「ズレズレなるままに」キャンプイン 一番、景気のいい季節に記者は…
なんだか、あっという間に1月も終わります。プロ野球は2月1日のキャンプインで、いよいよ2024年シーズンに入ることになります。
よく知られているのが、「プロ野球選手には3度の正月がある」って話。もちろん元日、2つ目がこのキャンプイン、そして開幕日。ベイスターズの野村弘樹さんは、開幕日は律儀に「尾頭付きの鯛」を用意したって言ってたし、「赤飯」を炊くって人もかなりいたなぁ。いつもはだらしない担当記者も、この日ばかりはスーツが不文律でした。
ところが、キャンプインの正月は意外に地味。というか、すでに前々日くらいにはキャンプ地入りしていて、前日までには神社の参拝なんかを済ませ、当日はグランドでユニフォーム姿を見せることくらいです。
それでも、この時期ばかりは12球団が「優勝」を堂々と口にできる日。日本ハムの新庄監督が1年目に「優勝は
目指しません」なんて言った例はあるけど、とにかく景気よくぶち上げられるわけ。それが、だんだんトーンダウンして行く球団もあるけどね。
そんなわけで担当記者もここからは一心同体。かつては2月は休日なんかないのが普通でした。今だったらコンプラを問われブラックなんて言われちゃうし、労基署に介入されたら困るから、途中で遊軍記者が交代で入るようになりました。
ほとんどのチームは4勤1休とかそんなスケジュール。休みでも原稿書かなきゃいけないから、休日のネタ探しが大変なんですよ。「休日返上」なんて選手かいたら助かった!
そういや、最初の休日はどこも新人の社会科見学みたいのをまだやってるみたいですね。沖縄なら昔は「ハブVSマングース」を見に行ったのが定番だったけど、動物愛護が叫ばれてあえなく消滅。最近はブルーシールかオリオンビールの工場見学、クルマエビ養殖場かな。
また初休日の前夜は、たいてい球団主催の監督を囲む食事会です。また別の機会には、ベテラン選手が記者との懇親会も開いてくれることもありました。
ベイスターズの駒田さんは那覇の高級焼肉、ヤクルト(当時)の石井一久さんは石川投手や青木選手も伴い、美味いアグーしゃぶしゃぶをご馳走してくれたっけ。
これ、監督や選手が記者を懐柔しようという意図はないと思います。どちらかと言うと、「皆で頑張りましょう」って体育会のノリでしょうか。そのあたりが同じ取材行為でも、政治や事件とは多少違うところかな。
キャンプは選手がシーズンを乗り切る体力を作るように、記者も選手との関係を構築して多くのエピソードを蓄える準備期間です。
ところが、コロナ禍のキャンプ取材はオンラインか良くて代表。これじゃオリジナルのエピソードを拾うなんて、できるはずもない。昔の記者仲間に聞いたら、コロナ禍に入社した若い記者は選手と1対1の時間を作るとか、こっそりサシで食事に行ってた時代を話すと「ホントですか?」と訝ったらしい。
球場取材はだいぶ元に戻ったようだし、コロナ5類移行後で最初のキャンプだから、元に戻るといいですな。
だって、どの新聞読んでも同じコメントとエピソードばかりじゃ、ますます紙媒体は衰退するからね。