見出し画像

ERAS 2020:MSPE

みなさんの出身医学部はMSPE作成に慣れていますでしょうか?残念ながら私の出身医学部は全く慣れていませんでした。私の知る限り、出身大学からは私以外に1人しかUS residencyにアプライしたことがなく、その先生もかなり歳の離れた上の先生だったからです。MSPE作成に関して相談したところ、下書きを作成して欲しいと依頼され、日本の某有名医学部のMSPE templateファイルが送られてきました(笑)どこから入手したかは知りませんが、templateをもらってラッキーと思っていたものの、実際にはtemplateを大幅に変更してwordファイル3ページに及ぶ程内容を追加しました。私見を多く含む記事ですが共有したいと思います。特別に私のMSPEの一部も載せています。

MSPEは重要書類の1つ

MSPEはIMGの場合は大して重要でないと噂に聞きます。どこ情報かは知りませんが、MSPEはLORに引き続いて3番目に重要視される書類であることを考えると、IMGだったとしてもしっかり内容を盛り込んでそれっぽいMSPEを提出するに超したことはないと私は思います。
ということで、参考にしたのはMSPEの公式マニュアルとサンプルMSPE2枚。こういうのはサンプルなどに沿って手間を惜しまず見やすくキレイに書いておくのが吉。(余談ですが、グリーンカードの申請時に提出する超大事なpetition letterも、経験豊富なlawyer曰くeffectiveな書式がきちんとあり、私がpetition letterを確認する際、書式や字体は変更しないでとお願いされました)

例えばタイトルもタイトルらしく太文字の中央揃えで記載。

MSPEに記載しないといけない項目はマニュアルに記載されている通りで、以下の6つ。
Identifying Information
Noteworthy Characteristics
Academic History
Academic Progress
Summary
Medical School Information

「記載 “すべき”」とわざわざマニュアルに書かれていますので、これらの大項目に従って詳しく記載していくのが良いと思います。私が実際にどんな感じで記載したか説明していきます。

Identifying Information

上図の通り。

Noteworthy Characteristics

3つまで記載でき、それぞれ2行から3行までの長さで簡潔にまとめる必要があります。せめてこれだけは知っておいてほしい!という特記すべき情報をここに記載します。
オススメは、というか当然かもしれませんが、それぞれ異なる話題を書くこと。例えば、全部成績のことで攻めるのは不適。
私の場合、①成績、②学生時代のscholarly work、③ローテーション中のleadership skill、に関して記載。
具体的に、
①「Academic Excellence Award 」というのをもらったのでそれを記載。しかし、ただもらった事実だけを記載するのは個人的にはX。「1〜4回生全ての成績を考慮した上で毎年2人しかもらえない」という、そのawardのselection criteriaも簡潔に記載し、awardがrareであることもアピール。
②学生時代に研究会での発表やpeer-reviewed journalへのpublishもあったので、それを記載。
③ポリクリ中、リーダーとして機能したことを記載。Awardのところと同じく「リーダーだった」という事実をただ記載するより、「・・・・ served as the leader throughout clinical clerkship and led his peers with his remarkable knowledge and great resourcefulness.」というようなwritten Englishとしてより適切な表現を用いる方がprofessionalなMSPEに見えます。こういう一手間、一工夫は余程超協力的な学務でない限りは普通は記載してくれないと思います。下書きを許可されたのであれば頑張って記載してみることをオススメします。

Academic History

ここはあえて表を入れてその中にまとめる方が見た目的には良いかと。めちゃくちゃ個人的な主観です。

Academic Progress

ここは3項目に分かれます。
①Academic performance
②Preclinical/basic science coursework(私はPreclinical courseworkとして記載)
③Core clinical and elective rotations

①ここには大学が “professionalism”をどう定義し、どのように学生を評価しているか、ということをまず説明する必要があります。サンプルで公開されている文章を読めば雰囲気が分かると思います。具体的に、出身医学部が掲げる理念や到達目標を記載するのが良いと思います。Professionalな単語を用いましょう。そして最後に「・・・ has met all the stated objectives for professionalism at the ・・・ University School of Medicine.」という文言を追加。
私の場合は特記すべき具体例があったのでそれの説明を加え、「This is a noteworthy example illustrating his exemplary professional behavior during college.」と締めくくりました。

②成績とscholarly workに関して記載する場所です。相対評価していない大学がほとんどだと思いますが、ここも工夫することでそれっぽく見せることが可能です。こんな感じです。

成績証明書は文字しか書かれていないと思いますが、それのサマリーみたいな感じです。学会発表の時などもそうですが、視覚的に訴えることはとても大事です。Excellenceの成績が何%だったかを言葉で記載していくよりは、たとえ超簡単で単純なグラフだったとしてもMSPEに入れることでそれっぽくなると個人的には思います。自己満足の世界ですが、boringなMSPEにならないよう、せめて1つはグラフを入れたいと考えていたのでなんとかその目標を達成しました。

③これはポリクリやクリクラなどのクリニカルローテーションに関する内容で、合計で何週のローテーションを行ったか、何科を回ったかを言葉で記載しました。サンプルにあるようなグラフを作ることは断念しました。
私が個人的に注意したところは実習数。PTALのrequirementを気にする必要はもうないのですが、ポリクリとクリクラだけでは実習数がかなり少なく、それをそのまま記載すると72週には全く及ばないので実習が全く足りていないと勘違いされる可能性を懸念しました。このため、大学に依頼して1〜6回生の間で行った実習の週数を数えて頂き、83週と記載することにしました。決して具体的な週数を記載する必要性はMSPEにはありませんが、この③の項目はMSPEの中でも大事な項目なので私なりに工夫した次第です。下図の最後の文にあるような文言も追加できる人は追加しましょう。

Summary

Straightforwardな項目なので、特に問題ないかと思います。

Medical School Information

出身大学の英語ウェブサイトリンクを貼り付け、参照して下さいという文言を付けて終了。

MSPEの仕上げとアップロード

学務の担当者とやり取りし、マニュアルと照らし合わせながら私の下書きをdouble checkしてもらいました。学長が知り得ない内容や私の主観的過ぎる内容はMSPEとして不適なので、ただ学長からサインをもらうのではなく、内容を確認してもらうことは必要だと思います。一部修正を加えた上で最終版を送り、MSPEと英語成績証明書を学務にアップロードして頂きました。
学務に相談したのが5月中旬。アップロードが最近だったので、要した時間は3ヶ月程度でしょうか。MSPEは10月1日にプログラム側にリリースされるのでアップロード自体は9月中でも問題ないはずですが、LORと同じく早め依頼してアップロードしてもらうのがいいと思います。

Conclusion

Professionalな英語表現を用いることは当然のこと、見せ方にも工夫を加えることで、それらしいMSPEに仕上げることはIMGでも可能だと思います。強調したい文を太字にするだけでも変わります。どこまで拘るかは自分次第ですが、是非納得のいくMSPEを仕上げてみて下さい。

P.S.

ERAS 2020の申請準備シリーズ、これにて終了です!長い記事が多かったですが読んで頂きありがとうございました。マッチングに向けた準備をする際の参考にしてもらえると嬉しいですし、有用と思った記事は他の方に紹介、共有して頂けると助かります。
この「US RESIDENCY MATCH」マガジンには、カバーすべきネタが出てきた時やインタビューシーズンが終わった時に記事を追加する予定です。何か質問やコメントなどありましたらお気軽にご連絡下さい。適宜追記、修正したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?