リリコン初体験その10・Arturia MatrixBruteを鳴らしてみた
Arturia社MatrixBruteを衝動買いしてしまい、CV inがあるのでLyricon driverで鳴らしてみたらストレス無く超気持ち良く吹けた、というお話。
クリスマスを前にいろんな動画を徘徊していたら気になってしまい物欲が盛り上がったところで試しに価格を調べてみたらお得感のある中古品を見つけてしまい衝動的に買ってしまいました。
Arturia MatrixBrute https://arturia.jp/products/item/matrixbrute/
3VCOのモノラル完全アナログシンセ、音色メモリー付き。MIDIで多くのパラメータ(ノブ)をコントロール可能。マトリクスモジュレーションでいろいろ変調できてウインドシンセ音色も作りやすそう。
そして、MIDI12個のCV in + GATE端子付き、NuRADのCV outの活用もできるし、Lyricon driverで鳴るよね!?!?
↓MatrixBrute背面のCV端子。この他にGATEとSYNCのIN/OUTもある。
・・・・ということで早速やってみました。
結論を先に言いますと、GATE無しでブレスでVCAとVCF(といくつかの変調)をコントロールしてストレスなく気持ち良い音で演奏することができました。グロウルにも気持ち良く反応するし、普通の音から歪んだ音から奇妙な音までいろいろ出せるし音色メモリーできるし、最高です。
まずは比較的素直な音でのお試し演奏。
2テイク撮ってまして、接続の設定とMatrixBruteの基本設定してはそれぞれ
Take1
MatrixBrute :VCO1= SAW (to Steiner Filter), VCO2 = SAW ( to Ladder Filter), Stereo Delay
Lyricon: wind 1= Steiner Cutoff and Ladder Cutoff, wind 2 = VCA, bend up = VCO1 Pitch
VCO2つでSAW波を重ねてます。detuneの設定はしていませんがナチュラルに僅かなdetuneがかかっています。アナログシンセならではというか。
Take2
MatrixBrute :VCO1= SAW (to Steiner Filter), VCO2 = SAW ( to Ladder Filter), Stereo Delay, SYNC (VCO2→VCO1) = ON
Lyricon: wind 1= Steiner Cutoff and Ladder, wind 2 = VCA and VCO1 Pitch, bend up = VCO2 Pitch
SAW波を重ねてるのは同じですがbreath (wind 2)でVCO1 のpitchを変えつつHARD SYNCしたSYNC音色です。
となっております。
当然ではありますがMIDIは使わずCV制御のみであります。最初はてっきりGATEを使わないと鳴らないろばかり思っていたのですが、GATEを使うと音の立ち上がりのアタックの不自然さがどうやっても解消されず、試しにGATE無しでやってみたら普通に鳴ったので、なんだGATE無しでもいけるんだーーーと。GATEが開きっぱなしなのでEGは使えないのですが、吹奏楽器的にはむしろそれが普通だし、違和感のあるアタックがつかないので気持ちよく演奏できるのです。今回ゆっくりめの曲ですが、速い曲でもどんな曲でも吹けそうです。時々サックスのグロウル奏法(喉で唸る)をしています。その程度のわずかで速い周期のbreathの変化をダイレクトに感じて音に反応するのはさすがにLyricon driver (analog sensor)でありCV制御のfull analog synthであります(EWIもグロウルに反応するけど経験上はここまで繊細にコントロールできない)
ちょっと変わった挙動としては、吹きながらMatrixBruteの鍵盤を押さえると、その鍵盤を押したところにしたがってTransposeしてしまいます。知らないとびっくり&困る挙動です。知ってさえいれば特に問題にはならないです。むしろtransposeが簡単にできて便利。
あと、鍵盤を押すことによってそこで一回GATEが開いて、そのあとはGATEが開きっぱなしなので、EGやLFOを有効活用しているような設定の音色をそのままLyricon driverで吹こうとすると意図外の音色となると思われま す。
それから、VCO SYNCの親が良くあるシンセとは逆です。良くあるタイプはVCO1にVCO2をSYNCさせますが、これはVCO2にVCO1をシンクさせます。ですのでいわゆる「ウインドシンセのSYNC音色」を出すためには、VCO2にピッチCVを挿し、VCO1をブレスでモジュレーションします。
で、ともかく普通に演奏できることはわかったので、もっといろんな音色を出してみよう、ということでいろいろ試してみました。
最初の動画よりも裏側のCV inにより多くの端子を挿しています。また、wind 2は、Lyricon driver側のスライダーでCVを出す幅が調節できます。たとえばVCO PW in へは最大幅で出力すると音が出なくなるので(普通の挙動)、幅を適度に調節したりします。あとこの動画では外部エフェクタは使わず内蔵のアナログエフェクト(コーラス)を同じ設定で全ての音色にかけています。
接続設定:Lyricon driver → MatrixBrute
wind1 → VCA, Steiner Cutoff, Ladder Cutoff
wind2 → VCO1 Pitch, VCO1 Ultra, VCO1 Metal, VCO2 Ultra, VCO2 PW, VCO2 Metal
bend up → VCO2 Pitch
動画の経過分数毎になにをやっているかのメモ
0:00 VCO2 Saw wave to Steiner filter, no effect → Built-in analog chorus effect 40%
1:06 VCO2 Pulse wave to Steiner filter
1:38 VCO2 Triangle wave with Metalizer
2:08 VCO2 Saw wave to Ladder filter and Resonance
2:49 VCO2 Saw wave to Steiner filter and Resonance
3:25 VCO2 Saw wave to Steiner filter and Brute Factor
3:48 VCO2 Saw wave to Steiner and Ladder filter (parallel)
4:33 VCO2 Pulse wave with BREATH PW modulation, to Steiner filter
5:05 VCO2 Triangle wave with BREATH Metalizer modulation
5:15 VCO2 Triangle + Pulse + Saw + Sub osc
5:54 VCO1 Saw wave, BREATH pitch modulation → VCO SYNC ON
6:26 VCO1 Pulse wave, BREATH pitch modulation, VCO SYNC ON
6:46 VCO1 Pulse + Triangle + Saw, BREATH pitch modulation, VCO SYNC ON
6:59 VCO1 + VCO2
7:35 VCO1 + VCO2, Steiner/Ladder filter (parallel),
8:05 AUDIO MODs
8:57 using preset memory bank
このシンセを触りだして2日位なんで、まだまだこんなもんじゃないとは思いますが素直な音から凶暴な音まで色々出せますね〜。あと、この動画の途中でCVケーブルは一回も抜き挿ししてないので、最初に配線だけしておけばあとはプリセットボタンを押せば瞬時に欲しい音色が呼び出せるというわけで、音色メモリー付きはやっぱり良いですよね。
あとは、
・Steiner-Parkerフィルターが一般的なLadderフィルター(=moogタイプ)のにない独特の音色があってとても好き
・フットペダルを繋げばCVでコントロールしきれないパラメータもほぼ全て追加でコントロールできるので通常演奏中にやりたいことはほぼできるといって良い
逆に欠点としては
・デカくて重い。バリトンサックスよりもかさばるとなるとサックス吹き的にはきつい
・内蔵アナログエフェクトは少しノイズ(シャーとかブーとか)は多いと思う。あと他の音源部分もデジタル音源に比べるとすこしノイズ(シャーとかブーとか)は気になるが、ピアノ伴奏でのクラシック演奏、とかでなければ伴奏に消されて気にならないレベルではあるとは思う。
くらいかな?まあ、Lyricon driverとMatrixBruteを組み合わせてみた・みる人は今後もまずいないと思いますので、誰の何の役に立つ記事なんだって話ですが、予想以上に相性が良く感じたのと、こうしてメモしておかないと自分でもすぐ忘れてしまうので書いてみました。
この音源はもちろんEWIやNuRADの音源として使えるのでそっちもいずれ!
ちなみに、最初の動画の伴奏に使用したのはこちら。
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