ERAS 2020:Externship斡旋会社紹介
レジデンシープログラムが定めるUSCEの条件を満たすよう、私はアメリカでhands-on externshipを3ヶ月間行いました。それとは別に3ヶ月間のobservership歴もあります。これは有用なコネクションを築くことが目的でした。
Observershipを契約する時は病院と直接やり取りをすることが多いと思います。一方、externshipは斡旋会社を通すことがほとんどで、IMGの多くはいずれかの斡旋会社と契約し、externshipを行います。
前回の記事で述べた通り、日本人ドクターは日本でUSCEを得ることができるのもあって、externshipの斡旋会社に関して詳しく解説している日本語記事はありません。また、英語で探しても実はそういったまとまった情報は出てきません。3ヶ月間のUSCEを計画するに当たり、いろいろ調べてメモを残していたので、それを共有しておきます。参考になれば幸いです。
(2023年6月追記)
Externshipではありませんが、アメリカ医師会がobservershipができる施設を紹介しています。
AmeriClerkships
ここ経由でのローテーション全てが悪い訳ではないらしいが、bad reviewが多い(値段高い、信頼度低い、スケジュールを直前に変更、など)。
入院患者の管理なし(特にIMはoutpatient。実際はUniversity-affiliatedと記載されていても大学でローテーションする訳ではなく、大学でも勤務している人に付くようになるだけ)。
・オススメ度:低
MedClerkships
AmeriClewrkships程ではないがbad reviewもそれなりに多い。値段もAmeriClerkships並に高い。ただ、AmeriClerkshipsよりは信頼でき、helpfulらしい。ローテーションに関してはAmeriClerkshipsと同じで外来だけのことも。両方あったというreviewもあるが、同じタイミングで30人の学生がいたというreviewもあり。
実際に登録してNYのBrooklynを指定してみると、値段は3ヶ月で$5500〜$9000くらい(これは契約料のみなので、登録料などは別途かかる)。
・オススメ度:低〜中
AMO Worldwide
Physician-based rotationになると潔く言っているとのこと(つまりoutpatient)。上2つより安い。
どうも比較的新しい会社らしく、”Kyle” と呼ばれるスタッフが医学生を騙しているというreviewあり。訴訟に発展しているみたいだけど詳細は分からず。ローテーションの情報を与える前にfeeを要求するというreviewもあり、マイナスポイント。
ログインしてみると、hands-onのあるなしやgraduateかどうかでプログラムをソート可能。一応プログラムごとにhands-onでどういったことをするか記載されている。IMGにもhands-onをokとしているプログラムが50個程引っかかる。値段は月$2000-2500がほとんど。
噂の”Kyle”はco-founderの1人(笑)
・オススメ度:低(Kyleに関する悪いreviewがないのなら良いのかも)
United Medical Rotations
上3つと比較するとlegitらしい。ここを通してローテーションした人がよかったというreviewがあったが、review自体ほぼない。
AmeriClerkshipsなどより全然安いとのこと。
アトランタのMetro D.C.エリアで $350-400/週なので安い(3ヶ月で$4200-4800)。
Hands-onがあるかは本人の技量とpreceptorのcomfort次第と記載あり。
ウェブサイトを見る限り学生向けだが、IMGにofferしているかについて問い合わせた所、IMGも受け付けているとのこと。
・オススメ度:中 (〜高)
IMGPrep
詳しいreviewを見つけることができず。
Hands-on externshipを提供すると謳っている。
Residency programのリストもあり。PGYやUSMLEスコアなどでソートできるが、そのリストを見るのに$75かかる。ということで登録せず。
・オススメ度:?
Chicago Clerkships
Personal statementの記事で紹介した会社。
外来のみというreviewがあるが、スタッフもhelpfulで、良いreviewが多い。
Hands-onを提供と謳っている。全て外来のこともあれば(primary careを選択した場合など)、全て病棟のこともあり得る(救急を選択した場合など)。
3ヶ月で$5600(最初の月は$2200で、追加は週単位 $425/週だけど、2ヶ月目からは$1700)。値段は高くない。
ローテーションした場合はCVやPSの添削サービス付き。
・オススメ度:中〜高(特にDr. ColemanのローテーションはRush Universityのprofessorということもあり人気)
American Externship program
ホームページのぱっと見の雰囲気は良さげ。Externshipを紹介する会社ではなく、そこから独立した個人のexternshipプログラム。
Family medicineのローテーションだけど、ここでローテーションする人の4割程度はIMや小児希望。ここでexternshipしてその後マッチする人の割合は半分程度なので全体的な平均と変わりはない(けど、以前マッチしなかった人がここで新規にexternしているので、一度マッチしなかった人がその後マッチしているのも事実)
CVのvolunteerに記載できる活動もやっていたり、月1くらいで近隣の有名病院のGround roundに参加したり。
値段は$2000/月だけど、人が集まる5月から8月くらいは$3000になるのでその時は安くない。
他のプログラムと異なり、visaのスポンサーにはなれない(日本人がexternshipする場合はESTA申請でいいような)。
オフィスが2つあり、昼にオフィスを移動するので、レンタカー必須(レンタカーを借りる費用がかかる)。
・オススメ度:中〜高
FMG portal
Hands-on externshipを提供すると謳っているが、値段分からず(登録して電話しないと詳細分からない)。Positive reviewあり、お勧めしている人がそれなりにいる。
・オススメ度:中
CHHA
Hands-on externshipを提供すると謳っている。登録したけど使用せず、詳細は不明。Reviewも見つからなかった。
・オススメ度:?
MedPathway
Reviewを見つけることができず。基本的には他と似たような感じで、問診や身体診察、PNを書く機会も一応ありそう。
Application feeが$199。コースは$300-$700/週。・pplication feeが$199。コースは$300-$700/週。
揃えて提出しないといけない書類が結構面倒(例えばDean’s letterもいる)
LoRは本人のパフォーマンスとpreceptor次第で、プログラム側が保証している訳ではない、という文言あり(当然と言えば当然)。
・オススメ度:低(書類準備面倒)
Jackson Park Hospital in Chicago
これはexternshipに関して調べている時に誰かのreviewの中で見つけたexternship先。病院なのでローテーションも100% 病棟。
基本学生向けだけど(Caribbean studentがよくローテーションしている)、どうも卒業生も受け付けているらしい。
$300/week→かなり安い。高い所はこの2倍以上。
病院の近隣は安全ではない(シカゴ南部に関しては別記事で解説予定。ここの付近に住むのは厳禁)。
忙しくて電話やメールでの返答なし?直接行くことを勧めているreviewあり。病院自体はlow tier community hospital。
・オススメ度:中-高(連絡してみる価値はあり)
野口医学研究所
エクスターンと記載しているものの「基本的に見学」という記載もホームページにあり。体験談を読む限り一応hands-onもあり?よく分からず。
事前に選考会あり。他の斡旋会社ではこういう選考会はないので、かなり手間。時間もかかる。が、研修費がタダなので、これは必要なプロセス。再度強調しますが、他の斡旋会社経由では20万〜30万円程かかる研修費が野口医学研究所経由ではタダです(滞在費、移動費は自己負担)。
・オススメ度:中(選考会があるだけに、externship開始までかなり時間がかかるので、時間に余裕がある人には良いのかも?GC申請中だと帰国許可下りない限りは選考会にすら参加できない。)
American Medical Clinicals
ホームページ以外でreviewを見つけることができず。
ホームページの”News”の更新は2016年が最後。
New York, Florida, Maryland, Illinoisでのexternshipをoffer。
・オススメ度:低
Larkin Community Hospital
IM Residency programを確認中に見つけたプログラム。つまりレジデンシー認定プログラムでのsub-internship。IMGのためのプログラムで、おそらくこれが1番強力なローテーション。
24/7で、day-offなし。1日12時間病院にいる、と記載あり。
病院のウェブサイトから直接apply可能。AmeriClerkshipsと提携しているというニュースもあったので、AmeriClerkshipsからも契約できるかもしれないが、直接applyすべき。
値段は$700/週。
・オススメ度:高(本気でローテートしたい人)
【注意点】
・斡旋会社によっては、ローテーションの詳細を見るためにはこちらの個人情報をまず提供しないといけない。
・BLSだけでなく、ACLS資格保持を参加条件とするところもある。が、ほとんどの斡旋会社はそういった資格の保持を必要としていない(BLSはアメリカにいる間に同じ立場のIMGと一緒に取りに行くのもアリです。ERASでアメリカのBLSやACLSの資格を持っているか聞かれる項目があります)
・Criminal checkがあるところも(これめんどいpaper workです)。ローテーションをするに当たり、値段だけでなく必要書類も結構異なるのでよく確認しましょう。
・斡旋会社自体は良くても(たとえばChicago Clerkship)、斡旋会社ではローテーションの中身自体をコントロールできないことがほとんどで、ローテーション先を選ぶ前にしっかりとpreceptorの特徴やローテーションの情報をしっかり確認しておくことが大事なように思います。私も、ローテーションを始めたにも関わらず新規の患者さんしか問診や身体診察をさせてもらえないことが判明し、しかも新規患者さんの数は1日にゼロか1人のレベルで、ほぼobservershipの状態でした。斡旋会社に取り合ってpreceptorに方針の変更をお願いしましたが、こういったpreceptor独自の教育方針を変えることは無理のように思います。このため2週目からローテーション先を変更しました。
・その地域で安全と言われている場所に住居を構えること。シカゴ南部の場合、オフィスまで45−60分程かかる場所に住まざるを得ないことも(シカゴはバスルートがたくさんあるので、通うのは決して不便ではない)。
・住居はホームステイのような感じになる事が多く、他の学生や医療関係者ではない人とホームシェアしました。イラン人、メキシコ人、韓国人、サウジアラビア人、インド人、中国人などなど、男女構わずのホームシェアで、シカゴ滞在中は最大10人以上と住んだこともあります。
・IMのexternshipはほとんどはinpatientではなくoutpatientです。また、正直な所、すでに医者として日本で働いていた人がexternshipする場合は何か医療に関してすごく学べる訳では決してないです。アメリカの医療システムに慣れたり、アメリカらしい処方を学んだり、日本と比べたり、自分がsubspecialtyを持っている場合は他のIMGに色々と教えてあげたり、そんな感じの時間です。3ヶ月間のUSCEをやったという実績を作るため、アメリカ医師からLORをもらうためと割り切りましょう。Extenrnship中は英語の上達には繋がると思います。一方、他国出身のIMGは電子カルテを一切使ったことがなかったり、医者としての経験がなかったり、externshipから学ぶことはそれなりにあるのかもしれません。
Conclusion
私は契約料や滞在費、移動費など全て合わせて100万円ほど支払いました。お金さえ払えば3ヶ月間のUSCEを確保できるだけでなく、英語力アップ、LOR3通をGETできます。そして何より、レジデンシー前という気楽な立場でIMGと一緒に過ごす時間はとても楽しかったです。2CSの練習相手になってあげたり、ダウンタウンで若いドクターと遊んだり、良い思い出になりました。
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