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離職とブラウザの奇妙な関係

1人よりも、複数人の多様性

マシュー・サイドの『多様性の科学』という本を読んだ。経済アナリスト・エコノミストの予想的中率が1位の人よりも、経済アナリスト・エコノミストのベスト5人の予想的中率の方が高いという興味深い結果が書かれていた。おそらく、1位の人が外した予測を2位の人が的中させていたりすると、そういうことが起こるのだろうと思った。ただ、少し違う話が妙に印象に残ったので、ご紹介したいと思う。

コールセンターの離職率の話

コールセンターの離職について調べようとしていた研究者が、前職の経験、年齢、在職年数などのあらゆる指標から、離職を予測できないか検討したところ、どれもヒットしなかった。しかし、たまたま、採用の申し込みをWEBで行っていたために、その時に使用されたブラウザの情報が残っていたので、その関連を調べてみると興味深い結果があった。

使用しているブラウザ

なんと、InternetExploreやSafariを利用している人よりも、ChromeやFirefoxを利用している人の方が、在職期間が長いことが分かったのである。とても面白い。書かれていた考察は、利用しているOSが、WIndowsのOSにしろ、MACのOSにしろ、デフォルトで付属しているブラウザではなく、使いやすさを求めてわざわざ別のブラウザをインストールしている人は、仕事をする中でも同じように働きやすさを求めて工夫をしているのではないかという内容が書かれていた。これは、今流行りの「ジョブ・クラフティング」に通ずるところがあると思われる。

ジョブ・クラフティング

ジョブ・クラフティングというのは、一言でいえば、仕事の工夫である。本質的な定義は、もっと哲学的だと聞いたことがある。が、それは置いておいて、仕事の工夫を意図的に生み出すことで、従業員の生産性をあげていったり、仕事のやりがい(ワーク・エンゲイジメント)をあげていこうとする社会的な流れの中で、一つのツールとして最近注目されている。

自分自身の環境

そういわれてみれば、皆、同じデスクを使っていても、デスクがその人っぽいデスクの持ち主や、妙にマウス、キーボード、ガジェットに拘りがある人、エディターに拘りがある人は、どの会社にもいそうである。そういう人は、物理的な環境やITの環境だけでなく、仕事という内的な環境においても、たとえば、業務プロセスや交通整理に、おいても同じように、こだわったり、自分にやりやすいように、工夫をしているということであろう。

統制と工夫

必ずしも個人の仕事の工夫がすべて受け入れられるとは限らないが、統制が強ければ、生産性が高いチームだと言えるわけではない、ということもまた確かなことである。この両方のバランスをとりながら、つまり、個人の仕事の工夫や可能性を伸ばせるように、多様性に配慮した職場作りが企業にとっては重要であるということなのだと思う。



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