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透析室における中和装置
透析施設がある病院には中和装置というものがあります。この装置は名前の通りPH5以下、9以上の液体を5<PH<9の範囲に収めるというものです。下水する排水液で使用されます。
こんな形の装置です。うちの病院にあるのはもっと大きくて形も異なります。
こっちのほうが形としては近いです。
〇では、なぜ、中和装置が必要になったのか?
それは、2017年11月に東京で下水排除基準を著しく逸脱した排水によって下水道管が損傷し、道路が陥没したためです。これを機に厚生労働省から各都道府県の衛生主管部に対して2019年1月に「医療機関における下水排除苦基準の遵守について」という依頼が発生され、その中に「下水を下水道に排除する場合はPHを5<PH<9の範囲に収める必要があること」と記載されています。透析でこの下水排除基準を著しく逸脱しているのが透析患者監視装置などの洗浄で使用する洗浄液です。洗浄液は酢酸(原液PH0.8~1.2)、次亜塩素酸ナトリウムか(原液PH 12.5~13.5)を使用しているためそのまま下水に流すと配管が腐敗し、危険です。透析液(PH7.2~7.4)は問題なく排水できます。
仕様薬剤は硫酸と苛性ソーダを使用しています。PHが高いときは酸性の硫酸、PHが低いときは苛性ソーダが入り中和が行われます。
〇構造
構造は層が三つあり、最初の二つの層は排水液を中和するための層(中和槽)です。最後の層は排水液が5<PH<9の範囲にあるかどうかの監視をしています。(監視層)
中和槽には調整電極という監視電極からフィードバックによりどのくらい薬剤を入れたらどのくらいPHが変動するかを確認するものがついています。また、監視層にはPHの監視をする監視電極があります。電極に関しては標準液(塩化カリウム溶液)の補充が一年に一回くらいで必要です。
また、各層の上部はつながっていて排水液でいっぱいになってもオーバーフローされるようになっていて装置内が排水液でいっぱいになるのを防げるようになっています。