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音源設定メモ03 Roland SE-02 その03あるいは「NuRAD / NuEVI / EWI5000奏者のためのはじめてのRoland SE-02 その1」

〜ウインドシンセ用の音源の設定の備忘録シリーズです〜。「NuRAD / NuEVI / EWI5000奏者のためのはじめてのRoland SE-02 その1」。
SE-02を買ってきてまず最初にウインドシンセで吹いてみる、というときのケース例として。

 長いのでまず結論だけまとめると、ウインドコントローラーを設定例1か2に設定してSE-02のプリセットを吹きながらツマミをグリグリすれば楽しめるよー、というお話です。最後に僕のデフォルト音色のパラメータ付属。

 前回・前々回とウインドシンセ用のRoland SE-02の設定を書きましたが、購入1週間くらいのメモでありまして、半年使ってくると使い方や気持ちも少し変わってくるもの。ここであらためて「ウインドシンセ用にSE-02買ってきたけどまず最初にどうしたら良いのか」について半年間のメモをまとめてみたいと思います。前の記事と矛盾してはいないと思うけど微妙に言ってることが違ったらご容赦くださいませ。

前提とするコントローラー:

コントローラーはNuRADを第一前提で書きますが、NuEVIおよびAKAI EWI5000での使用もほぼその通り可能です。その他のコントローラーは考慮していませんごめんなさい。

接続:

SE-02のMIDI INに、各コントローラーのMIDI OUTを直接接続します。USB(パソコン)経由の接続、NuRAD/NuEVIのCV接続は話がややこしくなるのでとりあえず今回は使いません。音そのものはSE-02本体にヘッドホンをつなげば聴けますが、外部エフェクターでリバーブを少しかけて聴いたほうがより気持ちよくなるかと思います(SE-02はディレイしか内蔵せずそのディレイを使っていないプリセットも多いので)

音出し:

MIDIをつないで、SE-02のプリセットA01を選んで吹けば、とりあえずは鳴るはずです。鳴らなければ、コントローラーと音源側のMIDI送受信チャンネルをチェック。一般的にはどちらも1チャンネルにします。SE-02背面のボリュームのツマミもチェック。

コントローラー側のブレス設定:

とりあえず音は鳴ったけど、音量や音色(おんしょく)が息の強さ(ブレス)で変わらないかもしれません。SE-02はウインドシンセ専用音源でよく使われるCC2に反応しないためです。使うコントローラー側のブレス信号設定を適切にする必要があります。参考までにSE-02の各ツマミに対応するMIDI CCをまとめると下図の通りです。CC7(VOLUME)がVOLに、CC74がCUTOFFにアサインされています。なお興味の無い方はこれ以上はスルーして次に行って大丈夫ですが、こだわる人には結構役に立つ図だと思います自画自賛。ちなみにアナログ回路の純粋アナログシンセなのに音色に関する全てのパラメーターをMIDIで操作できるのがSE-02の良いところでもあります。

↓SE-02 ハードウェア MIDI CCマップ
※図中最下部の87〜117のノブは、PATCH SETUP(COMPボタンとPLAYボタン同時押し+数字キー)で設定する項目。

画像1

ウインドコントローラー設定例1:

NuRAD / NuEVIの場合、本体のSETUP BRから
BRTH CC A = VL  (VL+ではない) (VL=VOLUME=CC7のこと)
BRTH CC B = 74
CC B RISE = 1x
BREATH AT = OFF
VELOCITY = 100 (いくつでも良いがとりあえず100。DYNにはしないこと)

EWI5000の場合、
ブレスセンサーからVOLUMEとCC74が出るように設定します。
・VolumeはLow ResolutionをON (CC7が出る)
・CC SendでCC Number = 74、No Breath(下限値)= 0、Breath(上限値) = 127(最大値)を設定。
・Breath(CC2)とExpression(CC11)はoff推奨ですがLow Resolutionが出ていてもとりあえず問題は起きないはず。
・VELOCITYは固定で例えば100。(Lock Velocityをチェックして例えば100、Constant OutputをチェックしてLock Velocityと同じ数値)
設定の仕方は公式のサウンドエディター・ユーザーガイドの16ページ参照。
http://ewi.akai-pro.jp/ewi5000/

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まずは設定例1でいろんなプリセットを吹いてみる

 ウインドコントローラー設定例1の場合、ブレスで音量とフィルターのカットオフが変化します。これでプリセットA1〜D128まで片っ端から選んで吹いてみてください。とりあえずほとんどの音色でこのまま楽しめます。息を弱く吹いたときの音色にも気をつけながらお気に入りのプリセットを見つけましょう。余談ですが、NuRAD/NuEVIの音源として日本で人気のある「Roland MC-101」もこの設定1で演奏できるらしいので、2つの音源を同じコントローラーの設定で吹けるのはメリットがあります。

プリセット音色をいじってみる

 次にプリセットを吹きながらツマミをいろいろじってみます。SE-02は音色メモリーできるのは良いのですがソフトシンセと違ってプリセット切り替えと同時にツマミも動くわけではないので実際のツマミの位置とプリセットで切り替わった内部のパラメータの位置が異なる、つまり音色のパラメーターがブラックボックスです。仕方ないけど悲しいところです。公式のエディターを使うとプリセットのパラメータも全部知ることができるのですがそれはさておき、いじると音が変わることが多いのが次のツマミです。とりあえず例としてプリセットA3を選択して
・ENV1をグリグリ
 クワークワーと変化したらしめたもの。音程が変わってしまうようならSYNCスイッチをONに。
・MIXERでOSC1, 2, 3の音量バランスを変えてみる
・WAVEFORMをいろいろ変えてみる、OCS2と3のRANGEも変えてみる。 
VCO1, 2 , 3の波形をそれぞれ変えてみましょう。パルス波を選択したときにいきなり歪んだり暴力的な音になる場合はXMODの一番下(O3-PW1,2)がかかっている場合が多いのでこれを減らしたり調節。
・XMODの3つのツマミを動かしてみる
 歪みが加わることが多いです。
音の出だしの変化(EG)が不要と思ったら
 まずはENVELOPESのATTACK、DECAYを上下とも両方ゼロにしてみる。
音の出だしの変化が気に入ったのでこれをレガート(スラー)の時も欲しいと思ったら、とりあえずマルチトリガー(MTRG)をONにしてみる
・ロングトーンの時に周期的に音が変化するのが嫌ならば
 LFOのところのOSCとFILTERのツマミをゼロにする。またはMIXERのところのFEEDBACKを小さくする。
・フィルターをもう少し閉じた状態にしたい場合
 CONTOURを小さく(ゼロに)する。XMODのO2-FILTERをゼロにする
・レガートの時にもう少しだけ音の切れ目が欲しい場合
 GLIDE TYPEをOFFまたはLINに。EXPだと一番切れ目が無い
 あるいはMTRIGをONにする

こんなところでしょうか・・・・気に入った音色に調節できたら、ユーザーバンクに保存してその番号と、どんな音色かをメモしておきましょう。

保存したプリセット間の音量感を統一したいとき

通常、シンセサイザーでプリセット音色の間での音量感を揃えるにはいろいろ音作りをした上で「VOLUME」で音量感を揃えて保存します。SE-02はツマミとしてはVOLUMEがありませんがパッチ毎のパラメーターとしてVOLUMEの設定があります(SE-02マニュアル「セットアップ・パラメーターの設定」参照。COMPとPLAYボタン両押しで[6]の項目)。ところが「コントローラー設定1」ではこのVOLUMEパラメータを息でリアルタイムで動かしているため、VOLUMEのパラメータで音量を揃える設定ができません。結論としてはあきらめましょう。ただし、どうしても揃えたい場合は、MIXERでOSC1、2、3それぞれの大きさを調節して設定するか、VCAのSUSTAINを大小して調節する方法はあります。

フィルターをそんなに開きたくない!とき

ウインドシンセの魅力のひとつは「ローパスフィルターが開ききらないところの甘い音色」だと思いますがウインドコントローラー設定1のままでは息を強く吹くと常にフイルターが全開になってしまいこの魅力を充分表現できないとも言えます。このための設定はNuRAD/NuEVIだとちょっとややこしくなってしまうのですが、EWI5000では比較的簡単な設定で実現可能です。EWI5000エディターで、ブレスからのCC74の最大出力設定値を127では無く、もう少し減らしましょう(お好みですが、例えば80とか)。充分に減らした上で、CONTOURをいじってバランスをとって、好みの「フィルターが開ききらない音」にしましょう。NuRAD/NuEVIの場合はこの最大値設定ができないので設定1のままでは限界があります。設定2を試してみてください。

ウインドコントローラー設定例2:

NuRAD / NuEVIの場合、本体のSETUP BRから
BRTH CC A = VL  (VL+ではない) (VL=VOLUME=CC7のこと)
BRTH CC B = OFF
CC B RISE = 1x
BREATH AT = ON
VELOCITY = 100 (いくつでも良いがとりあえず100。DYNにはしないこと)

EWI5000の場合、
ブレスセンサーからVOLUMEとAT(アフタータッチ)が出るように設定。CC74は出さない。
VELOCITYは固定で例えば100。

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設定2でいろんなプリセットを吹いてみる

とりあえず同様に順にプリセットを吹いていきましょう。設定2では、フィルターを直接CC74でコントロールせず、SE-02内部のモジュレーションソースとしてAT(アフタータッチ)を使ってフィルターをコントロールします。この設定でプリセットを吹くと、CC74でコントロールしていたときよりフィルターが開ききらないで鳴る音色が多いと思います。またATがフィルターにかかっていない音色もあります。音色を調節したい場合、設定1であれこれいじったところに加え、次の3つをいじるとフィルターの開きからが調節できます。
・CUTOFFをいじってみる
 CUTTOFFの初期値です。AT制御の場合、この初期値からフィルターが開いていきます。
・CONTOURをいじってみる
 CONTOURを大きくするとフィルターが開きやすくなります。
・SE-02のPATCH SETUP設定でATの効き具合を調節
 COMPボタンとPLAYボタンを同時押し→4ボタンで「After to VCF」と表示が流れ、ATがカットオフをコントロールするときの効き具合が調節できます。パッチ毎に保存できます。これを小さくするとフィルターが開きにくくなります。

もうすこしフィルターの開き方にこだわりたい人のためのNuRAD/NuEVI向け小技(ウインドコントローラー設定3)

設定3です。NuRAD/NuEVI専用設定。
BRTH CC A = OFF  (あるいは設定1の変形としてCFにしても良い) 
BRTH CC B = 7  (すなわちVOLUME)
CC B RISE = 2x、または2〜10のお好みの値
BREATH AT = ON
VELOCITY = 100 (いくつでも良いがとりあえず100。DYNにはしないこと)

この設定にすると、CC B RISEが2またはそれ以上になっているので、ブレスに対しVOLUME(音量)が先に大きくなり、よりフィルターの変化を目立たせて表現できます。僕は2xで使うことが多いです。

さて、設定2や3までこだわり出すと、プリセットでパラメーターがブラックボックスのままで音色づくりをするのにも限界があり、わけがわからなくなります。全てのパラメーターを自分で認識して作成したデフォルト音色をつくっておくと、そこからスタートできるので効率が良くなりますし理解も進むと思います。

そんな感じで僕がつくってみたデフォルト音色は下図の通り。ユーザーバンクの70番に入れていて、自分の中では「70番の音」として新しい音色を作りたい場合はここからスタートする基準の音色になってます。

画像2

素直な1VCOのSAW音色で、設定1でも設定2でも設定3でも、ブレスで音量とフィルター開閉がコントロールされます。これをもとにいろいろツマミを回すと良いと思いますが、だいたい

Pink:あまり変えなくても良さそうなところ
Green:最初にいろいろいじってみて良いところ
Yellow:その次にいじってみて良いところ
Blue: Filterの効き具合に関わるところ。個人差・機種差にあわせ好みで微調整
Orange:Legatoの感じにかかわるところ

という感じと思います。長くなったので、このデフォルト音色の細かい解説は、次の記事(https://note.com/windsynth/n/n4ef8decf0cde)に書きましたのでよろしければどうぞ



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