『ひとりの体で』ジョン・アーヴィング
ジョン・アーヴィングの13作目の長編小説です。
今回の作品は、性の多様性というテーマが他のアーヴィングの作品よりも強く感じられました。バイセクシュアルである主人公のビリーを中心に、ゲイやレズビアンなどさまざまな性を持ったキャラクターが登場します。ビリーが学生時代を過ごした1950・60年代は多様な性に対して寛容とは言えず、生きずらさを抱えています。
アーヴィングは1970年代から自身の作品で多様な性のあり方を描いてきました。彼の代表的な作品である『ガープの世界』では、主人公は姉への愛情を抱いていましたし、『オウエンのために祈りを』での主人公は同性愛者でした。ですが、本作は性の多様性への寛容にかなり焦点を当てて書かれているかと思います。
また、性の多様化に加えて、アメリカで1980年代から流行したエイズの社会問題に向き合われています。僕も不勉強でアメリカでのエイズの歴史については、本作を通して少し理解できました。
『ひとりの体で』で、最も印象的な言葉がこちらでした。
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