behringer NEUTRONをMIDIコントロールのみでウィンドシンセ音源として使う
behringer NEUTRONをMIDIコントロールだけでウィンドシンセの音源として使おうというお話です。
NuRADやLyricon DriverでNEUTRONを鳴らした話はこれまで書いてきましたが、どちらもコントローラーからのCV出力を利用する方法でした。その後いろいろ試してみると、各社最新のウィンドコントローラーならMIDIだけでも充分に使えるということがわかったのでそのあたりを書いてみます。2023/11/26にYoutubeに載せた動画の設定のパッチシートも載せています
(2023/12/10初稿)
演奏例とパッチシートと設定概要
演奏例とそこで使った音色のパッチシートです。
コントローラーはMWiC円筒形(MWiC詳細:https://teefonics.jp/ )
この他に外部エフェクタ(Alesis NanoVerb)でリバーブ(Plate 1)だけかけています。この演奏のNeutronのパッチシートはこちら(クリックで拡大)
空欄のノブの設定は音に影響しないので記入してません。
ウィンドコントローラーからの息に対するMIDI出力はAfter touch(チャンネルプレッシャー)を出力するようにします(CC2ではありません)。動画ではMWiCですが、EWI、Aerophone、NuRAD、その他でも鳴らせます。息の設定は同じです。
Neutronのほうはパッチシートの他に事前準備として、LFOを無効にする(LFO Depthをゼロにする)ことと、ASSIGN CV OUTからAftertoutchを出力するように設定することが必要です(マニュアル参照)。
SLEWを挟んでいるのがCVを使わずMIDIのみで使う上でのちょっとしたポイントで、息でフィルター開閉するときのMIDIの粗さ起因のノイズを無くしています。
MOD DEPTHやTONEは個人のお好みで好きなところにどうぞ。
補足
ブレスMIDIの設定
以下詳細というか補足です。NEUTRONは正面のパネルにMIDI INがついてまして、これでnoteとBend信号は受けられます。あとはASSIGNの設定で、コントローラーからのMIDIのAftertouch(チャンネルプレッシャー)またはモジュレーション(CC1)のどちらかをCVに変換して"ASSIGN"という端子から出力できる機能があります。つまり音程はMIDI(note、bend)で、息の情報はASSIGNから出力したCV情報でコントロールできるわけです。
ASSIGNへの割付方法はマニュアルに書いてありますが、
OSC SYNCボタンを長押し→RANGEボタンを押すとLFOセクションのインジケーターが動くので→インジケーターが矩形波ならCC1、ノコギリ波ならAftertouch
となります。電源を切ってもこの設定は保存されます。
あとLFOも無効にしたほうがトラブルが無いと思います。LFOの"KEY SYNCボタン長押しの後にOSC1のRANGEボタンを押してLFO DEPTH=ゼロ=無効にすることができます。
SLEWの設定
ここがMIDIだけでNEUTRONをウィンドシンセで使う上でのTIPSです。ASSIGNから出力された息(Aftertouch)のMIDI信号はアナログに比較すると粗いので、これでそのままLopass Filterをコントロールすると、ゴロゴロとしたノイズが混ざってしまいます。この粗さをスムースにするために、Neutron機能の「SLEW」(Slew limitter)を使用します。SLEWツマミをゼロにして息を吹くとノイズが聞こえますが、わずかずつ上げていくとどこかでノイズは聞こえなくなると思います。ノイズが聞こえないポイントで設定すればOKです。各社最新のウィンドコントローラーなら5〜10くらいの間でノイズが消えるはずで、この程度であれば息への追従に遅れは感じないと思います。SLEWをもっと上げていくと、息への反応に遅れが感じるようになるのでノイズの無い範囲でできるだけ小さくする設定すれば良いでしょう。SLEWを活用することで、CV出力は無いが息でMIDI AftertouchまたはCC1が出力可能なコントローラーでも単体でNeutronを音源として利用できます。
またSLEWツマミのとなりにPORTA TIMEがツマミがありますが、EWIでいうところのグライドの調整です。ゼロにすると音の切れ目が目立つようになりますので0も含め好みのところに設定。リリコンに近づけたい場合は、5〜10程度に少しだけあげると良いかもしれません。残念ながらウィンドコントローラーのグライドセンサーでCC5等でコントロールすることはできません。
この音色をもとにした簡単な音色バリエーションアイデア
・OSC2をOSC1と同じ設定にしてそこからさらにOSC1, OSC2の波形を変えたりオクターブを変えて重ねるだけで結構いろんな音が出ます。
・OSC1, OSC2のTUNEをわずかにずらせばDETUNE音色。
・RESOを好みで上げればミョンミョンします
・DELAY TIMEツマミ40, REPEATS 50, MIX 50くらいにしてショートディレイを使っても良い
・ATT1 OUT → MULTI IN の途中でスプリッターを挟んで分岐してAAT2に入れ、ATT2 OUTをSHAPE 1/2, PW1/2, RESO等, OSC2(SYNCをON)に入れても良い(ATT2ツマミで変調量を調節)。
Neutron感想
以前の記事でCV出力のあるNuRADなら良いがその他のウィンドコントーラー向きでは無いようなこと書いてしまいましたが、SLEWを使えばどのコントローラーでも大丈夫でした。おわびして訂正します。
で、NEUTRONって、CV OUTにこのSLEW(スムージング)や、アッテネーター1(増幅)、アッテネーター2(減衰)、SUM(混ぜる)、MULTI(分ける)、INVERT(反転)、ASSIGNによるMIDI AftertouchまたはCC1のCV変換、MIDI note on/offのGate化出力、など、音を鳴らさずCV加工モジュールとしてだけのためでもかなり使えるんですよね。これら単機能モジュールをそれぞれ別個に揃えたらNEUTRONの価格を上回るかも、ということでモジュラーシンセ入門にも良いなあとあらためて思いました
あと音色ですが、OVERDRIVEがついているのがかなり音の太さに効いてますのでこれは積極的に使いたいなと思います。