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U29 キャピタリスト座談会

VCはどういう仕事? どうしたらなれる?ーー。ここ数年で存在感がより増しているVCについて尋ねられることが多くなってきた昨今。巷の疑問に答えるべく、弊社W venturesの若手キャピタリスト・高津が友人であるグロービス・キャピタル・パートナーズ 磯田 将太氏とSTRIVE 四方 智之氏(50音順)とともに、VC(ベンチャーキャピタリスト)を紹介する座談会を企画しました。上司であるW ventures 新(しん)がモデレーターとなり、キャピタリストのやりがいやVCの魅力を語り尽くします!

まずはみなさん、自己紹介をしてください!

新:まずはモデレーターの僕から自己紹介させていただきますね。2019年にW ventures(以下、W)を立ち上げた新(しん)です。その前には、NTTドコモ、ミクシィのCVCであるアイ・マーキュリーキャピタルで代表を務めた後、「CVCではできない挑戦をしたい!」と覚悟を決めてWを設立しました。W では「スポーツ」「エンターテインメント」「ライフスタイル」を中心にシードやアーリーステージのスタートアップ企業に投資していますが、投資対象の領域はあえてto Cに絞っています。 Wのポジショニングを考慮した形ではあるのですが、実は僕自身がtoCのサービスが大好きなのです。
だからこそWでの投資は楽しく……、と僕の話はここまでにして、みなさん、自己紹介をお願いできますか?

磯田:2020年にグロービス・キャピタル・パートナーズ(以下、GCP)にジョインし、現在、アーリーステージの起業家の方々に対して投資・支援しています。前職は公認会計士として KPMGグループのあずさ監査法人で働いていたのですが、元々起業に関わる仕事をしたいとはずっと思っていました。高3の時、同じ高校出身のリブセンスの村上太一さんが史上最年少で東証一部上場をされて刺激を受けて、当時は起業家に関する本とかを経由して憧れを強めていました。

四方:2018年にSTRIVEに参画し、新規案件の発掘や国内外のリサーチ、投資先の事業計画策定などの支援を担当しています。参画前は、アメリカで大学生活を送り、在学中に政治経済メディアを創業した後に、新卒で外資系メーカーGEに入社、そこでエネルギー部門の経営企画・管理や、ヘルスケア部門の営業戦略に携わりながら2年間ほど働きました。
VCというキャリアに方向転換したきっかけは、GEでの経験を経て「よりスタートアップに深く携わりたい」と気づいたからですね。

新:ありがとうございます。お二人の経歴からすると少し異色な高津くん、どうぞ。

高津:僕はWの中では、エンタメ系企業を中心に投資活動及び投資先の支援を行っています。前職は、大手生命保険グループの資産運用会社で投資顧問分野に従事していたのですが、当時、大企業特有の組織を成り立たせるためのルール下で働くことに何とも言えない閉塞感を感じていました。
そこで心機一転、自分が主体となって働けるのはどこだ→事業サイドに近い環境→VCと思って、新さんのアイ・マーキュリーキャピタルに押しかけ転職というか……。

磯田:えっ!?

新:高津くんのW在籍はアイ・マーキュリーキャピタルがきっかけですが、採用までの流れが、一言でいうなら「凄かった」のです。

高津:とある人材会社のHPにあったアイ・マーキュリーキャピタルの採用情報を見て応募したのです。実はその情報は残っていたキャッシュで、幻の募集というオチで。にも関わらず、新さんに拾って(採用して)もらって、現在に至ります。

四方:すごいなぁー!

オールインする起業家、ポートフォリオを組むVC

新:高津くんのケースは少し特別かもしれませんが、お二方がVCに興味を抱いたきっかけを教えてください。

四方:大学時代、友人と政治経済メディアを共同創業していたので、元々スタートアップ思考はありました。一方で、学生起業で経験不足だったこともあり、当時「本当に起業に向いてるのだろうか」と嫌になるほど自問自答しました。僕の軸は二つあって、一つは「手触り感を持って事業作りをしたい」、二つ目は「これからの社会がどうなっていくのかにかかわる」こと。この二つを同時に叶えるべくVCを選んだのですが、思った以上に”楽しめている”実感がありますね。こういう社会になったらいいなと大きな未来を見つつ、投資した事業がより良い未来を実現できるよう伴走する。このプロセスをさまざまな起業家と一緒に歩める楽しさがVCにはあると思っています。

新:ドメインを絞り込んで一つの事業にオールインする起業家と、ポートフォリオを組み全体でリターンを出すVCとは、確かに立場が異なりますよね。

磯田:僕も大学時代にビジコンでシリコンバレーに行った際、現地のVCにピッチをしたことがあり、その時からVCという職業はずっと頭にありました。公認会計士になったのも将来的にスタートアップに関与するための専門性を身につけたかったから。当初は、一企業のCFOポジションを考えたこともありましたが、かつてシリコンバレーで見た「スタートアップが社会を形造る光景」を日本で実現するためにベストなポジショニングはどこか。そう考えた時に、VCの方が自分中でフィット感がありました。

新:VCに入った直後はどういったことを?

四方:最初はスタートアップ界隈のネットワークが一切なかったので、どういう風にゼロからネットワークを作るか、に苦心しました。その一策として、 noteで自分の興味のある領域、想いなどを発信し始めたのですが、note経由で直接起業家の方からディスカッションしたいというご連絡をいただき、ネットワーク作りにつながって、最終的にビジネスでご一緒できたりしているのはすごく嬉しいです。noteを書く際に「この領域面白そうだな、こういう会社があるのだな」とリサーチして起業家と議論をして投資仮説を深めるというプロセスは、メディアを作っていた時の経験がキャピタリストとしての発信の活動に思わぬ形で活かされていると感じていますね(笑)。

新:キャピタリストとしての「ブランディング」にもつながりますね。

四方:キャピタリストは個人事業主と似た側面があると思っています。結局は、自分のブランドを作っていかなければならない。そのブランドを作るために、時間という部分のレバレッジを利かせるというのは一つの方法だと思います。アソシエイトである僕らはパートナーよりも時間を作りやすいので、例えば他のVCや起業家とのネットワークを広げたり、新しいトレンドをキャッチアップしたり――。泥臭く地道ではありますが、そういった積み重ねによって優位性を築く必要があると思います。

磯田:僕も同じ意見ですね。とある産業やテーマを掘り下げるのにがっつり時間を使うとか、ともすれば遠回りに感じるネットワークを作りに行くとか時間のある若手のうちだからこそできること。そうやって一つの産業を多角的に見る練習を重ねて、例えば2,3年後に投資先が出てくる、そんなサイクルを作ることを視野に入れて、長い目で動くことも必要だと思っています。

高津:分野を特化することもブランディングの一つですよね。僕のメイン領域はエンタメなのですが、実は趣味が高じて業務に役立っています。そういう意味では、 VC、キャピタリストという職業は誰しもが、自分の興味や関心、強みが活かせられるのかもしれないですね。多様性が活きる職業だと思いますし、「こういうことをやっていきたい」という自我が芽生えやすいと思いますね。

投資委員会でボコボコにされて強くなる!

新:高津くんは、初めての投資委員会を覚えていますか?

高津:覚えています! つらかった……、というよりはむしろ良い修行になったと思っています(笑)。もちろん初の投資委員会はボロボロだったのですが、どう打ち返していこうかと楽しみながらやっていましたね。実際は投資委員会後の方が大変で。投資先にチーム崩壊などトラブルが起きたのですが、チームメンバー全員と1on1を重ね、立て直しまでやり切った。これは投資委員会でボコボコにされても、それでも「やるんだ」と言えたことが頑張りきる原動力になったと思います。

新:トラブルが起きた時こそ、起業家との関係性が重要になってきますよね。その点はどう考えていますか。

高津:大前提として、話をしっかり聞く。正直、起業家と仲良くなるのは難しい話ではないと思います。起業家側もコミュニケーションを取ろうとしてくれますから。一方、”厳しい事を伝える関係性”を構築するのは難しい。VCとしてかかわる以上、軽んじられてはいけない部分が必ず発生する訳ですから。厳しい内容を伝える時に、普段とは違う温度感で話す、などコミュニケーションの使い分けは学んできた部分だと思います。

磯田:確かにコミュニケーションの取り方には正解がありませんよね。当たり前ですが、起業家によって使い分けが求められる。

四方:厳しいことを伝える際には関係がしっかり構築できてないと何を伝えても響かないし、ネガティブな印象を持たれるだけですよね。

ファームの魅力、個人としてどんなことをなし遂げたいか、を教えてください

新:では、皆さんが所属しているVCファームの魅力、個人として実現したいことを教えてください。

磯田: GCPは少人数で厳選投資をするVCで、1人のキャピタリストは年間1,2社しか新規投資をしません。その分、個人が1社1社にかける熱量も大きい訳ですが、それぞれが担当の投資先支援を最大化するため、メンバー間のナレッジやネットワークの共有をとても大切にする風土があります。
また、社内でファンドの中長期的な方向性についてのディスカッションも盛んです。そのときにメンバーから共通して出てくるワードは”国づくり”や”産業を興す”――。これがGCPの特徴だと思います。僕も少し青臭いですが「日本から自動車産業の次を生み出したい」と思っていますし、実現に向けて日々仕事に取り組んでいるところです。経歴やスキル関係なく徹底的にスタートアップの成長を支援していく。そういった「モチベーション源泉」みたいなところで共感できる人と切磋琢磨していきたいですね。人材も募集していますので、ご興味がある方はぜひ、こちらからご連絡ください。

四方: STRIVEは、徹底した現場支援で起業家と共に汗をかく”究極のハンズオンVC”なので、キャピタリスト 個人における裁量権は他に類を見ないほど大きいですね。その分、責任も大きいのですが、事業との近さはSTRIVEならではだと思います。共通認識の一つとしてあるのは、”日本から産業を背負って立つような企業を世界に輩出する” こと。僕自身、日本が世界で話題になることが多かった頃と幼少期の海外生活が重なっていたこともあり、当時、日本人として誇りを感じていました。ですから、日本が話題に上る機会が少なくなっている現状が悔しい。だからこそ、VCとしてビジネスを日本という国レベル、もしくはグローバルで考えられているか、という視点を大切にしています。日本の経済や産業に対してインパクトを作りたいという強い想いを持っている人と一緒に働きたいですね。メンバーを募集していますので、こちらからご応募ください。

高津:Wのミッションは”よろこび、ふやそう。”を掲げていますが、成熟社会では価値観も多様化する。日本は世界に先駆けてその社会に突入しているので、その新しい価値観を作ろうとチャレンジする起業家を応援したいですね。その新たな価値観は社会の「喜びの選択肢」となりうるでしょうし、VCの役割は大きいと考えています。その点で言うと、エンタメは成熟社会との親和性も高いですよね。 OLMベンチャーズ横田さんという大先輩のキャピタリストがいらっしゃるのですが、エンタメ領域では横田さんに押してもらうこと自体が”お墨付き”になっていて、オンリーワンのポジションを築いておられます。横田さんのような分野特化のブランディングは強いですし、そういったポジショニングを作れるように今、まさに頑張っています。
また、Wの哲学 ”どんどん失敗しよう。”で分かるように、Wは起業家が失敗を恐れずに挑戦できる環境を整えるVCです。その懐の深さは共に働くメンバーにも向けられていて、僕はそんなWで働けることがお世辞抜きで最高だと思っています。失敗を恐れず、新たな価値観を作りたい方と一緒にさらに上を目指したいですね。ぜひ、VCにご興味ある方はこちらからご応募ください。

新:若手の皆さんのお話を伺って、僕も目線上げていただいた気がします。濃密なVCのお話をありがとうございました!

プロフィール(50音順)
磯田 将太
KPMGメンバーファームのあずさ監査法人にて、製造・情報通信・小売・エンターテインメント・エネルギーなど多業種の法定監査業務及びIPO準備支援業務に従事。2020年6月、グロービス・キャピタル・パートナーズ入社。
早稲田大学政治経済学部卒。公認会計士。

四方 智之
2018年にSTRIVEに参画。STRIVE参画前は、GE(ゼネラル・エレクトリック)にてファイナンスのリーダー育成プログラムであるFMPに所属し、エネルギー部門の北アジア地域の経営企画・管理や、ヘルスケア部門の営業戦略立案に従事。それ以前は、米国にて政治経済メディアを共同創業。ジョージタウン大学外交政策学部卒。

高津秀也
2017年に新卒で日本生命グループの資産運用会社に入社、投資顧問分野に従事し、主に年金基金への営業企画を担う。その後ミクシイのCVCを経て、W ventures立ち上げ時から参画。 W venturesにおいては、小学生以来の趣味であるアニメやゲーム関連のコンテンツ知識も活かしながら、IPビジネスやライブ配信プラットフォームなどのエンターテイメント系企業を中心にtoC分野のスタートアップに幅広く投資を実行。

 取材・構成 株式会社TEA.M

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