、亜硫酸の役割、ワイナリーで使う容器(オーク、ステンレス、コンクリート)、アルコール発酵、マロラクティック発酵

■マストの調整
マスト強化、補酸、減酸

■白ワインの醸造
ブドウ品種、最初の処理、除梗、破砕、スキンコンタクト(果皮浸漬)、圧搾、清澄化、アルコール発酵、粗い澱を取り除く、マロラクティック発酵

■赤ワインの醸造
ブドウ品種、最初の処理、除梗、破砕、発酵前の抽出アルコール発酵と抽出、発酵後の抽出、圧搾、 マロラクティック発酵 房ごと発酵させる方法(炭酸ガス浸漬法、半炭酸ガス浸漬法、房ごとのブドウと破砕したブドウを使用) 

■ロゼワインの醸造
直接圧搾、短期間のマセラシオン、ブレンド

■甘口ワインの醸造
発酵の中断、甘味成分の添加、ブドウの糖分を濃縮させる方法(範囲2の「糖分を凝縮させる方法」が重要)

■熟成
オーク樽(種、生産、使用年数、サイズ)、不活性の容器(ステンレス、コンクリート、ボトル)、澱との接触、オーク樽 の代用

■ブレンド
理由(バランス、一貫性、スタイル)

■清澄化処理
沈殿法、清澄、濾過(深層、膜状) 安定化 酒石酸塩、微生物

■容器
ガラス、プラスチック、バッグ・イン・ボックス 栓 コルク、テクニカルコルク、人工コルク、スクリューキャップ

Specification「人的要因 」

範囲 2:ブドウ畑における人的要因(一部)

■ブドウの糖分を濃縮させる方法
貴腐、樹上でブドウを乾燥させる、収獲後にブドウを乾燥させる、樹上でブドウを凍らせる

補足

  • 上記例題は、テキスト記載の例題と、スクール講師の模範解答をベースにしています。

  • 過去の試験問題や採点基準は公表されていません。採点はロンドンの本部で行われ、講師にも明確な基準は開示されていません。よって、上の解答で満点が取れるかを保証することは出来ません。

  • 筆者は、一応Distinctionで合格しているので、解答例はそれなりに正しく、対策リストも妥当なものになっていると思います。

質問、コメントがある方へ

質問、コメント等がありましたら、質問箱に投稿頂ければと思います。どんなご相談でも大歓迎です。

※この記事は、「WSET Level3に効率よく合格する方法」の詳細解説記事です。1つ目の記事で、試験対策の全体像をまとめているので、そちらもあわせて御覧ください。

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