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禿げと戦い続けた1年半 ①
これを本にすれば4部は売れる自信がある。
何故なら家族が4人いるからだ。
1 風呂上がりのドライヤー
ドライヤーで頭を乾かすとき、鏡で自分を見ることになる。
人生で一番つらい瞬間だ。
また(毛が)減った。
本当に鏡を見るのが怖い。
自分の好きなヘアスタイルなんざもう存在しない。
残り少ない毛で禿げをいかに隠すか、隠せるか。
それが今の自分の全て。
2 もう外に出たくない
誰もキミなんて見ていないし興味ない。
分かっちゃいるけど本人的には耐えがたい。
まだ「男」でいたかった。
とはいえ考えても解決する気がしない。
もう外出自体が億劫だ。
引きこもりたい。仕事も減らそうか。もう色々と諦めたい。
3 発毛剤との出会い
悲しいかな。私は貧乏人。働かなくては生きていけない。
スーパーに買い物に出なくてはならない。
通院している病院にいかなくてはならない。
これが1日も待ってくれない私の人生、現実だ。
しかしアデランスは予算オーバーだ。
そうか、発毛剤というものがこの世にはあるのか。
目薬でもお世話になってる天下のロート製薬の発毛剤なら…
藁にも縋る想いというのはきっとこういうものだろう。
どうせヤケクソだ。ついでにロートのシャンプーも買おう。
ああ、これで少し光が見えてきた。
半年…いや、1年もすれば少しは…回復してくれると信じたい。
4 1年後
このだらしない私が1年間、一日もサボらず発毛剤を使い続けた。
それは本当に奇跡的なことだったが…
効果?
むしろ禿げは進んだ。確実に。
ただ、多少リカバリーされてたりもするのかもしれない。
その辺は見た目では正直(禿げは進行しているとしか)分からない。
効果があったのか?まるでなかったのか?正直なんともいえない。
とりあえず第一類医薬品だ。少し副作用が怖かったが、幸い健康的にはなにも問題なく1年がたった。
「何もなかった」それだけでもよかったと思うべきなのかもしれない。
だがシビアに結果という意味でいうなら私の希望の光は今消えた。
5 ウィッグとの出会い
別にロート製薬を責めてはいない。
正直その金でアデランス一ついけた気がしなくもないが、出来るなら被せモノではなく「発毛」に賭けてみたかった。
これは自分の意思だから悔いはない。
とはいえ解決しない以上、次の手を考えなくてはならない。
ウィッグ。
そうか。アデランスは高嶺の花でも…
コスプレ用のおもちゃみたいなカツラがあるのか。
十分だ。もう遠出はしない。
買い物や打合せの時にパッと頭を隠せればOKだ。
もはや迷っている暇もない。
6 なんか頭浮いてない!?
ちょっと黙ってもらっていいかな?
そう言いたくもなる。
何せウィッグをつけることに慣れてない。
私の中では上出来なんだ。
とりあえず薄い部分は隠せてる。
それで充分だと思わないか?
7 頭痛
ウィッグで結構頭がしめつけられる。
慣れてくれば頭痛はとまるのだろうか?
緩くすれば頭は楽だがそれだとカポカポしてフィット感がない。
今はとにかく風が吹いてもビクともしないこと。
それが最重要事項だ。
頭痛くらいバファリンでどうにかなるさ。
8 歯とコラボ
歯医者通いになって4ヶ月がたとうとしている。
元はと言えば長年歯を大切にしてこなかったのは自分自身だ。
自業自得の因果応報というものだと半ば完治は諦めているが、先生は頑張って治療して下さっている。
先生にお手上げと言われるまでは通わせていただきたいと思っている。
しかしここで一つ問題がある。
禿げと歯なんてまるで関係ないと思っていたが…
歯の問題から抗生物質やロキソニンなんかも服用する。
そこにウィッグ頭痛のバファリンやら胃薬やら複合されていくと、私の体はもう本当に薬漬けになっていってしまう。
それはそれで体によくなさそうだ。
どちらの薬をやめるべきか?
さすがに選択の余地もない。
9 この辺が潮時か
色々と限界を感じる。
残りの余生は競輪を楽しめればもういいか。
幸い競輪場は客層として年配の方が多い。
私の禿げごときそれこそ気にもならないだろう。
居心地のいい場所が趣味であってよかった。
馬鹿らしく聞こえるかもしれないが本当にそう思う。
「男」は諦めるか。
10 その笑顔がつらい
病院にいけば先生、助手、女性の方も結構いらっしゃる。
なんなら競輪場の受付や喫茶店にも女性の方は多い。
どこにいってもわりと皆さんやさしく接して下さる。
笑顔で接して下さる。
お金を渡す時、両手で私の手を握って笑顔で丁寧に渡して下さる。
そのやさしさが…笑顔が…つらい。
禿げが…この禿げヤロウが…
内心そう笑われているのかなぁ…つらい…切ない…
自分ってもしかしてうつ病じゃないだろうな?
そう思う瞬間がわりとここ半年ある。
全ての目が「禿げ」に注がれている気がしてならない。
友人は言う。
「まだこのくらいなら…大丈夫やろ!?まだなんとかイケる!」
ナニがどう大丈夫なのか私にはさっぱりわからない。
苦悶の日々は続く。
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