叶わなかったことに屈しない
ある本を読みました。
ノンフィクションです。
『ぼくは君たちを憎まないことにした』
アントワーヌ・レリヌ
レリヌさんは、2015年のフランスの同時多発テロで妻を亡くし、
生後17ヶ月の息子くんと二人になりました。
そのレリヌさんが、本のタイトルにもあるように、憎しみや怒りに負けず
息子くんとの日常と、出来事に向き合ったことが、崇高なまでに淡々と書かれていました。
私が心を動かされたのは、こんな出来事にあって、
悲しみに打ちひしがれても
また立ち上がっていく姿でした。
これを読むと日々、色々あるけれど
やっぱり、立ち上がっていこうと思うのです。
動かせない過去、
叶えられなかったこと、
立ち尽くすしかないこと、
私も、あります。
でも、レリヌさんのように、そこで憎しみや怒りで終わらせるのでなく
またそこから、立ち上がって歩いていく、そうなりたい、と思います。
レリヌさんの文章を一部、ここに記します。
ぼくは決して君たちに憎しみという贈り物はあげない。(中略)
でも、君たちの負けだ。ぼくたちは今までどおりの生活を続ける。
息子とぼくは二人になった。でも、ぼくたちは世界のどんな軍隊より強い。
それにもう君たちに関わっている時間はないんだ。メルヴィル(息子)はいつもと同じようにおやつを食べ、いつものように遊ぶ。
この幼い子供が、幸福に、自由に暮らすことで、君たちは恥じ入るだろう。
君たちはあの子の憎しみも手に入れることはできないのだから。
・・・
この文章の<君たち>を、<自分を悲しみに陥れていること>や
<変えられない過去> <叶わなかったこと> に置き換えて、読んでみました。
すると
同じように
負けて屈せずに、乗り越えたい、と思いました。
もしも、
同じような悲しみや、変えられない過去、叶わなかったこと、を
たずさえている人がいたとしたら
あなただけではないよ、ということ
そして、この本とともにそっと
元気をくれる、そんな風が届けばいいなと、ここにご紹介しました。