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ニンジャスレイヤーをAoMシリーズから読む/S4_21「ビースト・オブ・マッポーカリプス◆前編」(後)
こんばんは、本編の感想ではお久しぶりです!
AoMシリーズから出戻りしました望月もなかです。 今晩のシーズン5実況を待ちわびながらこの感想を書いています。
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前話の感想はこちら。
【前提】望月のニンジャスレイヤー知識
・書籍第一部を3巻まで(中断)
→6年経過(ほとんど内容を忘れる)
→『スズメバチの黄色』読了
→AoMシーズン1〜3読了+後、PLUS加入
→AoMシーズン4以降はリアタイ+旧三部物理書籍14巻(今ここ)
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今回のエピソードはこちら。
「ビースト・オブ・マッポーカリプス」 - ニンジャスレイヤーWiki*
シーズン4:「ビースト・オブ・マッポーカリプス◆前編」(2)
マルノウチ地区を武力占拠し、インターネット通信を独占するエネアド社。彼らはリアルニンジャ・セトの支配下にあった。物理潜入中のナンシーを電子面でサポートするため、ハッキングに挑むタキとユンコ。通信は確立し、タキは音信不通のコトブキに連絡を試みるのだが……
♯5
決定的にこじれたまま、二度と生きて会うことはなかったはずのマークスリー(リバティ)とコトブキちゃんの会話、しみじみ味わい深い。
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神秘的なアトモスフィアを放つ古い茶器が鎮座していた。それは実際、マツナガ・ニンジャとオダ・ニンジャ因縁の品……「ヒラグモ」であった。
そんなわけありませんけど。
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「邪悪な儀式のパワーが溜まったのですね! 破壊します!」コトブキは決断的に拳を固め、振り上げた。「ハイヤーッ!」「いけない! 短絡は!」リバティが割って入り(略)
手綱役のいないコトブキちゃん、脳筋すぎて困っちゃいますね。
「エネアド社の戦士たちです。強行突破しなければ……!」「シッ」リバティが制した。
(状況が悪化する……! 打って出ねば……)コトブキは呻いた。
でもこの「リバティに心乱されているため、いつもより脳筋ムーブが激しい」コトブキちゃん良いですね。自分のせいだと分かってるからこそ強く出られないリバティくんも滋味。
力不足の悔しさや、マスラダくんが心配なあまりバグっちゃうパターンはこれまでにもありましたが、それ以外に誰かとの距離感で心乱れるコトブキちゃんは珍しい気がします。コトブキちゃんとリバティくんには、価値観の違いをぶつけ合ったからこそ得られる新たな関係性を構築してほしいと思っているので、時間がないからこそ拗れてしまった二人に与えられたロスタイムが嬉しいです。
透明マント(ですよねどう見ても…英国産魔法道具だけに……)を二人でかぶるシーンがかわいい。
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ケイトーさん、本当に「顔面がよくてプライドの高い不屈の貴族」が好きですよね。好みがあからさますぎる。
(私は友人を欲しているからだ)邪悪なニンジャは自身の胸に手を当てた。(しがらみなく、魂と魂で響き合う、真の友。我が奥義を分け与えるに足る者。共に世界の真理を解き明かす同志をね)
フィクションとはいえ人にこういう言葉をぶつけるのはどうかと思いますが、それでも率直に申し上げてキモい! 胡散くさすぎる!!
「ケイトーは、僕が便利な道具だと判断したのでしょう。色々と甘言を弄してきましたよ。ですが……僕は敢えて、乗る事にした。(略)
ヘラルドくんも同じこと言ってたよ!? 大丈夫!?
「貴様を信用しない」ヘラルドは言った。「力を貸せ」
ケイトーに騙される顔のいいニンジャたち、みんな全面的にはケイトーのことを信用しておらず「こちらも利用してやるつもりで」話に乗った挙句に悲しいことになっているので不安。
ただレッドドラゴンもジョウゴもヘラルドも、その後不幸になったわけではないので(むしろ新たな人生のステージへ踏み出している)、一方的に毟り取って終わりというわけでもないのが厄介なところです。
「でも何故、ケイトーは儀式を破壊しようとするのですか? 闇の仲間同士でしょう」
理解がガバガバすぎる!!!
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「少なくともこの僕は、貴方に対して誠実でいたいと思っています。嘘を混ぜずに、話しました」リバティは沙汰を待つように、コトブキをじっと見た。
「少なくとも、僕の考えを聞いてもらう事が出来ました。僕は貴方に、様々なシツレイを」
冷静になったリバティくん、自分がやらかしたことがどんなに失礼だったか自覚しているのですね……。それだけでもなんか、すごく、よかったな……。
かつて「マークスリー」はコトブキちゃんの考えに耳を傾けず、エゴを押しつけるように愛を求めていました。でも、今日ここで初めて、愛する人に自分の考えを、否定から入ることも、遮られることも、上から目線で批評されることもなく、ただ聞いてもらえたんだと思います。子どもが誰しも親に求めるもの。コトブキちゃんにはあって、マークスリーにはなかったもの。タキやマスラダから与えられた何気ない日々の積み重ね。気持ちを話して「はいはい」とただ聞いてもらえる体験は、大事なんですよね。
こういう経験をゆっくりと積み重ねて、新しい名前とともに、また人間として生き直してほしい。そう思うのです。
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黒くシャープな機体には、出自めいて「渾崎高速師団」のテクノカタナ・フォントが白い。ネオンブルーのライトの軌跡を後ろに連ね、そしてその乗り手は、黒とダークブルーの装甲装束に身を包んだニンジャであった。彼の名はレイテツ。
渾崎の出自フォントを刻んだ反重力バイクに乗る氷使いのニンジャ、もう99.99999999999%氷川くんじゃん!!!!!
「黒とダークブルーの装甲装束」も明らかにさあ……
◇◇
♯6
メガロ都市ネオサイタマは不穏な緑に浸食され続けている。カスミガセキ・ジグラットを望めぬ暗がりには、今なお顔のないニンジャ<フェイスレス>が跋扈していた。緑蔓延る高架ハイウェイを、レイテツ率いる<KATANA>反重力バイク部隊が疾走する。治安維持部隊として、市民のHELPコールに応えた自主判断であった。
◆
レイテツはこの地で特殊な役職を与えられ、高い戦闘頻度と成果を期待されてきた。彼は治安部隊を出身とする叩き上げのプロパーとして、その期待に応え続けてきた。
99.9999999999999999999%氷川
◆
「マッポー来たれり!」テントの中から、ボロ布を纏った老人が這い出し、唐突に叫んだ。「キンカク・テンプルの輝きが告げる! ゴーン!ゴーン! エヴリワンゴーンなり!」「おい、やめろジジイ!」
うわっ出た! ボンモーの十八番、発狂予言老人!
ネオカブキチョ組の次はKOL&レッドハッグ姐さんを助けに来てくれるマスラダくん。働きすぎだよ。スシ食べてれば大丈夫なわけじゃないんですよ。心配。まあすべてを終わらせてピザタキで憩うことを最優先しているのかもしれませんが……。残業しまくってもいいから、一日でも早く退職して自宅で長期休暇取るほうが大事みたいな? それならちょっとわかる。
◆
鼻持ちならないサイバーサングラスと、襟元に金装飾を施したスーツ、そしてスカラベで装飾された蝶ネクタイ。自信満々の装いであった。
は? どこに自信満々になれる要素がありましたか? まぁファッションは自由ですが、
「おっとスミマセン。ついインターネットが出てしまった」
……は?(冷たい視線)
◆
セトの神話的技術が確立させたシステムにより、エネアドの論理タイプ速度は、もはや企業最速! ハッキングとは即ちハッカーのタイプ速度の総和によって決まることは周知の通りである!
見よ! NSTV等の中堅メガコーポに至っては、これ幸いと莫大な利権に涎を垂らす!
な、なんか急に地の文さんが盛り上がってきた。私の気持ちを置き去りにしてテンションを上げてきている。
最早、ネオサイタマのジャーナリズムは死に絶えたのであろうか!?
――「否!」
トイレの個室ドアが開き、ハンチング帽とトレンチコート姿のフジキド・ケンジが進み出た。
「否!」じゃあないんだよwww 爆笑。
フジキドさんが元気だと私も嬉しいよ……
しかしフジキドさんエントリー前にしばしば見受けられる地の文さんの盛り上げ、あからさますぎるんですよね。地の文さんには明らかな自我があり、フジオに欲情し、ニンジャの謎歴史を真実だと信じ込んでおり、フジキド・ケンジの生きざまをサイリウム振って応援しているんだと思う。「否!」に至るまでに300字近く繰り広げられたわざとらしい盛り上げ文章が、地の文さんに自我があることをかんぺきに証明している。私にはわかる。だってマスラダくんにはこういうことしてくれないじゃん!? (マスラダくんも別にしてほしくないでしょうけど…)(だったら別にいいか…)
◆
ナンシー・リンは懐から偽造IDを取り出し、フジキドとユカノに渡した。(略)ユカノは嬉しそうにそれを首からかけ、ティアドロップのサングラスをかけた。
ノリノリすぎる。楽しんでる。
ダメだこの姉弟子はやくなんとかしないと。
「ゆくぞ。今はまだ、カラテはならぬ」フジキドはユカノに念を押した。ユカノは頷いた。
ギヒーーッヒッヒッヒッヒwwwww
はっ、正気が、思わず
◇◇
♯7
ダークカラテエンパイアによる、始祖カツ・ワンソー復活を阻止すべし。NSTV偽装IDを首にかけ、フジキド・ユカノ・ナンシーはエネアド社に決断的潜入を果たした。怪物の腹の中だ!
◆
「さすがはセトといったところね。受付係からして、只事ではなかったわ」「あの者もニンジャだ」フジキドは断定した。
ほんとですかぁ?
◆
ナンシーは(略)リアルニンジャたるフジキドとユカノの、研ぎ澄まされた奥ゆかしさに舌を巻いた。必要とあらば文明社会に溶け込む彼らのヘイキンテキは、ジャーナリストの装いで、カラテの爆発力をおくびにも出さず隠しきる。
ほんとですかぁ????
◆
「……あの者も、ニンジャだ」フジキドが低く言った。「怪しまれれば増援のニンジャ戦士が駆けつけ、イクサとなった」
フジキドさん大丈夫? 目に映るものすべてがニンジャに見えるサングラスでもかけてるの?? 私は信じませんけど……。
◆
偽の自称特派員トリオがニンジャ陰謀論でざわざわしていたころ、本物のNSTV現場ジャーナリストは、上の命令をガン無視してスクープを撮ろうとしていた。どっちもどっちすぎる。
「俺達はなあ、命かけてンのよ! バカどもを煽ろうと頑張ってンのよ!」
清々しい(笑)
一周回って好感が持てます。クソだけど。
◆
ネオサイタマの都市ルールについての説明が興味深いです。国家権力は解体され、大企業が分割支配している……くらいのぼんやりした理解でしたが、なるほど、こんな風になっているんですか。庇護下にはあるけど、支配や統治ではないと。なるほどねー。
「のびやかな線引き」という表現がいいですね。ネオサイタマっぽくて。
◆
インシネくんの登場! お久しぶり! 嬉しい~~~!
「ルールってのはお前……なんか決まってンだよ。ウチとテメェら企業と、あと、キモンとか……なんかあンだよ(略)」
理解がガバくて可愛い。めちゃくちゃ自己紹介してくるのもかわいいwww そうだね、アラスカにも行ったよね、遠くまで行ってえらいね。という微笑ましい気持になる。かわいい。
「ドーモ。ガーランド=サン。インシネレイトです。小言言いに来たンスか?」「小言? 俺はお前と同格。なぜそんな面倒をする必要がある」
ガーランドさんもきた!!(喜)
ガーランドさんは一貫して「俺とお前は同格」と言い続けているのに、インシネレイトくんはずーっと上役に首根っこ押さえつけられてるみたいな苦手意識を持ち続けてる、このすれ違い感が堪りませんわな(たばこの煙をふうっとする)。「オレは怒られるようなコトしてねェ」と言いたげなインシネくんの視線、かわいい。
ナメラレチャラシコラとかゴッドヤクザとか俺は不動明王だとか、いちいち(???)という単語が発せられるので首をかしげています。とりあえずインシネくんが元気で楽しい。
ガーランドさんの綿密な調査能力と事実を元にした的確な推理をどこかのニンジャ陰謀論おじさんに見せてあげたいね……
◇◇
♯8
ネットワーク遮断は天変地異や磁気嵐によるものではなかった。エネアド社が各地で通信網を不当占拠し、企業を孤立させるべく画策していたのである。チバの命により電波塔を破壊せんとしたガーランド&インシネレイトであったが、巨大なクロヤギ・ニンジャに苦戦を強いられる。
◆
ガーランドさんとインシネレイトくんの「一瞬のアイコンタクト」に興奮しました。それはそれとして、マスラダくんが働きすぎでマジで心配。
「加勢には礼を言っておくぞ」「要らない。たまたまだ」ニンジャスレイヤーは首を振った。「貴様らの事は嫌いだ」
ヒッ。
でもマスラダくんが「嫌い」ってスパッと感情を伝えてくるの、ちょっとめずらしいですよね。どうでもいいやつは「どうでもいい」なので……
「鐘か」ガーランドはすぐに理解した。ポンポン・ビルディングの件もある。
ガーランドさん理解がはやい~~! 仕事出来男! 好き!!! 好悪感情とは別に仕事に必要な情報収集を図る即断も好き! 私はプロフェッショナルが好き!!!
「多分もう知ってるだろうけど、ああいう奴だ」コヨーテは人の姿を取り、言った。「そして実際、あいつは今、必死だ。まあ、雑談ぐらいは俺が引き受けてやるから」
フィルギアさん、なんでこんなに献身的にサポートしてくれるんだろ……三歩下がってついてくる江戸侍の妻みたいだよ。
◆
……そして、鐘が鳴った。
ヒッ……!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
怖い怖い! ネオサイタマ中のニンジャが鐘とともに自我を失いセイケン・ツキ・マシーンになってしまう、この描写……何度読んでも怖すぎです。
いつもは一番アツい戦いのクライマックスで見せられる「イヤーッ」ラッシュを、こんな、こんな形で……(これは作者側も、思いついたときテンション上がったでしょうね…)
マルノウチ屋上、狩人アヴァリスさんがマスラダくんを待ち受けるシーンで後編に続く!
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後編の感想は長いので三分割くらいかな……
あまりお待たせせずに書ければいいなと思っています。
それではまた、次回の感想記事でお会いいたしましょう。
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次の感想はこちら。
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