カプチーノ
6:30に目が覚めた。
昨晩眠りについたのは恐らく午前2時頃なはずだった。空腹のせいか幾分目覚めがいい。すぐベッドから離れることができた上に、正午に迎える一件のヘアカットの客人を意識しつつ、軽く部屋の掃除を済ませる。
フルーツティーを淹れ、一口啜る。今日やるべきことを段取るために頭の中を一掃する。一通り整理出来たところで巻きタバコに火をつけ深く吸い込み、髪を整え、今にでも外出できる状態になった。
午前中は読書に時間を費やすつもりだ。窓の外は曇り空。念のための折りたたみ傘を手に取り、4階のワンルームからの階段をゆったりと下り、玄関扉をいつも通りそっと開けて歩き始めた。
今日は移動範囲が広いから、電車を使用することは決めていた。最寄駅まで向かうとふと駅前のカフェに目が止まった。そこは、この街ではそこそこ有名な老舗のカフェ。この街に移住してきてからというものの、存在すら認識してたが縁がなく、行かずじまいだった場所だった。
「やっぱり、。」
本来、知り合いが働いてるカフェへ行くつもりだったが なんとなく気が変わり、目に留まった場所へ足を運び、初めての扉をあけてみた。広がる空間はクラシックで品がある。でもほんの少し照明が明るすぎるような、そんな印象を受けた。注文したものが届いた、cappuccinoは悪くない。
居心地のいい店内の雰囲気。客足は僅かだが、平日の早朝8:30前後の
この時間だからかもしれない。が、そこを差し引いても気まぐれで訪れた甲斐はあったと思えた。最近読み始めた本を開き、穏やかな気持ちで読み進められた。
1日の始まりとしては
申し分ない出会いを感じられた。
[ カプチーノ ] - 短編小説
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