レンタカー試乗記 : 013 トヨタ シエンタ 1.5 X (NSP170G)
打倒フリード。2代目シエンタは、デザインでも攻めた!
ご覧いただきありがとうございます。
今回は2代目シエンタの試乗記。
2代目シエンタは、2015年7月から2022年8月の間に販売されたモデル。
新型が世に出て型落ちになってしまったが、自家用車やレンタカー含めてかなり街中で見かけるモデルである。今回乗ったのは後期型。
それにしても初代の丸っぽかった外観からガラリと変わり、なかなかにアグレッシブなデザインで出してきたな、という印象を当時は抱いた。
ただ、そんなデザインも時間が経つと見慣れてくるから不思議なもので。
パワートレインは1.5Lガソリンと1.5Lハイブリッドの2種類。
今回乗車したのは1.5Lのガソリンモデルの"X"。
一番下のグレードで、お値段は185万円。
今回はそんなシエンタの試乗記である。
よろしければお付き合いくださいませ。
外観、内装、デザイン
登場当時、目尻からなんか垂れてんなと思ってしまったヘッドライト周り。
子供ながらそんなことを思っていたが、今見てみるとデザインの構成要素としてはなかなかいいアクセントになっていると思う。
メッキもギラギラしていないし、奇抜ながら意外とシンプルにまとまっているような印象は受ける。
ただ、この手の樹脂部品は見た目こそ良いものの経年劣化を考えてしまうのは悪い癖だろうか。樹脂部品が白化して薄く白がかった目尻を見るのはなんとも悲しくなりそう。
リアデザインもフロントデザインと共通で、テールランプの下から樹脂部品が伸びているようなデザインになっている。
前後でデザインの意匠というかコンセプトが揃っているのが良いポイントだと思う。
ちぐはぐ感も意外と感じないというか、けっこうまとまったデザインのように見えてくる。
リアの反射材は樹脂部品のパーツ内に埋め込まれている。
曲線基調というか、どの部分においてもゆるやかなカーブをモチーフにしたデザイン。横から見るとそれがより分かる。
たぶん、デザインは相当練られているのではないだろうか。
攻めたデザインだが、不自然感を本当に感じない。
タイヤは15インチ。トーヨータイヤのナノエナジーJ63が装着されていた。サイズは185/60R15。
オプションで16インチも選べる。ちなみに上位グレードでも15インチホイールキャップ(要はこの見た目)が標準となっている。
内装はこんな感じ。オレンジの差し色が目立つ。
助手席側のダッシュボードの蓋は開けると収納になっている。開けると中身は全部オレンジ色になっていて派手だが、閉めているとそこまで目立たない。
メーターは運転席真ん前。下手にセンターメーターにしなかったところに好感が持てる。
全体的に使いやすくまとまっている印象。
メーターの真ん中には小さい液晶があって、各種情報はここに表示される形になっている。
ドアを開けるとミニシエンタが表示されるギミックが可愛い。
乗ってみての感想とか
今回は1泊2日の行程。
一般道や高速道路、そして山道などあわせて600kmほど走行した。
感じたのは、安定性の高さ。
どんな道でもスイスイ走れる印象。コーナーでもかなり踏ん張ってくれる。
ただ1.5Lエンジンのパワーは正直微妙。坂道では割と踏み込むような形になる。ただし、踏めばそれなりに走ってくれるのであまり気にならなかった。
パワーの体感的には現行フィットの1.3Lに近いかな?と思ったり。もうラインナップにないけど。
ちなみにそんな現行フィットの試乗記はコチラ。
ちなみにアクセルの反応は若干過敏気味のように感じたが、たぶんこれは慣れの問題だろう。
90系ヴィッツのようにいつまでも慣れない超敏感アクセルではなかった。
ハンドルはけっこう重め。
なんかこう、常に中心に引っ張られてるような感覚があった。
ただしそれが効いているのか、高速時の安定性は良かった。
高速時にステアリングが軽いとフラフラするので、自分は重めのほうが好きというのもあるのだが。
ライバル車であるホンダのフリードのハンドルはかなり軽めのセッティングなので、ちょっと意外。
エンジンブレーキはかなり効くほうで、山道の下りでSレンジとBレンジを使いこなしてスイスイ下ることができた。
感覚的には前に乗ったE11ノートに近いかも。
ちなみに私個人の考えだが、エンジンブレーキの効きって個人的にはかなり重要だと思っている。日常的に峠道に行くわけではないが、ちょっとした坂道自体は普段走る道でも結構多いと思う。立体駐車場の下りの坂道とか。
自分はそういう道で積極的にSレンジやBレンジに入れて走るので、どうしても人よりエンジンブレーキの効きを重要視してしまう。
…まぁ、今の愛車はD3レンジと2レンジしかない(1速に落とせない)のでエンジンブレーキほんと効かないんですけどね。
ちなみにエンジンブレーキではない普通のブレーキの感覚は至って普通。
若干ペダルを踏んでから効くまでの遊びが大きい気もしたが。
いいところ
押さえるべきところをちゃんと押さえていること。
走りも問題ないし、荷物の積載性も問題ない。
2・3列目は乗っていないので分からないが、3列目はともかく2列目は快適に過ごせる空間があると思う。
この手のミニバンは、常にフル乗車するというよりは4~5人以内で乗ることが圧倒的に多いと思うし、1・2列目の空間が快適であれば自分はそれで良いんじゃないかと思っている。
5人乗りのクルマに5人で乗るのと、7人乗りのクルマに5人で乗るのとでは、そもそもの余裕が違うのだから。
あと、高速を飛ばしたり峠を越えたのにも関わらず、燃費は18km/Lだった。
頑張ればもう少し伸びると思うが、純ガソリン車としてはかなり良い水準ではないだろうか?
わるいところ、微妙なところ
最大の不満点は、ステアリングスイッチが光らないこと。
光りそうな見た目をしているだけに残念。
スイッチ類の配置を覚えればそこまで苦にならないとは思うが、十字スイッチが左右に1個ずつ付いているので、配置を覚えたとしてもふとしたタイミングでどっちを操作すればいいか分からなくなりそう。
自家用車として乗るならそのうち覚えられると思うが、レンタカーやカーシェアで乗る場合はどうだろう。自分は覚えられないと思う。
ちなみに、左側のスイッチがナビやオーディオの操作スイッチで、右側のスイッチはメーター内のインフォメーションパネルの操作スイッチである。
そして、好みが分かれそうなデザイン。
自分はこのデザイン好きだが、苦手な人も一定数いそうな気はする。
でも、大衆向けのクルマでこんなアグレッシブなデザイン、内装もオレンジを差し色に使ったりと大胆なアプローチができるのは流石トヨタだと思う。
あと、そこまで気にはならなかったが、Aピラー(運転席前のピラー)が若干太いのは人によっては気を使うかも。
ベースグレードなのでヘッドライトはハロゲン。
体感少し暗かったので、ここはHIDかLEDにしたくなった。
いやぁ、いいクルマ (語彙力消失)
語彙力消失の試乗記なんて誰も求めていないと思うが、ここはあえて言わせてもらおう。
いやぁ、いいクルマ (語彙力消失) (2回目)
正直、乗ったのが3年前なのであまり印象に残っていなかった。
でも、自分の考えだと、"印象に残らないクルマ"って、
"印象に残る不満さを感じなかったクルマ"とも言えると思うのだ。
その反面、印象に残る良さを感じなかったクルマ とも言えてしまうのだが。
でも、人間は良い点よりも悪い点のほうに意識が向きやすくて印象も残るものだと思うから、その点でも"印象に残らないクルマ"ってなかなか難しいと思う。
あまりにも走らなかったりあまりにもブレーキがひどいクルマの感覚って、乗ってから時間が経っても意外と覚えているものだ。
だから、その理論で言えばシエンタは相当よくできたクルマだろう。
印象に残らない、いわば"無難"の難しさってあると思う。
少しでも極端に振ればそれは良し悪しのどちらかに振れてしまうと思うし。
タイムズのカーシェアでたまに給油職人したりするのだが、その時に久々にこの型のシエンタに乗って"いやぁ、いいクルマ (語彙力消失)" (3回目) の感覚になった。
このシエンタ、オススメです。
久々の試乗記になってしまいましたが、今回はこの辺で。
最後までご覧いただきありがとうございました!