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私は、美容師さんと話をするタイプのお客様
私は美容室に行くと、美容師さんと話すタイプのお客様だ。
「どんなふうにしたいですか?」の話から始まり、「最近熱いですね~」という天気の雑談を経由して、お休みの日にしてること、ドラマの話、漫画の話、子どもの頃の夏休みの話なんかを、これまでいろいろな美容室で披露してきた。
「すごく話しやすいです!」と言われると嬉しいし、「お姉さん面白いですね!」と言われたときには有頂天になる。
基本的に、単純だ。
一時期、「あれ、こんなに話しかけるお客様ってうざかったりするのかな……」と思って、自粛していた時期ももちろんある。スマホを触ってSNSを見たり、渡されたタブレットで雑誌を読んだりしていた。
でも、結局「もしかして、今私が見てるもの、読んでるものを後ろで見ているかもしれない……」という目線が、自意識過剰にも気になって、楽しめなかった。占いを真剣に読んでいる自分や、読者からの恋愛相談室なんて特集を熱心に読み込んでいる自分を誰かに見られるというのは、なかなかに恥ずかしい。辱めにも近い。
この前、美容室に行ったときも美容師さんと話をした。結構盛り上がって、お子さんの話を聞いたり、ディズニーランドの一番好きなアトラクションの話をしたりした。
そのおかげか、シャンプーのあとに「気持ちよかったです!」とちゃんと伝えることができたし、そのあとのマッサージでも「すごくお上手です! コリがほぐれました!」と伝えられた。私は「良い」と思ったことは、ちゃんと伝えたい。
髪の毛を切って、染めて、シャンプーをしてもらって、マッサージまでしてもらった最後の最後、セットをしてもらうときに、セット剤の話をした。
「今ってバームとかオイルとかいろんな種類がありますよね。ぶっちゃけ何がいいとかあるんですか?」
「セットしたい雰囲気によりますね。束感や艶感がほしいときは、バームやオイルがぴったりですね」
「なるほどです。何かおすすめありますか?」
「うーん、そうですね……匂いとかで決めてもいいかもしれないですね」
と、言われて美容師さんがオイルを手に取った。すると、
「あ! これ嗅いでみてください! 無印良品みたいな匂いがしますよ!」と言われた。
めちゃくちゃ無印良品の匂いがした。「無印良品の匂いがしますよ!」と紹介してくれたあなたのことが一瞬で好きになった。
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