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【イェンダこぼれ話】タペストリーの話

最近あっちーですわね。
こんにちは。三津名ぱかです。

今回は「篤き恩寵のイェンダ」に登場するアイテム、タペストリーについて語っていきます。
特にネタバレなし。ただし考察を楽しみたい方は、そっとブラウザバックしてください。
本編置いときますね↓

自創作におけるタペストリー

背景にある大蛇が描かれているのがタペストリーです

作中では「織絵巻」と書いて「タペストリー」と読ませています。印象的なアイテムにしたかったのと、どんなものか想像しやすくするために、あえてフランス語の名称を登場させています。
もともとラケのお話は、私が高校生の時からあるものです(断片的なシーンとキャラのみですが)。去年1月の終わり頃、ふと物語にタペストリーを登場させてみようと思ったところから、爆発的にプロットが組み上がりました。

ナウシカへの憧れ

なぜタペストリーかというと、「ナウシカのオープニングみたいなのをいつか創作でやりたい!」と常日頃考えていたからです。横長の織物の中に、世界の終末と人々を導く翼を持った少女が描かれているアレ。本当に大好きなんですよ。
そこから繋がる、メーヴェに乗ったナウシカのカットも美しすぎて。以前映画館でリバイバル上映を見にいった時も、もうこれだけでスクリーンで見る価値あったなと思ったほどです。

ナウシカのオープニングは「バイユーのタペストリー」というものに影響を受けたとされています。こちらはウィリアム征服王の戦記であり、ハレー彗星が記録されていることでも有名です。
ウィキペディアによれば長辺63.6 m、短辺0.5 mの横型。非常に長い絵巻的刺繍作品です。タペストリーとはつづれ織りを指すため、バイユーのものは正確には刺繍画となります。いつかフランスへ見に行きたい!

他にもインド美術や、チベット仏教のタンカと呼ばれる仏画も、意匠や色使いの参考にしています。舞台がその辺なので。タンカの多くは絵画ですが、織物も多少あるようです。

てなわけで、これらを組み合わせてキービジュアル背景にある、タペストリーのデザインを練りました。参考にしたと言っても、圧倒的に画力が足りないので、それっぽくなっているかは不明です。

タペストリーの他にも、ナウシカに影響された所があります。
わかりやすいところだと、3話(1)の混乱するイェンダの民を落ち着かせるためにディヤがほほえむやつ。腐海に着陸するのは無理だと嘆く城おじたちに、瘴気マスクを外して笑いかける場面を僭越ながらオマージュしております。ナウシカの持つカリスマ性が光る名場面ですよね。
元々は、ラケがみんなへ呼びかけるだけでした。現人神の存在の大きさと、ディヤの健気さを強く押し出したくて、ああいう演出になってます。

祇園祭とインドラ・ジャトラ

祇園祭は動く美術館とも称される、飾り立てられた山鉾が目玉ですよね。装飾には舶来品も使用されており、トロイア戦争を描いたタペストリーが現存しています(現在山鉾の懸装品になっているのは複製だそう)。
タペストリーを祭りの日に野外に飾るのは、祇園祭から着想を得ています。祇園祭は無病息災を願う祭りですし、創作内の雨季迎えの祭りも、災いによる病を治し、一年健康で安全に過ごせるように祈願します。野外に飾るのは、保存のために風を通しておく意味合いもあるかもね。
本当は山車みたいなものも出そうとしていましたが、急斜面ばかりの集落では無理だなと思って、壁面へ展示する形に落ち着きました。

非常に面白いな〜と思っているのが、祇園祭とネパールのお祭りインドラ・ジャトラとの類似点です。ラケのお話に出てくる現人神は、ネパールで今も存在する、クマリという少女の神をモチーフにしています。クマリが山車に乗って街を巡行するのが、インドラ・ジャトラという祭りです。
巡行の形をとるのも一つの共通点ですね。さらに、クマリは地に足をつけてはならないとされていますが、祇園祭のお稚児さんにも、同じような決まり事あるそうです。
遠く離れた地に同じような風習があるなんて、なかなか興味深いですよね。

実際につづれ織りを体験した話

ラケの話を公開する前の今年1月、京都旅行に行きました。私が掲げた目的のひとつが、織物体験でした。
西陣織のさまざまな技法の中に、つづれ織りがあるのです。いやここまで来たら作りたいでしょ! 実体験ほど上質なリアリティは無いぜ!!
場所は奏絲綴苑さん。コースターを作る体験をしました。

まず動画で制作の概要を学び、その後作品の鑑賞や実演も間近で見ることができました。細やかな手仕事に、友達とずっと「解像度たっっっか!」って言ってました。
織機の大きさや種類、使う道具、糸の材質、制作時間や工程の細部etc…いろいろ質問してしまいました。丁寧に対応していただいて、本当に感謝しております。
大変な手間隙かけて作られるもので、お値段を聞いてヒエェ…ってなりました。でも最低限そのくらいはしますよね~と納得。私が大富豪なら、実物大イェンダのタペストリーを制作していただきたかった…。

そしてついに自分の手で織る!!
いろんな糸を図柄に合わせて織りますが、実際にやってみると糸の種類によって目を詰める力加減が違ったりして。たった3色の縞模様を作るだけでも、ムラができてしまい大変でした。難しいところもあるけど、夢中でできちゃう感じで楽しかった。こういう作業大好き。
あと織物のアクセサリーとストラップを購入ました。かわいい。通販でも買えるみたいです。5月のコミティアでも、実はイヤリングを付けてました。

タペストリーを織る描写は序章にしかありません。でも旅行前は、これで良いのかよくわかんないな…って感じで。結果大きく変えたわけではないものの、おかげさまでなんとか納得できる形にできました。
物自体も作中で集落を出てからはあまり登場させられませんね。でも物語全体の軸ではあるので、今後も注目していただけたら幸いです。

おわりに

おっかしいですねぇ…。本当は災い除けの旗についても、この記事で語ろうと思ってたのに。長くなりそうなので、来月以降にまた書くことにします。

今年は今のところ夏バテの気配を感じていないので、このままいきたいものです。物を食べれないのってつらいよね。
みなさまも体調を崩されませんよう、お気をつけください。じゃあまた来月!

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