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③内科レジデンシーのプログラム選択:ABIM Research Pathway

日本の医学教育の都合上、今後日本人IMGがこのpathwayを通してレジデンシーにマッチする可能性はある例外を除きゼロですのであまり参考にならないと思いますが、昨年自分が該当しないかかなり調べて、実際に一部アプライもしたので共有しておきます。

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アメリカの有名な大学病院(30−50施設程度)はphysician-scientistを育てることに特化したプログラムを用意しており、physician-scientist training program (PSTP)とよく略されます。将来研究でgrantを獲得し、その分野の最前線で活躍する見込みがある人を温かく育てるプログラムです。そしてその多くのプログラムがABIMが定めるresearch pathwayという基準を満たし、かなり特殊な経歴を歩むことができます。

魅力は、
内科レジデンシーは2年で終了
・多くのプログラムがその後のフェローシップポジションを確約
フェローシップも1年短い(たとえば循環器フェローシップであれば3年かかるところを2年で終了)
・内科レジデンシー中とフェローシップ中に研究時間が確保されている。
+αの給料
充実したメンターシップ
・その後3年のリサーチ義務
・場合によってはその後facultyポジションをゲット

採用枠は各プログラム1人から2人。とんでもない研究実績が必須です。いわゆるCNS(Cell、Nature、Science)に論文を第一著者として通している申請者も多いです。応募にPhDを必須としているところもあります。もちろんIMGの場合はgreen cardも必須(一部visaでも良いと記載しているプログラムもありますが、NIHのグラント獲得には永住権がいるのでvisaで受かる人は実際はいません)。私が調べる限り、過去数年で採用されたIMGは1人いるかいないかでした。つまりPSTPに採用されるのはAMGがほとんどで、PGY基準は記載すらされていません。

AMGはインパクトがある論文を医学部在籍中に書いたのか?そんなこと可能?
それとも卒後レジデンシーに入らず研究を続けて数年の内でそんな論文を書いたのか?

実は、このPSTPは医学部在籍中にPhDを取得できる特殊プログラムに入った人向けに作られたプログラムです。日本のPhDとは異なり、アメリカトップのPhD programは(StanfordやHarvardなどは特に)本当にえぐいです。中身を知れば知るほど、日本や他国がアメリカには研究では勝てない理由がよく分かります。彼らは医学部入学後に8年以上かかってMD/PhDを取得するだけに、最短でも卒業時に30歳で、そういった人が臨床トレーニングを早めに終えて研究に専念するための経路と言えるでしょう。

私もかなり魅力に感じました。PGY基準の厳しいcategorical枠とは別枠なので、大学病院プログラムに応募できる良い「言い訳」ができたと感じました。

というのも、基本的にこのプログラムは基礎研究者用なのですが、ほとんどのプログラムが「臨床研究実績でもwelcome」と記載しているからです。別の申請書類を提出する必要があるので大変でしたが、私もあの手この手を使ってうまくアピールし、PDにコンタクトを取ったりしました。たいした臨床経験を持っていないにも関わらず、珍しいapplicantだからかPDも熱心に私のために動いてくれ、循環器内科の先生とも連絡を取ったりしてくれました。
が、PGYを理由にどのプログラムからも結局インタビューには呼ばれませんでした。

振り返ると、この特殊経路のインタビューに呼ばれなくて良かったと思っています。
なぜなら、インタビューは2日に渡り、1日目がレジデンシー用、2日目がフェローシップ用なのですが、メンターになるかもしれない大御所の先生1人1人に、1時間程度でこれまでの研究実績や将来の研究内容のプレゼンをしないといけなかったからです。無理無理(笑)

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昨年12月、ラスベガスで冠動脈インターベンションの勉強会があり、AMGのインタベフェロー達に混じって参加してきたのですが、そこで偶然IMGながらABIM research pathwayに入り、現在超有名病院でインタベをしているフェローと知り合いました。その際彼から「臨床研究の経験でもOKと記載されているけど、実際は絶対に無理で、基礎研究者用」と断言されました。確かに、基礎研究の場合はアメリカであればCNS等の有名雑誌にPhD programにいる学生が最終的に投稿して卒業するパターンが結構多いです。しかし、学生の間にオリジナルの臨床研究でNEJMやLancetに第一著者として載るとかAMGでもあり得ません。私の場合、CNSに匹敵するレベルのhigh impactな論文はありませんし、PSTPに応募した私は無謀だったのかもしれません。

「日本の医学教育の都合上」と冒頭に述べたのは、日本は学生や研修医がNature, Cell, Scienceという雑誌に第一著者として載ることはなく、そもそも日本の論文がそういった雑誌に採用されること自体が少ないので、今後も日本人IMGが日本での経歴を武器にしてABIM research pathwayに入る事はないです。

もし可能性があるとしたら、ラスベガスで会ったIMGが取ったパターン。
台湾の医学部卒業後、そのままStanfordのPhD programに入学。循環器のラボで研究して有名雑誌に論文投稿。PhD取得後にABIM research pathwayに応募。
とんでもない人ですね、彼は。それでもインタビューにあまり呼ばれず、ギリギリだったと話していました。
険しい道のりですが、日本人が今後ABIM research pathwayに入り込むとしたら彼が取ったこの方法しかないでしょう。

24歳で日本の医学部卒業、同時にアメリカ有名大学のPhD programに入学
28際でPhD取得+ABIM Research Pathwayでレジデンシーとフェローシップにマッチ
30歳で内科レジデンシー終了
32歳で循環器フェローシップ終了(1年追加すればadvanced fellowship可能)
35歳までresearch dedication period(臨床も一部継続するけど研究がメイン)
その後は自由。

Conclusion

今回この記事を書いてみて思ったことは、ABIM research pathwayに入るためにここまで計画的にストイックにやろうとは思わない、です(笑)
このPSTPは内科categoricalとは全く別の選考委員会があり、実績が伴っていればPGYを大目に見てくれる可能性が高いです。もしアメリカの有名大学に所属しており、基礎研究での輝かしい実績と永住権があるようであればアプライする価値はあると思います。

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