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さかさ星 - 圧倒的呪物!呪物×推理のおもしろさ

貴志祐介さんの「さかさ星」を読んだ。
試し読みが公開されていたので、試しに読んでいたと思ったらいつの間にか買っていた。
超要約するなら600ページ超呪物まみれホラーエンタメだった。


貴志祐介さんの作品

既読なのは「黒い家」「天使の囀り」「クリムゾンの迷宮」「悪の教典」「雀蜂」あたりか。
割と読んでいるほうの作家かもしれない。
「天使の囀り」と「クリムゾンの迷宮」が好きだなあ。

序盤から圧倒的呪物量!たまらない

主人公の中村亮太君(底辺オカルト系Youtuber) が、惨劇があったと思われる家に向かう車中から物語ははじまる。
惨劇が起きたのは親戚の家。そこに祖母と、霊能者賀茂禮子と向かい、惨劇が起きた要因を探る、という序盤になっている。
惨劇が起きた福森家には、たくさんの名品があるのだが、その尽くが、賀茂によれば呪物。序盤から大量の呪物が登場し、賀茂によって霊視が行われ、呪物の歴史や、蘊蓄が大量に語られる。これがとてもおもしろい。
知的好奇心が刺激されまくる。文字だけでイメージできないものが多かったので、最初らへんはググって画像検索しながら読んだ。
「鴛鴦飾り蓋付 須恵器壺」「骨灰磁器のティーカップ」「黒式尉」「達磨図」「幽霊画」……。
もうね、圧倒される呪物量。呪物大戦って感じ。

呪物を犯人とした推理モノ

数ある呪物のうち、惨劇を引き起こした呪物とは一体どれだったのか?=犯人は誰か?
みたいな感じで話が進むので、普通に推理ものとして非常におもしろい。
個性豊かな呪物達(犯人達)の来歴を明らかにしながら、何故福森家にこれだけの呪物が集められたのか、惨劇はなぜ起きたのか、そして惨劇を操る真犯人とは……! ワクワクの流れ。
これでクローズドサークル物だったら最高だったなァ~。

ストーカーまで出てくるのかよ

霊能者に加え、白魔女やら黒魔女やらも登場してくる。そして主人公に付きまとうストーカー女の下川リリコまで登場する。
サービス過多だよ!最高。
このリリコがまた怖い。被愛妄想(エロトマニア)のストーカーである。
主人公が自宅にいるシーンが何回か出てくるのだが、ストーカー女来ないでくれ~と祈りながら読んだ。
物語の後の方で、すでに接近禁止命令が出ていることに私も安堵した。

気になったところ

なにせ伏線が多く散りばめられているので、読み逃しているところも多そう。

あっけないストーカー

最高に怖くておもしろそうな存在だったリリコなのにあっけなく退場していた。市松人形もどうなった?
リリコだけで一つ短編でも読みたいぞ。物足りない。

呪術対戦が読みてえ

賀茂 VS 日震 の霊能者バトル物読みてえ~
月震とか、出てくるキャラが皆魅力的なので、ホラーじゃなくても普通に呪術エンタメとして一本観たい。

主人公の魅力がイマイチ

「黒い家」を読んだときは、主人公の取っている行動がどう考えても自ら死地に向かっているようにしか思えなくて感情移入できなかったのを覚えている。今回の主人公は比較的感情移入しやすいが、最初から賀茂推しだった自分としては「もう早よ信じろよコイツ」となる部分も多かった。猜疑心強そうで、ちょっと若くて綺麗な外人が現れたらコロッといっちゃうのが愛嬌よね。

麻衣子さんに虐められてたメイドのなっちゃんはどうなったの?

どうなったの?

まとめ

どの方面のエンタメとしても成立しそうな圧倒的物量と魅力的なキャラたちが際立っていて、おもしろかった。もちろん怖いし。
映像化や漫画化しそうな気配がムンムンである。
秋の夜長にとてもオススメ。