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D.O.がヤバイ。IMGがどんどん不利になっていく理由。

D.O.という言葉を聞いた事がある人は多いかもしれませんが、この学位に関して詳しく知っている人はあまり多くないと思います。ここ数年のDOのトレンドは脅威なので、よく理解しておいた方がいいです。

アメリカ人が医者になる方法は3つ

アメリカで医者になるためにはM.D.の学位を取得できるmedical school(=allopathic medical school)に入学するのが王道です。しかしアメリカには現在153校しかallopathic medical schoolがありません。受験者数約55000人の内、入学できるのは毎年約22000人だけです(日本は医学部が約80校、定員が約9000人)。

競争率の高いallopathic medical schoolに入学できない人(≒テストの点が良くない人)がアメリカで医者として働くためにはどうするか。代替案は2つあり、その内ベターなoptionがD.O.の学位を取得できるosteopathic medical schoolに入学することです。最後の手段がカリブ海のmedical schoolへの入学(いわゆるUS IMG)
正直に言いますが、MD>DO>>US IMGです。この認識は今後も変わらないでしょう。

MDとDOの違い

メインは学生時代のカリキュラムや受ける試験です(例えばMDはUSMLEだけど、DOはCOMLEXという試験を受ける必要がある等)。DOを持てば普通に医者として働くことができますのでMDと変わりありません。DOの学校は現在30校強あります。MDとDOを合わせた全医学生の20%をDOが占める程、直近10年でかなりDOの人数が増えました。卒業生の数でいうと2019年はMDが20000人、DOは7000人です。DOの数は毎年増えています。

なぜそれがヤバイか。少なくとも2点あります。

DOの脅威①

実はこれまでMDとDOのレジデンシーは別々の機関により管理され、DOはUSMLEを受けた人だけMDと同じマッチングに参加できました。が、2020年からマッチングシステムが統合され(私が参加したERAS2020から"Single Match")、DOはUSMLEを受けずにMD用プログラムにアプライ可能となり、MDはDO専用だったプログラムにアプライできるようになりました。単刀直入に言いますが、DO専用のレジデンシープログラムの中にフェローシップマッチに強くなるようなプログラムは存在しません。結局MDプログラムが強いままです。IMGよりも有利な立場であるDOがMDプログラムに流れてくるため、IMGにとっては良いプログラムへのマッチが更に難しくなります。
一方で、統合するお陰でレジデンシー枠自体は増えることになります(DO専用だったレジデンシー枠は全科含めて3109枠)。その増加枠を埋めるのはIMGなのではないかとも予想されています(つまり、DOが混じったとしても枠が増える分、IMGがアンマッチする可能性は高くならないと予想される)。

DOの脅威②

DOが全員IMGフレンドリーではないspecialtyに行ってくれるのであれば統合されようが統合されまいがどうでもいいです。しかし、DOは立場がIMGと似ていて、competitiveな科(orthopedics, dermatology等)にマッチするのはDOでもかなり大変です。USMDには勝てません。なので、DOが選ぶのはinternal medicine, pediatrics, family medicine, emergency medicineで(下記参照)、DOの多くがIMGフレンドリーな科に進むことになります。

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ここで10年前と今年の内科マッチングを比較してみます。

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ポジションは約3700枠増加(1.74倍)。フェローシップマッチに強いプログラムというのは昔から存在するプログラムで、10年前からずっと素晴らしいプログラムです。この10年で増えた枠はほぼすべて新しくできたプログラムのお陰です。

MDのマッチングに参加したDOはなんと、、、

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10年で300人から1400人に増加!5倍弱です。また、2016年に内科カテゴリカルにマッチしたDOの数は500人弱ですので、ここ数年での増加が特に著しいです。ちなみにUS IMGは10年間で3倍程増加。マッチしたnon-US IMGの数を見ると、全体の内科枠は増えているのにそんなに増えていません(1339人→2116人)。1.58倍です。

トップ20の内科プログラムを見てると、ほぼ全てUSMDです。トップ20〜150くらいを見ると、MDの次に多いのは実はDOで、その数はUS IMGやnon-US IMGよりも多いです。
内訳はこんな感じだと思います。

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IMGは押し出しの状態です。

少しでもマイナス要素のあるIMG、特にUSMLEの点が低いIMGや2CSで一度不合格となったnon-US IMG等を内科カテゴリカルのトップ100プログラムがあえて受け入れる理由はない、というくらいMDとDOだけでトップ100を占めることができる勢いなのは間違いないと思います。たとえば、私の友人は2CSで一度失敗しているのですが、IM-Pedの複合コースではインタビューに呼ばれてマッチしたものの、内科カテゴリカルからは一切インタビューに呼ばれませんでした。マイナス要素を作らないのはもちろんのこと、IMGが食い込んでいくには+αの業績が今まで以上に必要になるのだと思います。

(下図は内科のプログラムディレクターからの回答を元に作られたNRMPのデータからですが、2CSで不合格があると90%程度のプログラムがそのapplicantを「絶対に」または「めったに」考慮しないと回答しています。内科の場合、競争率の高い上位プログラムが考慮してくれる可能性はほぼゼロかもしれません。)

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もちろん、DO全員が強いcandidateな訳ではないです。しかし、DOの絶対数が増える以上、素晴らしい業績を持つDOの絶対数も増える訳で、そういった人がIMGよりも優先的にインタビューオファーをもらうことになるのは間違いないです。DOの方がUSMLEの点数が IMGより悪くても良いプログラムのインタビューに招待されているのは今年明らかでした。このトレンド、脅威です。

Conclusion

データとトレンドを見る限り、今は10年前と比較にならない程IMGは不利です。が、以前お伝えした通り厳しくなっているのは上位プログラムへのマッチ、ということは再度強調しておきます。IMGのマッチ率自体は枠が増えているお陰で悪くなっていません。
トレンドがどうなろうとIMGができることは結局は限られています。USMLEの点数が神レベルで高い人以外は、総合的にapplicationを強くする努力がより一層必要となりそうです。

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