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[04] Roland S-1 ウィンドシンセ日記その4 ・PWM、OSC CHOP、OSC DRAWのメモ

ウィンドシンセサイザー用の音源として2024年6月25日にRoland S-1を買いました。使っていく過程を日記感覚でメモします。日記なので、しばらくあとに訂正が入ったりするかもしれませんがその場合はすみません。
第四回目はパルス幅、OSC CHOP、OSC DRAWであれこれ音色を変えてみようというメモです。パルス幅変えるのは常套手段。OSC CHOPは結構マニアックですが「1個だけCHOPしてみる」のは簡単だしちょっとやってみても良いかもしれません。



パルス幅の変更

 前回第3回でも書きましたが、S-1のPULSE波はパルス幅を変えられます。好みの幅に固定するにはPWM SRC(PULSE Source)を「Manual」にしたうえで、PWM DPTH(PWM DEPTH)の値を変えます。この値が0のとき、「50% Pulse波」で、値を大きくすると幅が変わります。
 値とPulse幅についてオシロスコーププラグインで表示して目視で調べたのでメモ書きします。多少誤差はあると思いますが目安として参考になれば幸い。
 なお、PWM DPTHはS-1ではCC#15にアサインされていますので、ブレスでCC#15を適切な範囲で送信すればブレスでパルス幅をリアルタイムコントロールできます。(コントローラー側にそのような機能が必要)

Roland S-1 設定値とPulse Width(著者計測)
S-1  50% Pulse(S-1表示設定値=0)
25% Pulse (S-1表示値=138)

なお、オシロスコーププラグインは下記2種を使用。
https://www.meldaproduction.com/MOscilloscope
https://socalabs.com/analysis/oscilloscope/

OSC CHOP

OCS CHOPは波形を16分割し、一部を切り取って波形を変えて音色を変える機能で、結果的に倍音が強調されます。操作方法はS-1のマニュアルのP37参照。「16分割」がそのままS-1本体の「16個の白い鍵盤ボタン」に対応しています。白鍵を押して、波形の切り取りのON/OFFを行います。その他の操作方法はマニュアルのP37参照。
この「16個の白鍵を押す」操作はMIDI CCがアサインされていないため、S-1 Editorや外部MIDIコントローラーでは出来ません。S-1本体をポチポチ触る必要があります。

例えばSAWに対してNo.9とNo.14をCHOPすると下のような波形になり、倍音が強調されます。

SAW波に対してNo.9とNo.14をCHOPした波形

CHOPする位置が16個あって、それに関連するOvertone、Combという2つのパラメータもあり、さらにはSAW,Pulse,Sub,Noiseオシレーター全てCHOPできるので、複雑なのですが、ウィンドシンセ的には、「少し倍音が強調されて金属的な音が付加できる」程度に覚えておけばよいのかな、と思いました。「ちょっと試しに1箇所CHOPしてみるか」くらいで結構音が変わります。逆にあまりたくさんいじってもそれほど音は変わらないしノイズ的になってしまうので。

CHOPに関する箇条書きメモ

・Saw、Pulse、Sub、Noiseオシレーター全てにCHOPできる
・PulseはPWを変更した場合、それにCHOPされる
・Pulse波形をOSC DRAW波形(後述)に切り替えていた場合、OSC DRAW波形がCHOPされる。このときOCS DRAWのMultiplyも併用可能。
・NoiseはCHOPしてもほとんど音色は変わらないので使うことはなさそう・・・。
・「ノートの周波数が1kHzを超えるとOSC CHOPの効果はかかりません」とマニュアルにある。具体的にはB4はCHOPするがC5はCHOPしない。より正確にはPulse or Sawオシレーターの周波数が1kHzを超えたらSubもCHOPしなくなる。Subオシレーターは1オクターブor2オクターブ低いのでSawが1kHz超えだがSubは超えていないことがあり得るがSawが超えていればSubもCHOPしなくなる。
Saw、PulseにCHOPをすると、1オクターブ上の倍音が強調される。他の倍音も強調されるが1オクターブ上が一番目立つ。
SubをCHOPすると、1オクターブ上は強調されず、それより上の倍音が多く強調されてメタリック感が追加される
・Combは控えめな数値であればさらにメタリックさを付加できるが、大きめの値ではほぼノイズになる。

SAW波に対してNo.9とNo.14をCHOPし、さらにComb=5にした波形

・操作時の注意:CHOPをいじっている時に白鍵が点滅して操作ができない場合は「CHOP OVERTONE」がゼロになっている(CHOPが無効ですよ、のお知らせのため点滅している)ので、ゼロ以外の値にする。
・CHOP OVERTONEを100にして、白鍵を全てOFFにする(全てCHOPする)と無音になる。CHOP OVER TONEの値が100以外なら無音にならない。101以上では逆相化してより倍音が強くなる。
・CHOP OVERTONEのS-1本体表示値は0〜200だがこれはMIDI CC値の2倍値。MIDI CC値の101以上を送信しても全て最大値の「200」として扱われる

ウィンドシンセで使ってみる場合の例

 SAWとPulseを重ねている音色があったとして、PulseのNo.9をCHOPしてみる。CHOP OVERTONEは初期値の100、Combは無効(=1.0)で良い。
 PulseとSubを重ねている音色があったとして、SubのNo.13やその他いくつかをCHOPしてみる。どちらも倍音が追加されてちょっと音色の感じが変わります。

参考動画

最後にOSC CHOPについてmrkaeru 211さんのYoutube動画が大変参考に勉強になりましたのでご紹介。

OSC DRAW

OCS CHOPはPules波オシレーターの波形を16分割し、-100〜100までの値でオリジナルな波形を描ける機能です。操作方法はS-1のマニュアルのP35参照。「16分割」がそのまま、S-1本体の「16個の白い鍵盤ボタン」に対応しています。白鍵を押しながら「VALUEツマミ」をくるくるして設定します。その他の操作方法はマニュアルのP35参照。
この「16個の白鍵を押しながらVALUEツマミ」の操作はMIDI CCがアサインされていないため、S-1 Editorや外部MIDIコントローラーでは出来ません。S-1本体をグリグリ触る必要がありますし、本体だけで波形が見えるわけでもないので面倒です。描きたい波形があってそれにしっかり合わせたい場合は、計算して値を決めておく必要がありますし、オシロスコープで波形を見ながら確認する必要はあります。まあ、かなり面倒ですね。
波形の形状として「階段状」の「STEP」と、スムーズにつなぐ「SLOPE」の2種があります。狙って波形を作るにはSLOPEで作れば良いと思いますが、STEPだと「やや荒れた、倍音が多い音」になります。SLOPEでDRAWして波形を作ってみたけどちょっと押しが弱い音だなあ、と感じたら最後にSTEPに切り替えたりすると、押しが強くなって良くなることがあるかもしれません。

Formによる設定

S-1の音色初期化操作をすると「三角波」が出るようにDRAWの設定がされています。つまりDRAW SwitchをON(Slope)にすると、Pulse波オシレーターを「三角波オシレーター」として使用できる、ということになります。
設定値を変えればいろいろな波形がかけます。複数のPulse幅を持つPulse波形やSaw波形を書くこともできますし、PulseとSaw混在の波形を一つのオシレーターで作る、なんてこともできます。次の表は初期設定の三角波の設定と、SAW波形とするときの設定値です。通常のSAWオシレーターの波形とおおよそ同じものが得られます(厳密には微妙に違いますが)。

OSC DRAW Form設定値例(Tri waveとSaw wave)
上記設定値でOSC DRAWしたSAW波(SLOPE)
通常のSAWオシレーターのSAW波形

とはいえDRAWと通常のSAW、この2つのオシレーターでデチューンができるわけでもないのでわざわざOSC DRAWできれいなSAWを出してもあまり意味は無いのと、OSC DRAWで描いたこのSAW波は押しが弱いので「SLOPE」でなく「STEP」にしたほうが良いかもしれません。また、あえて少し崩したSAW波にしたほうが重ねる意味も出てくるかもしれませんね。

DRAW Multiply

DRAWした波形については「Multiply」の値を上げることで、倍音構成を変えながらオクターブを上げていくことができるのでMultiplyを小さめの値で変化させるといわゆる「オシレーターシンク」的な音色を得ることができます。他のオシレーターと混ぜながら好みの音にしていくと良いのではと思います。

上記設定値でOSC DRAWしたSAW波(SLOPE)でMultply=1.5にした波形

DRAWに関する箇条書きメモ

・DRAWできるのはPulseオシレーターのみ。Pulse波のかわりにDRAWした波形になると思えば良い。
・DRAWした波形はCHOPでき、DRAW MultiplyとCHOP OVERTONE、Combは併用できる。
・DRAWした波形はちょっと音量小さめ
・SLOPEでなくSTEPにすると、音に荒さと倍音を簡単に付加できる
・デフォルトの三角波のままで、フィルターをある程度絞ったままにできれば「サイン波」に近くなる。そのままMutiplyを上げればちょっとFM音源的にも。
・Multiplyを適切に設定すれば他のオシレーターに対しDRAWオシレーターを1〜数オクターブ高くする、ということができる
・他のオシレーターと混ぜつつ、Multiplyを小さめの範囲で変化させるとオシレーターシンク的な音色変化になる(ちょっとシンクの音色変化が階段状ですが)

ウィンドシンセで使ってみる場合の例

 好きな波形を描いて他のオシレーターと重ねる、というのが考えられますが、Multiplyでハードシンク的な音色を出すのもウィンドシンセ的かなぁと思います。DRAW MultiplyはMIDI CC#102がアサインされていますので、コントローラー側にそういう機能が必要ではありますがブレスでCC#102を0〜25くらいの間の好みの値で動かすと、息で「くわーくわー」という音色変化が得られるオシレーターシンク音色に近いものが得られます(あまりスムーズな変化ではないですがそれもまた個性)
MWiCのブレスCC出力をCC#102=0〜22にして、ブレスでMultiplyを動かしながらの音色はこんな感じ。


参考動画

OSC DRAWについてmrkaeru 211さんのYoutube動画が大変参考に勉強になりましたのでご紹介。


また、PULESE WIDTH、OSC CHOP、OSC DRAWその他についてこちらの動画も大変参考になったのでご紹介。英語ですが自動翻訳の日本語字幕を出せます。


おわりに

PULESE WIDTH、OSC CHOP、OSC DRAWについてウィンドシンセ視点でのメモ書きでした。PULSE WIDTHを変えるのは音作りの常套手段ですのでこれは普通に使いこなしたいですね。
OSC CHOPは、狙って音を作るのはかなり難しそうなので、もうちょっと高音(倍音)がほしいな、キラキラした感じが欲しいな、メタリックな感じが欲しいな・・・と思った時に、16個のCHOPを適当にポチポチON/OFFしてみて偶然良い感じになればラッキー、くらいの緩さでいじってみるくらいの気持ちで良いのでは・・・と思いました。
OSC DRAWも狙って波形を作ろうとするとかなり手間がかかるので、変化がわかりやすい「STEP」であれこれテキトウにいじってみるとかMultplyを上げてオクターブや2オクターブ上の音を重ねてみる、みたいな感じが良いかもしれません。

あとS-1のウィンドシンセ的視点で紹介していないのは・・・POLYモードとかCHORD使うとどうなるかとかここぞというときの必殺技あるいは一発芸的な使い方でしょうか・・これはコントローラーとしての機能が豊富なMWiCが必要になってきますが、、、次回ということで♪♪♪♪


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