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ママWIMインタビュー vol.3 : SAKKOさん 「”子どもができたらさようなら”にNO!コロナもポジティブに乗り切るミュージシャンママのリアル」

3回目のママWIMインタビューは、記事を書いている私(すず奴)が以前参加していた女性16名のトロピカルビッグバンド「たをやめオルケスタ」で出会ったトランペット奏者のSAKKOさん。
楽しいことに果敢にチャレンジする行動力、小柄な身体から放たれる圧倒的なポジティブオーラは、結婚・出産を経てミュージシャンママになった後もキラキラと健在でした!

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SAKKO(さっこ)
幼少期からピアノ、中学校の吹奏楽部でトランペットを始める。
武蔵野音楽大学器楽学科トランペット専攻卒。
卒業後はパフォーマンスバンドやバンドサポート、ブライダルでの演奏、
トランペット講師など多方面で活動。
女性ビッグバンド「たをやめオルケスタ」メンバー。
ディキシージャズバンド「PEACE TIME☆BAND」リーダー。
自身の結婚、出産、育児を経験する中でリトミック教育に惹かれ、
リトミック研究センターディプロマBを取得。
2019年自身の教室「リトミック教室Love'it」を立ち上げ、
演奏業とリトミック講師二足の草鞋で活動中。
5歳男児の母。2021年10月に第二子を出産予定。

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リトミック教室Love'it
たをやめオルケスタ

◆出産後、リトミックとの運命的な出会いを経て「さっこせんせい」に変身

--「リトミック教室Love'it」を立ち上げた経緯について聞きたいです。まずはリトミックとの出会いを教えてください。
第一子を児童館に連れて行った時、児童館で開催していた子ども向けの無料のグループリトミック講座を知ったんです。その講座を受けて、これはいい!と思いました。
講座の先生たちがリトミック研究センター(リト研)の資格を取得しているのを知って、私もリト研に習いに行きました。リト研は全国に支部があり、リトミックを教える機関として一番規模が大きいのではないかと思います。

--すぐ行動に移したんですね。リト研にはどのくらい通ったのでしょうか。
4年通って、初級・中級・上級・ディプロマBの資格を取りました。リト研の受講者を指導する資格が得られるディプロマAも取りたかったんですけど、出産が重なったのと、コロナの影響でオンライン研修がメインになっているので、対面で研修を受けたいのもあって、来年以降に受ける予定です。

--資格を取りながらLove'itをオープンしたのですね。教室の概要を教えてください。
毎週月曜日、レンタルスペースで開催しています。アップライトピアノが設置してあって、部屋の大きさもちょうどいいんです。
他の曜日はレンタルスペースの予約が埋まっていたのと、コロナ前は私のトランペット演奏の仕事も多かったので、ひとまず週一で初めました。
レッスンも諸々の事務処理も一人でやっています。

--何歳から何歳までのお子さんが対象なのでしょうか。
0歳児から5歳児までが対象ですが、コロナの影響で今は2歳児〜5歳児を教えています。

--レッスンの曜日を増やす予定などはありますか。
土日のニーズもあるんですけど、リト研の認定教室は年間カリキュラムの回数が決まっていて毎月定期的に開催する必要があり、土日は別の会場を借りて不定期でイベントメインでやっていこうと思っています。

--年間カリキュラムを遵守するとなると、10月の出産に向けて産休と育休も必要になってくるかと思いますが、取る予定ですか。
取ります。2ヶ月間計8回分を、リト研の資格を持つ方に依頼しています。
引き継ぎも終わりました。

--Love'itの今後の展望など教えてください。
今年で認定教室3年目なんです。そろそろ教え方にも自分なりのアレンジを加えたいなと思っているところです。
今は生徒さんもコロナの影響で毎週通えなかったりするので、コロナが落ち着いたら全クラス(0-5歳児)を開催したり、発展させたりしたいです。

--いずれはオリジナルのカリキュラムを組んだり、教材を使ったりしていきたいということですね。
そうですね。保育園でリトミックの依頼を受けたり、単発で別の教室に呼ばれたり、昨年は小学生向けのリトミックをやったりとLove'it以外の活動も増えてきまして、自分ならではの活動について意識し始めました。

--7月にリトコンという自主コンサートを開催されていますね。
はい。トランペットコンサートとリトミックを合わせたイベントです。元々は児童館からリトミックやコンサートをやって欲しいという依頼があって、リトミックと楽器のライブ演奏を合わせたイベントを何度か開催したのがきっかけです。
今後はリトコンも教室と並行してやっていきたいです。

--リトコンの反応はどうでしたか。
お客様の反応はすごく良かったんですけど、コロナ対策で8組限定と小規模だったので、コロナが落ち着いたらホールなど広い場所でやりたいですね。
今は私ともう一人、リトミックの先生にお願いして2人でやっていますが、ゆくゆくはバンド演奏もやりたいです。

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◆コロナの影響もポジティブに変える。インスタライブ配信で変えたライフスタイル

--早朝インスタライブをやっていらっしゃいますが、いつから始めたのですか。きっかけなどはありますか。
2020年10月18日から、平日週末問わず毎朝6:30-6:50でやっています。コロナ前は早起きが苦手だったので、早起きの習慣をつけて朝の時間を充実させようと思って始めました。最初はミュートをつけてトランペットを演奏したりウクレレを弾いたりしていましたが、最近は雑談をしたりパンを焼いたり、散歩しているところなどをライブ配信しています。

--コロナを生活習慣の改善に活かしたんですね。コロナの前と後で1日のタイムテーブルがどう変わったか教えてください。
コロナ前からリトミック教室はやっていましたが、夜の演奏仕事がメインだったので、夜型でした。

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--夜のハコバン(レストランやバーなどのお店に所属し、ライブ演奏するバンド)の仕事はコロナ下でも続いていますか。
完全に休業しているお店もありますし、私が産休のタイミングになったのもあって今はお休みしています。お店が再開したら戻りたいです。

--リトミック教室と夜の演奏仕事がある日の忙しさがハンパないですね。コロナ後の1日はどう変わったんでしょうか。
コロナ後、ミュージシャンの先輩たちとオンラインでラジオ体操をやってたんですよ。それから定期的に身体を動かそうと思って、YouTubeでリストを作って筋トレやヨガしたり、読書したりしています。いわゆる朝活ですね。

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--めちゃめちゃ朝型になりましたね。料理などの家事は旦那さんと分担しているのでしょうか。
コロナ前は日によって料理当番を替えてました。コロナ後は朝と夜のご飯作りを週替わりで交代しています。冷蔵庫の管理って1日より1週間にした方がやりやすいので、買い物も含めて週単位で分担しています。
その他の家事も分担しています。

◆復帰のタイミングなんて、産んでみないと分からない

--第一子出産の時は、産休をどれくらいの期間取りましたか。
レッスンの仕事はギリギリまでやりましたが、演奏の仕事は2ヶ月休みました。当初は産休は1ヶ月くらいの予定だったんですけど、胃が圧迫されて腎臓に水が溜まって1週間くらい入院したんです。ちょうど夏の時期で、野外ライブも多かったので早めに産休に入った感じです。

--妊娠によって腎臓に水が溜まることもあるんですね。第二子妊娠中の今も同様の症状があったりしましたか。
第一子の時は、陣痛よりも腎臓が痛いくらいでした。お医者さんに相談したら、右半身を下にして寝ないようにと注意されたくらいで、実際には防ぎようがないそうです。

--第一子出産の後、復帰した時期やタイミングなど教えてください。
産後1ヶ月半の時、知人のミュージシャンの結婚パーティで演奏の機会があって、そのタイミングで復帰しました。出産前に「参加できそうなら参加します」って曖昧に返事してたんですけど、体調も回復したので参加したんです。
出産前に、出産後の予定を組むって不安じゃないですか。絶対キャンセルできない予定は入れられないですし、いつから働けるようになるかなんて、産んだ後でないと分からない。
撮影で終日拘束されたときはおっぱいが張ってしまい、「終日仕事はまだ無理だった〜」って痛感した時もありました。

--仕事に復帰された後、どのようなサポートを得て育児と仕事を乗り切りましたか。
保育園にすぐ入れようと思っておらず、保活をしてなかったんです。夜の仕事がメインのフリーランスミュージシャンなので、そもそも保育園に入れると思ってなかったというのもありますね。
実家の両親に来てもらったり預けに行ったり、夫の実家もサポートしてくれました。でもコロナになってからは預けられてないです。
ファミサポは徒歩圏にサポーターがいないと利用できない仕組みで、区境に住んでいたからかサポーターが見つからず、利用していません。
ミュージシャンの友達に子どもを預かってもらったりもよくしました。
保育園に入るまでの1,2歳の時は、一時保育もよく使っていました。

--保育園にはいつ入れたんでしょう。
年少さん(3歳)です。昼間は一人で育児して夜は仕事に行く、という生活が大変になって、1歳の時に保育園を調べたんですけど全然空きがなくて。住んでいる区の1歳児の待機児童がマックスの時だったんです。0歳から待機している子が多くて、1歳児からだと全然入れなくて、2歳で通っていたプレ幼稚園の時間を延長させようかと考えていた頃、隣の区はなぜか保育園の空きがたくさんあることが分かって。夫の職場がその区だったので、在勤という形でその区の保育園に3歳から入ることができました。

--大変でしたね。フリーランスだと保育園に入りづらいという話も聞きますが、私の周りのミュージシャンママたちはうまく保育園に入れてるなという印象です。
私も第一子の時は周りにフリーランスがいなくて、入れないと思ってたんですけど、最近は周りにもフリーランスのミュージシャンママが増えて来て、みんな普通に入れたよって言ってますね。もちろんちゃんと事前に準備したからだと思いますが。
第二子が生まれたら、0歳から申請を出そうと思っています。

ーー第二子の保育園は第一子と同じところがいいですか。
第一子が行っている保育園の区は0歳児の空きが無いのと、在勤でなくその区に住んでいる人が優先になるので、無理そうです。第一子も今年度で卒業なので、違う保育園でもいいかなと思ってます。

--来年、小学生になったら学童は使いますか。小一の壁もありますね。
使う予定です。学童も入りづらいと聞くので情報を仕入れつつ動きたいです。小一の壁は本当に心配で、みんなどうしてるのー?って聞きたいです。

◆「子どもできたんだ?じゃ、さよなら〜」「無理し過ぎじゃない?」とたしなめられても譲れなかった、復帰への強い思い

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ーー私より上の世代の女性ミュージシャンは結婚していなかったり、結婚していても子どもがいなかったり、音楽を続けるなら結婚や出産を諦めないといけないような雰囲気があったように思いますが、SAKKOさん世代の女性ミュージシャンによって、その雰囲気が少しずつ変わって来ているなと思っています。同世代や下の世代の女性ミュージシャンへのメッセージをお願いします。
第一子を出産した頃は、ロールモデルにできる人も情報も実際少なかったですね。音楽の現場でも「子どもできたんだ?じゃ、さよなら〜」っていう雰囲気があったんですよ。でも私はやめたくなかったので、出産しても音楽の仕事を続けられる方法ってなんだろうって考えていて。
方法の一つとして「出産してもやめないですよ!やるんで!やりたいです!」ってとにかく伝えてたんですが「無理し過ぎじゃない?無理する人がいると周りの女性ミュージシャンも無理しちゃうからやめなよ」って同性の先輩にたしなめられたりもしました。でも私は私だし!復帰はそれぞれの判断で決めるべき!って思って。
フリーランスって代わりはいくらでもいるし、1-2年休んだら戻れる場所なんて無いけど、仕事相手に不利がなければ続けられはずだから「やります!」って言い続けました。1ヶ月検診が終わってお医者さんに「もう大丈夫ですよ」って言われた時に活動再開しました。後悔はしていません。
子育てに専念したい人もいるだろうし、色んなロールモデルがあることが大事だと思います。産む前はすぐ復帰すると思っていても、産んで気持ちが変わって、まずは育児に専念して、子どもが少し大きくなったら再開しようと思う人もいるでしょうし、その都度考えて理想と現実をすり合わせていくのがいいんじゃないかな。がっつり活動したければ、自分なりに環境を整えてていく。私は楽器のキャリアやスキルが心配なので、なるべく間を空けずに復帰したいです。

ーーこれからしばらく産休・育休に入るSAKKOさんですが、たをやめオルケスタの活動についても教えてください。
8月にアルバムをリリースしまして、秋から活動再開予定です。私もできるだけ早く復帰するつもりです。ライブスケジュールなどはたをやめのサイトをご確認ください!

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10数年前、SAKKOとの出会いはすごく衝撃的で、「なんでこんな可愛いモデルみたいな人がトランペットなんてやってるの???」と不思議でした。(音楽以外でも強く自己表現ができそうなのに、何故音楽を?何故トランペットを?と思ったのです。すみません。。。)
彼女からもらう衝撃はバンド活動を共にする間も続いていて、クラシックをきちんと勉強していて音楽もトランペットも大好きなこと、芯の通ったポジティブネス、そしてとことん有言実行な行動力。いつも驚かされていました。
ママとして音楽活動を続けるのは、本当にとっても大変です。周りのママミュージシャンも私自身も必死に手探りでやっています。有名ミュージシャンのような雲の上の存在のインタビューを読んでも今ひとつリアルな生活感は伝わってこないし、もっと身近で元気がもらえるような人にインタビューできたらなとずっと思っていました。SAKKOにインタビューできて、彼女が相変わらずポジティブで行動力に満ちていることを知れたのと同時に、彼女のことを伝えることができて、とても嬉しいです。

ママWIMでは、今後も色んなミュージシャンママのインタビューやタイムテーブルなどお伝えしていく予定です。お楽しみに。
そして、ママWIMではインタビューにお答えいただけるミュージシャンママを募集しています。自薦他薦問いません。以下facebookページからメッセージをお送りください。

https://www.facebook.com/womeninmusicjapan/

インタビューと執筆:堀寿々子(すず奴)


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