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【プロセカ】絵名と瑞希の物語、その行きつく先は
※このnoteには、プロセカの各ストーリーのネタバレしかありません。
「傷だらけの手で、私達は」。
そのストーリーは、ただ「絵名が瑞希を救う」だけの物語ではなかった。
絵名と瑞希が今まで積み重ねてきたものの集大成が、そこにあった。
なお、このnoteはイベント終了直後(アフターライブ後)に公開する予定だが、なるべく人の意見に左右されたくないという想いから、筆者はストーリー読了後X(Twitter)やYouTubeなど、イベストに関する情報をほとんど見ずにこれを書いている。
ゆえに、純粋な感想を形にしたいという気持ちでいるため、多少認識のズレが生じている可能性をご了承願いたい。
前提
まず、暁山瑞希という人物についておさらいせねばなるまい。
瑞希は、幼い頃からカワイイものが大好きで、学校にもカワイイ服を着て登校していた。
しかし、周囲からは「変なの」という視線を向けられ、なかなか理解されることはなかった。
ニーゴに入ってからも、カワイイ物好きは隠さずにいながらも、それは「秘密」として隠し通していた。
ニーゴのみんなでミステリーツアーに行ったときも、「これからも一緒にいられたら」と願ってしまった。本当は誰からも理解されないのに。
そのことに苦しむ姿に、絵名が気づいたところから、すべては始まった。
秘密を話せば、何もかも崩壊してしまうかもしれない。そんな恐れを抱く瑞希に、絵名は「話せないなら、話すまで待つ」と言ってみせた。
それでも、過去の恐れからやはり話すことはできなかった。
そして、向き合えないまま時間は過ぎていき、話そうと思った秘密は不本意な形で明かされてしまった。
瑞希は、絵名から距離を置き、消えたいと思ってしまった。
前回のイベストについてはこちらのnoteも参照
その後、類や杏や彰人や冬弥、奏やまふゆの協力、MEIKOの瑞希への助言もあり、絵名は連絡も取れなかった瑞希との接触に成功。
すべてを賭けた説得の末に、瑞希は「友達でいたい」と涙ながらに語る。
絵名は、そんな瑞希の手を引き、ニーゴへと連れて行くのであった…。
今回のストーリーについて
このストーリーで良かったのは、登場人物のほとんどが、自分の意志で瑞希のために動こうと行動していた点である。
絵名は言わずもがな、奏やまふゆも大切なニーゴの仲間として協力を申し出た。(まふゆは「学校よりも大ごとだから」と、学校をサボってまで協力している!)
彰人や冬弥、杏も、出番はわずかだが瑞希のために足がかりとなる情報を提供している。
さらに、類は絵名から瑞希の話を聞き、自らが抱いている願いについて語った。この話は、絵名の想いを後押ししたといってもいいだろう。
このように、みんなが自分から瑞希のために何かできないかと考え、自分にできることをやっていた。本当に優しくて強い人たちに恵まれたと思う。
…しかし、前回のイベストで本人が語った通り、その優しさは瑞希を余計に追い詰めてしまう。かといってこのまま、ニーゴにも戻らず、ふっと消えてしまいそうになるのも良くない。そのため絵名は奔走した。
そして、必死の想いで絵名は瑞希を見つけるも、瑞希は思わず絵名を拒絶してしまう。
逃げ去った先でMEIKOに「向き合うなら、今しかない」と唆され、追いついてきた絵名と対峙するのだが……
クライマックスシーン
最終話「友達」。
それは、ニーゴという物語の山場であった。
今までに見たことのない演出が数多く盛り込まれたクライマックスシーン(詳しくは実際に読んでいただきたい)。絵名と瑞希は、どこかの路地裏で対峙していた。
絵名は、瑞希と友達でいたいと語るが、瑞希は「自分がいる限り、気を使わせてしまう」と胸の内を語る。だから、その優しさがどうしようもなく嫌で、一度は絵名を拒絶していたのだ。
それに対し、絵名は「傷つけているなら、傷つけないように努力する」と自らの決心を伝えるが、それでも瑞希は「絵名はそうやって苦しい想いをしているじゃないか」と再び逃げようとする。
とうとう絵名は「どうしてわかってくれないの!ずっと友達でいたい!」「周りからの目線とか、瑞希がいなくなることに比べればどうだっていい」と怒るように言葉をぶつけた。そしてすべてを語りきったあと「それでも行きたいなら、好きにして」と語る。
瑞希はついに、ニーゴにいてもいいのかなとあふれる想いを涙ながらに口にする。
そうして最後は、絵名が瑞希の手を引き、奏とまふゆの元へ連れて行くところで幕を閉じる。
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感想
ストーリーを読み終わって最初に感じたのは、「瑞希が救われてよかった」という安堵感ではなかった。
読了後、私は絵名の「すべてを受け入れる強さ」に、ただ言葉を失っていた。
瑞希は完全に救われたわけではない。むしろ瑞希の言うように、これからいくつもの試練があるだろう。
それでも、瑞希と一緒に友達でいたいという強い覚悟があれば、どんなことがあっても乗り越えられるだろう。
個人的に印象に残ったのは、クライマックスで最後に瑞希の心を動かしたのが絵名の「優しさ」ではなく「怒り」や「苛立ち」からくる言葉だった点だ。
始めは説得するように語りかけていた絵名だったが、何度話しても距離を置こうとする瑞希に絵名は腹が立ったのだろう。しかしその強い言葉は、誰が何と言おうと、何が何でも友達でいたいという想いが伝わり、瑞希の心に響いたのだと私は解釈している。
優しさが瑞希の心を追い詰めるなら、どう答えればいいのか?少々強引だが、その答えが示されたような気がした。同時に、穂波のような真っ直ぐな優しさというわけでもないのがなんとも絵名らしいと思う。
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また、一部のユーザーから指摘されていた「絵名がどう行動しようと、瑞希が考えを改めなければ何も解決しないのでは?」という点にも、しっかりと答えが出せていたと考える。
絵名の「私の想いは何も変わってない」「変わったのは瑞希じゃない!!」という言葉から、絵名は自分を拒否する瑞希に少なからず苛立ちがあったと見える。
「自分とは離れた方がいい」と勝手に決めつける瑞希に、「ずっと友達なのに!」と強く言葉をぶつけ、その考えを打ち砕いてみせた。ふたりの間にあった透明な壁は決壊して、再び手を取り合えるようになったのだ。
そして、最後に瑞希にどうするか決めさせたのは絵名であったのも、物語の終わりとして完璧だったと思う。
「一緒にいたい」という想いを胸にかかえながら、きっとうまくできないと思っていた。それでも、ただみんなと一緒にいたいという気持ちを捨てずに、ニーゴでいることを瑞希は選んだ。
ちゃんと尊重する優しさも感じられて、とても美しかった。
これからも、周りとうまくいかないことがあるかもしれない。それでも、一緒の仲間がいるなら、きっと何があっても大丈夫だと、信じている。