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J3からJ1まで、カタさん追いかけて6シーズン。ひとつのサッカースタイルが生まれて育って苦しんで変わってゆくまでを見続けた仕事の話
わたしが担当している大分トリニータの片野坂知宏監督の、今季限りでの退任が、11月26日に発表されました。
🔵🟡この度、今シーズンをもちまして、#大分トリニータ の #片野坂知宏 監督が退任されることとなりましたのでお知らせいたします。
— 大分トリニータ / Oita Trinita (@TRINITAofficial) November 26, 2021
監督からのコメントをいただいております。
HPリリースに掲載しておりますので、ご覧くださいませ。https://t.co/uY1qiMfoMa#一致団結 pic.twitter.com/C2X22a9KY3
カタさんが大分の監督に就任したのは2016年。チームがJ3で戦うことになりあらゆるものがリセットされたシーズンに、その窮地を救いにやってきてくださったのでした。
それから6シーズン。カタさんが指揮を執ったすべての試合を、現地で取材させていただきました。コロナ禍になる前はグラウンドにもよく通ったし、コロナ禍で練習が非公開になってからはリモートでも。その間にカタさんは、じきに“カタノサッカー”と呼ばれるようになる独自のスタイルを、コツコツと構築していきました。ひとつのスタイルが出来上がっていく、そして刻々と進化していく過程を、わたしは継続して観察していたことになります。それってすごいことですよね。
振り返ればその間には本当にいろんなことがあった。ひとりひとりの選手たちも、カタさんの哲学や戦術を理解し体現しようと頑張る間には、それぞれに葛藤を抱えていたりして。
今回、カタさんの退任を前に「footballista」さんより依頼を受けて、6シーズンの総括を書かせていただきました。わたしが総括するなんておこがましいな…という逡巡もあったのですが、これは自分の仕事として、「わたしの見たカタノサッカー」ということでいいのかなと。
可能なかぎり密にカタさん直々に教えていただいてきたし、コーチや選手たちの立場での現場感覚もたくさん聞かせていただきました。それを自分の中で咀嚼して解釈して、という原稿になります。戦術の大きな変遷を時系列でたどってみました。前後編で掲載されます。
【NEW】3年で「J3→J1」の歴史的快挙。“カタノサッカー”6年間の総括(2016-2018)(文 ひぐらしひなつ@hinatsu_h)https://t.co/h1KyEsKtxn
— footballista (@footballista_jp) December 8, 2021
配置された全員が派手さはなくとも欠かせない役割を担っており、ボールに直接関わっていない時にも作用していることが“カタノサッカー”の… #大分トリニータ
後編はこちら。当初は10日に公開される予定でしたが、編集部の方針で急遽1日前倒しとなりました。
【NEW】J1でのスクラップ&ビルドの限界。“カタノサッカー”6年間の総括(2019-2021)(文 ひぐらしひなつ@hinatsu_h)https://t.co/nLplk4N7DE
— footballista (@footballista_jp) December 9, 2021
ホーム最終戦セレモニー後にスタジアムを一周した片野坂へ、涙とともに温かい拍手が注がれた。6年前の窮状からここまで大分を… #大分トリニータ
6年間の取材で得たものはその都度、大分トリニータオフィシャル情報コンテンツ「トリテン」と、サッカー専門新聞「エルゴラッソ」に書かせていただきました。興味のある方は遡って読んでいただけたらと思います。
いまはエルゴラッソも電子版サブスクでバックナンバーが探しやすくなってるんですよ。こちら。
12月4日に日立台で戦った今季J1最終節が、とにかくエモかった。カタノサッカーがこの6年間にチャレンジしてきたすべての要素が詰まっているようで。GKを含むビルドアップ、それを伏線としてのフィニッシュまで、ミラーゲームに持ち込まれて苦戦するところ、その回避策として立ち位置を変えボランチを最後尾に下げてサイドを高くスライドした陣形へと変化させたこと。そして何よりもその修正直後の、これぞ真骨頂というべき3点目ですよ。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) December 4, 2021
🏆 明治安田生命J1リーグ 第38節
🆚 柏vs大分
🔢 2-3
⌚️ 66分
⚽️ 増山 朝陽(大分)#Jリーグ#柏レイソルvs大分トリニータ
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXumQp pic.twitter.com/T1DfJWsX7B
このハイライトでは小林裕紀選手が町田也真人選手にボールを出したところからしか入ってないのですが、その前から流れは出来ているんです。
今日は勝ったけど、降格した現実は変わらない。
— Hinatsu Higurashi (@hinatsu_h) December 4, 2021
だけど、いいところもダメなところもいかにも集大成っぽかった今日の試合は、天皇杯につながると思いたい。出れない選手も多いけど、出れるメンバーが最大値で、集大成の仕上げを。
そういう盛りだくさんの試合の詳細は、是非ともこちらのマッチレポートで御覧ください。カタさんの記者会見でも、選手起用や采配の意図など明かしていただきました。
リーグ戦は終わったけれど、今季のチームはこのあと、天皇杯に挑みます。12日は準決勝。等々力陸上競技場で、リーグチャンピオンであり昨年天皇杯覇者である川崎フロンターレさんと。普通に考えてめちゃめちゃ高い壁ですが、その壁の向こうには新国立競技場での決勝戦が待っています。
苦しいシーズンを足掻きながら戦ってきた今季のチームに、最後に爆発的な成果を挙げてほしい。そしてなによりもカタさんとあと2試合、戦いたい。
天皇杯が終わったらお別れなんだと思うと、やっぱりとてもさみしいです。6年間、このカタノサッカーの魅力をどうやったら広く正確に伝えられるかなと、そればかり考えてきたような気がします。いちばんチームにくっついて歩いたサッカーライターとして、カタノサッカーのことやカタさんの哲学のこと、チームのこと、わたしはきちんと理解できていたかな。しばしば記事や取材で迷惑かけたんじゃないかな。そんなふうにも気にかけながら、どんなに頑張っても、あと2試合。
そして来季はまた新しい監督のサッカーを、学びながら追いかけていくことになります。これまでの監督たちともそうやってお別れして、でも、いまも取材は続いていて。
わたしは監督を取材するのが大好きなのですが、カタさんには、カタさんのことだけで2冊の書籍も書かせていただきました。これも本当に感謝。
こちらも御覧いただければ。
新人監督の初采配から、ひとつのスタイルが生まれて育って変わってゆく様子を取りこぼさずに見守れるなんて、本当に稀有でありがたいことだったと思います。これでわたしの6シーズンもまた、ひとまず集大成に。でもまだ2試合残ってるから、カタさんに最後の御礼は言わない。
今季のチームがどういう終わり方になろうとも、後悔しないよう、最後まで取材頑張ります。
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