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ニンジャスレイヤーAoM感想/S5第5話「ダイハンジョウ・グッド・ビジネス」

こんばんは。
うろこ雲がとてもきれいな夕方です。今日も生産的なことを何一つせずに終わろうとしています。梨でも食べようかな……消費するだけしか能のない私……秋はセンチメンタルな季節ですね。

◇◇

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【前提】望月のニンジャスレイヤー知識

・書籍第一部 3巻まで(中断)
 →6年経過(ほとんど内容を忘れる)
 →2019年、『スズメバチの黄色』で復帰
 →4部から読むことに。AoMシーズン1~3を読んだ後、PLUS加入
 →AoMシーズン4以降はトリロジーと並行読書中(現在三部序盤)

◇◇◇

今回のエピソードはこちらです。

シーズン5「ダイハンジョウ・グッド・ビジネス」

流星群がネオサイタマに降った翌朝、古物屋の店主は大業物と思しき刀を川で拾い、一攫千金を夢に見る。江戸時代から続く古物屋「ダイハンジョウ」は経営が思わしくない。これで収支改善だ!次男は見かねて父を諫めるのだが……。

 ♯1

シーズン5になってから、ネオサイタマにおける市井の暮らしが描かれるようになってきましたね。目まぐるしく変化する街ですが、一方で女子高生や地場の個人商店など、10年経過しても変わらぬ部分はあるのだなあ。

「これスゴーイ」ガールフレンドがノーム陶器を持ち上げた。ノーム陶器はチョンマゲ・スタイルで、うつろな目をしている。


こういうやつ?

チョンマゲ・スタイルといえなくもない。
実際この後頭部なんなんでしょうね?骨?

「そうそう。俺の魂のギターよ。かけがえねえス」「7本も持ってんだからさあ」ガールフレンドが睨んだ。

魂のギターが7本もあるの解像度高くて好き。

またKOL博覧会でばら撒かれた遺物が余計な災いのタネになっているんですね。マスラダくんも後始末で大変だ。

「カナスーア。人はワシをそう呼ぶ。当然、ご存知よな?」

ヴァッ……カナスーアさんだ。
無様な逃走からあっという間に立ち直り、この威風堂々とした絡み仕草!
逞しくていいですね。このくらい厚顔無恥に生きていきたい。例によってモンスターカスタマーからの被害者になる予感しかしませんが…

「よく出来た、贋作だなこれは。贋作としてはなかなか精緻だ」

嘘だッ!!!

口八丁で安く買い叩く気でしょ!
わかるぞ!!!(マスラダ)

カナスーアは間髪入れず、黒いカバンから新円の万札の札束を取り出し、カウンターにドンと置いた!「見ての通り、キャッシュ即決だ。電子トークンだのオムロ決済だの、そういうしょうもない事はしたくない」「キャッシュ!」

手慣れてやがる……!!!
常習犯だ! 常習犯だよコイツ!!

不当に安く手に入れて1千万とかで転売するんだ!私は詳しいんだ!

マズダ兄弟めいた長男が出てきた。

【スクールガール~】/【ラスト・ガール~】がほんのり対になっていたように、【ダイハンジョウ】と【アトロシティ】もほんのり対になっている気がします。

カナスーアはプラモデル箱にまみれ、鼻血を押さえて手をあげ、マッタした。「や、やめろ……これ以上はワシも本気を出す、訴訟……」

ほれぼれするほどいつもの流れ。
百回投げて百回同じコースに投げられる投手みたい。

父と弟の前で虚勢を張るジャックマンティスさん、実際には弟が予想した通りの下っ端ニンジャなんだろうなあと察せられてつらい。ニンジャになったからすべてが解決するわけではない。ニンジャの世界にもやはりヒエラルキーがあって、上に行けるものと燻るものが出てくるという世知辛さ、ニンジャスレイヤーはいつだって容赦なく描いてきますよね。

「そのカタナ、ソード・オブ・セレスチャルドラゴンはKOL社の正当な所有物である。先日の有事の際に我が社のレリックが散逸し、回収業務に追われている

マスラダくんのせいでなんかごめんね……。
それはそうと「KOL社の所有なので返してほしい」という言い分はカナスーアさんの詐欺発言と違って事実なので、もうこれは……どうすればいいんでしょうね? 

「10万……!?」「権利のない取得者に、破格の提示金額だという事は理解いただけるな。諸君は……フン」

けして無体な要求ではない、最低限の礼は尽くしている…KOL社の憎めないところですね。まあそもそも「我が社の(エージェントが世界各国から強奪してきた)レリック」の可能性が高いので、所有権を主張すること自体が欺瞞のような気もします。

◇◇

 ♯2

川で拾ったカタナを狙い、怪しげな評論家、家出したはずの長男、大企業エージェント、サイコ殺人鬼……次々と招かれざる客が「ダイハンジョウ」に訪れる。

不気味な漢字がショドーされた無数の短冊を重ねたズタズタの上衣を纏う異様なニンジャだった。

ブレイドレイスさん装束かっこいいですね!?
これが初出のニンジャさん?

「イヤーッ!」「ヒトォツ!」ブレイドレイスはダイハンジョウの天井に天地逆さに身を屈め着地していた。

桃太郎侍めいてカウントしながら戦うのかっこいい。

え、ほんとうにキャラが立ってるんですけどこれが初登場なんでしょうか。(Wikiを見に行きましたが実際初登場でした)(すごい)

だが、親子には届かなかった。
踏み込みを遮ったのは、ジャンクマンティスの手だった。彼はブレイドレイスの踵を掴んで止めていた。

ウオオオオオオーーーーーーーッ!泣!
兄貴!!!!

兄が兄をやっている……と思ったら「俺、俺はカワダの跡取りだ……全部、俺のもんだ……!」と来ました。彼の言葉を素直に受け取るなら、この行動はもしかしたら愛や情に伴うものではなかったのかもしれない。でも例え金に対する手前勝手な執着から出た行動だったとしても、父と弟が最後に見たのは、自分たちに襲い掛かるニンジャの脚を掴んで止めた姿だったし、どうあっても「ソメイが守ってくれた」ようにしか見えなかったと思うから……

悲劇の場からそろそろと匍匐で逃げようとするカナスーアと入れ違い、街明かりの逆光となって、新たな来客が大股歩きで入り込んできた。

カナスーアさん逞しすぎるwww
忘れたころに登場してまた同じことしてほしい。

大股歩きで入り込んでくるマスラダくん、悠々と入ってくる豹みたいなオーラがあるんだろうな。

これに対し、ニンジャスレイヤーは刃の側面を右手の裏拳で打ち払った。その手を開くと、手首の中からヌンチャクの柄が飛び出し、燃えながら鎖を吐き出した。

かっこいい~!!!!

ブレイドレイスさんの二刀流もかっこいいので、武器戦がかっこいいにかっこいいをかけて100倍かっこいい。わかるか?この算数が。エエッ?

即ち、この二刀は決していたずらに在野放置に任せてはならぬ古代レリックであり、

わかる、放っておくと災厄を招きそう。

平安時代以前の上古のニンジャ神話研究に通じた一部読者諸氏は今、身震いする思いでこの非常事態を見守っていることだろう。

は?

あの流星の夜が引き起こした事態はどれほどの混乱を呼ぶのか? ブッダよ寝ているのですか!

そして急に地の文さんが自我を出してきた。
とつぜん何!!?

だが、見よ! ブッダに頼むのはまだ早い! 混沌のネオサイタマにニンジャの邪悪蔓延る時、ニンジャを殺す者あり!

…すごい自我出してくるじゃん。
何かいいことでもあったんですか? そろそろフジオが出てくるから準備体操してるのかな…。

閉鎖カラテ小宇宙とかなんか盛り上がってるのはわかるが私は地の文さんについていけずに三十歩くらい下がって距離を置いています。

ニンジャスレイヤーは手首を返し、上体を捻り、ワン・インチで斬撃を躱し……真っ赤に染まった黒剣を捻り折った。

折った! レリックなのに!!

記憶断片より独学にて生み出されたその蹴りは、あるいは平安時代のサマーソルトキック伝導者マケド・ズンイチの孫弟子が編み出

誰だよッ!! 今いいところなの!! 盛り上がってるところに知らない人の名前出さないで!! 

ブレイドレイスさん、1エピソードで退場するのがもったいないくらい強くて格好良かったです。ちょっと頭はおかしいけどニンジャには珍しくないから…(?)

彼らの手には150万の現金が残された。これみよがしにこの札束を見せつけ、取引したカナスーアからの請求を覚悟し、待ったが、今のところ彼が戻って来ることも、連絡もない。

何もかも失ったと思いきや、カナスーアさんの現金が残されたの笑っちゃいました。多分戻ってこないから、その資金でお店再建しても良いんじゃないでしょうか。

言い争いは、少し減った。がいいですね。喧嘩しなくなるわけじゃない、これからだって言い分は食い違うし、根本的な問題が解決したわけでもない。
明日への不安もなくならない。でも、今日は明日へと続いていく。

カウンター奥の棚にはソメイの写真が飾られている。写真は額に入れられ、忘れられることはない。

ラストが本当に本当に良かったです。
〆の文がもっとも美しいニンジャスレイヤー……。

こういう短編がもっともっと読みたいな。
前にもチラッと書いた気がしますが、4シーズンを経てマスラダの精神が安定したことでようやく名短編の増産が可能になったこと、あらゆる意味で嬉しい。サンズ・オブ・ケオスを狂ったように追い続けなければ生きていけなかったあの頃のマスラダ・カイでは登場人物になりえなかったネオサイタマの人生譚……感謝…!!

本日はここまで。
ではでは、また次の記事でお会いいたしましょう!

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望月もなか
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