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BIツール研究所の代表が謎のBIツールThoughtSpotを導入した話
データエンジニアリング関連でいつも勉強させてもらっている方々が参加している「datatech-jp Advent Calendar 2024」に投稿しております。とても面白い記事が多いのでぜひ他の投稿もチェックしてみてください。
私は今、コミューンというオンラインコミュニティプラットフォームなどを提供しているSaaS企業に勤めております。
これまでスタートアップでよくあるredashとLooker StudioをBIツールとして利用していたのですが、この度ThoughtSpotというBIツールを導入しました。
BIツールオタクである私が、なぜ日本であまり有名ではないThoughtSpotを導入したのかをお話しします。
ざっくりとしたデータチームの状況
・社員数150人くらいのスタートアップ
・立ち上げ1年ほどのデータ組織
・データパイプラインの基礎整備が完了しこれからデータの民主化に注力
ThoughtSpotを選んだ理由
ThoughtSpotというBIツールを初めて聞いた人も多いかも知れません。
日本ではあまり馴染みがないツールですが、実はUSを中心としたグローバルでは有名な製品です。ガートナーのMagic Quadrant でもTableauやLookerなどと同じLeadersに位置する製品です。
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私も10年ほど前から認知はしていましたが、目立った特徴もなく、そこまで注目はしておりませんでした。
ThoughtSpotは、2018年ごろからAIへの投資をものすごく積極的に取り入れております。この年から買収が盛んに行われており、特に昨年2023年にコードファーストな分析者のためのBIツール「MODE」を買収したことが話題でした!
私は「対話型でデータ探索できる真のデータ民主化」を実現するポテンシャルがあると思い導入をしました!
導入の決め手となった特徴
ThoughtSpotの特徴を紹介します。詳しくは公式ページをご覧ください。
・レスポンシブデザインでダッシュボードを作成できるのでとても楽ちん
・TableauやPowerBIほどの表現力はないが10年の歴史があり十分なレベル
・グラフの種類、汎用、ツールチップ、書式などは十分
・dbtで定義、列の説明、テストしたJOIN情報などを読み込める
・他ツールへの連携先が充実かつ細やかな配信設定ができる
・Slack上で/spot-help XXと質問ができる、salesforceへの連携もある
・生成AI系の機能が充実している
・自然言語検索機能がある etc
対話型AIアシスタントAsk Sageのポテンシャル
Ask Sageという機能は、Live Boardというダッシュボードの情報から派生する質問を対話形式でデータ探索できる機能です。(アーリーアクセス)
↓デモはこちら
この機能まだ、「なぜですか?」という質問や「データの意味に関する質問」には対応できないです。しかし、ThoughtSpotはdbtのメタデータを取り込む機能があったり、他の検索機能でカラムの説明情報を加味して結果を返すことができるので、いつか社内でアナリティクスエンジニアがコツコツ蓄えたメタデータを学習し、精度高く回答してくれる「対話型でデータ探索できる真のデータ民主化」が実現できるのではないかと期待しています!
生成AI時代のBIツールのデータモデリング
Ask SageやSpotIQという対話型のデータ探索機能ですが、読み込むデータモデルを任意に選ぶことができます。
従来のBIツールだとLookerのLookMLでビジネスドメインまできちんと制御している場合は厳格なSSOTが実現できますが、同じMRR、CVなどのメトリクスでも部署や場合によって意味が違い、多部署展開している場合はLookerだったとしてもSSOTは実現することが困難です。
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SSOT:シングルソースオブトゥルースの略
ThoughtSpotは、例えばデータエンジニアが管理担保するdbtセマンティックレイヤーなデータモデルだけを対話型のデータ探索の対象とできるので、従来のBIツールよりも品質の高い情報を元に対話型のデータ探索が実現できます。
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学習するためのテスターを用意する
Spot IQなどの自然言語の分析システムは学習機能がついており「使用状況ベースのランク付け機械学習アルゴリズムと強化学習」を行ってくれます。
エビデンスがないので仮説として、自社の場合、いきなり全社展開するとアンチパターンの検索や問い合わせに重みがついてしまう可能性がありそうでして、最初はチーム内で機能を使い学習を進めてから徐々に展開していこうとしております!
育成ゲームのような感覚を持っており、とても楽しみです!
ジェネリックLooker
2018年から現在まで事業会社のデータエンジニア内ではLookMLでビジネスロジックを一元管理できるマネージドなBIツールLookerが時代を築きました。
しかし、高機能なためBIツールの中では相対的に値段が高く、Lookerを導入したいけど予算的に導入できない。Lookerを導入していたが別のBIツールにリプレイスしたというお話を今年よく聞きました。
トレンド1. lightdash
Ubieさんの事例が有名です。
dbt セマンティックレイヤーを活かせる&APIが豊富でコード管理しやすいという点でLookerの代替としての導入事例をよく聞きます。
2021年くらいから市場に登場しものすごい勢いでアップデートしており注目のBIツールです。
トレンド2. Looker Studio
同じGoogleが提供する製品であるLooker Studioに移行しコストを下げる例もよく聞きます。
Looker Studioは一人月額9💲ほどでPROという有償版に切り替えることができて、組織レベルのガバナンス、Gemini in Lookerという生成AI機能、他のGoogleツールとの連携などができるそうです。かなり低価格。
BIツール研究所的見解
1. クライアント向けに「embedded analytics」の要件
2. BIツールとしての歴史があり表現力が十分にある
3. 「対話型データ探索の可能性」
4. メタデータ対応コード管理
5. 価格
→これらを加味して今回はThoughtSpotが最適と判断しました!
今後の展開
今月導入を開始してデータの連携とチーム内説明会が終わったところです。2025年は社内向けのダッシュボード提供とクライアント向けの分析画面の提供などを開始し社内のBI基盤としてきちんと活用していきたいです!
また、目玉である対話型の分析システムを完成させて、生成AI時代のBIツールのデータモデリングにおけるベストプラクティスを作って界隈に貢献していきたいです!
mixi2
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