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レンタカー試乗記 : 017 ホンダ フィット 1.5 15X (GK5)

1.5Lの余力で魅せろ

ご覧いただきありがとうございます。
毎回ヘッダー画像の雰囲気がバラバラ(ライト点いてたり点いてなかったり、ローアングルだったり、若干ハイアングルだったり・・・)ですごいモヤモヤするのは僕だけでしょうか。
いやまぁ執筆者がモヤモヤしてちゃしょうがないんですけど。

レンタカーの写真を撮り始めた初期、正面写真はローアングルでしか撮っていない傾向があって、今回紹介するフィットもそれに漏れずこのアングルでしか撮っていませんでした。3年前の自分が恨めしい。
年々完璧主義的な性格が悪化しているのはこういうこだわりのせいですね。


・・・さて、今回は3代目のフィットに乗ってきた。
現行型の1個前の型のフィットになる。型式はGK型。
フィットのガソリン車は基本的に1300ccの個体が多いのだが、今回乗車したのは動力性能に余裕を持たせた1500ccモデルの"15X"。

1500ccのGKフィットといえばスポーティなグレードの"RS"が割と有名だと思うのだが、今回乗車した"15X"は、外観はほぼノーマルのまま、エンジンをパワーアップさせたモデルである。エンジン自体はRSと同じL15Bエンジン。
少し大げさに言えば"羊の皮を被った狼"のような感じだろうか。

外観がゴテゴテしているのは好きじゃないけどパワーは欲しい、という需要にピッタリ応えたモデルである。

参考までに当時のグレード体系を。(2013年9月時点)
1.3Lガソリン…
13G(CVT):1,265,000円
13G Fパッケージ(CVT/5MT):1,360,000円
13G Lパッケージ(CVT):1,461,000円
13G Sパッケージ(CVT):1,560,000円

1.5Lガソリン…
15X(CVT):1,580,000円 ←今回の個体
15X Lパッケージ(CVT):1,680,000円
RS(CVT/6MT):1,800,000円

1.5L車と1.3L車の価格差はだいたい20万円。
そして、RSを除く各グレードに4WDも設定されている (約19万円高)
ハイブリッド車もあるが今回は省略させて頂く。



外観、内装、デザイン

先代の柔和な表情から一転、どことなくシャープな印象のフロントフェイスになった。
グリルとヘッドライトがブーメランのような一体型のデザインになっているのが印象的。

GE型(先代)前期、GR型(GK型の後継/現行)、GD型(先々代)

GR型(現行型)の記事でも使ったが、先代(画像でいうと一番左)からいきなりこのデザインになるのはなんというか思い切ったなというか。
当時のCMを見て「こんなんフィットじゃない」と子供ながらに嘆いていたものだが、今や見慣れてしまったのは人間の適応能力とも言うべきか。
それとも歳を取ったのだろうか。

こちらはRS
なぜかほぼ同じアングルになった
※写真は公式サイトより引用

ちなみにこちらは同じエンジンが搭載されているスポーツグレードのRS。
RS自体控えめなデザインだが、15Xはその上をゆくプレーンさが素晴らしい。

テールランプは上に伸びている。どことなくボルボに似ているような気もするがきっと誤差でしょう。
ちなみに伸びている部分はグレードによって光ったり光らなかったりする。

この個体は光ったが、これもまた1.3L車のみ光らなかったりするんだろうか。

リアガーニッシュはメッキになっているが、これは(おそらく)1.5L車とハイブリッド車のみ。1.3L車は黒いガーニッシュになる。先代のGEフィットもそうだったが、好みが分かれそうな部分ではある。

タイヤは185/60R15。
よく見るとJAN2213って書いてあるから、製造日は2013年の22週。
新車装着時のタイヤってこと・・・?

ホイールキャップは1.3L車とは違う専用デザインのもの。
グレイスとかにも流用されている。

エンジンは1.5L直列4気筒DOHCのL15Bエンジン。
132馬力を発生させ、トルクは15.8kg・m(155N・m)/4600rpmとのこと。もちろん油種はレギュラー。
このエンジンがまた素晴らしくて。
詳しくは"乗ってみての感想とか"で述べる。

内装。とんでもなく逆光だが、このタイミングでしか撮れなかった…
乗った個体にはインターナビが装着されていた。社外品への交換は難しそうだが、Bluetooth対応だったのは救いか。
もう少し年式が古くなるとBluetooth非対応の純正ナビが多くなってくるので要注意である。

ステアリングはウレタン。
1つ上のグレードの"15X Lパッケージ"は革巻きステアリングになる。

エンジンのスタートスイッチは左側。車種によって左にあったり右にあったりとややこしく感じるのは自分だけだろうか。
ちなみにエンジンが掛かっている間ずっと赤く点灯するので、気になる人は気になりそう。
シールでも貼って隠しておきたくなる。
"G's"とか。なんてね。

※写真は公式サイトより引用

リアシートはダイブダウン式(取っ手を掴んで前に倒す)で格納でき、フルフラットにできる。
もちろんチップアップ(座面を引き上げる)も可能なので高さのあるものの積載も問題ない。
ここはフィットのアドバンテージである。


乗ってみての感想とか

ひとまずエンジンの感想から。
"EARTH DREAMS TECHNOLOGY i-VTEC"と銘打つこの1.5Lエンジン、とにかく高速域でのパワーと長距離巡航の快適さが違う。1.3L車とは約200ccの差だが、数字で見る差以上のパワー感の違いを感じる。
どこまでも伸びやかな加速、と言うのだろうか。

大排気量のセダンやミニバンなどと比べるのは酷だが、コンパクトカーでこのレベルの走りができるのは凄いことだと思う。
1.3Lモデルにも乗ったことはあるが、そちらも十分パワフルなもののやっぱり"何か足りない"のだ。その"何か足りない"ものがこの15Xでは補われている。そんな感覚。
…と言いつつ、乗ったのが3年前なのでその感覚を明確に覚えているかと言われると首を縦には振れない。
そこは…突っ込まないでください。

車体重量が1050kgで、それを132馬力の1500ccエンジンで引っ張るのだからそれゃあ力強いよなとWebカタログを見た今では思う。
ちなみに1300ccモデルの馬力は100馬力なので(それでも普通に力強い)、1.5Lモデルは相当動力性能に余裕を持たせたんだなという感触を抱く。

にしても、どうしてもエンジンの感想だけになってしまう。素のフィットの出来が良いだけに書くこともなくなってしまうのは辛いところ。(単に語彙力がないだけ)

強いて言うなら前方向の見切りはあまり良くなかった印象だが、ボンネット自体も短いのでさほど気にはならないだろう。


いいところ

フィット元来の使い勝手の良さに、高速域の伸び、長距離巡航の快適さがプラスされた超快適マシンであること。
運転しやすさ、室内の快適さについても言わずもがなだ。税金も変わらないし、1.3Lモデルと1.5Lモデルの中古車が(年式、走行距離等近い条件で)同じ値段で出ているのであれば迷わず後者を買うべきだ。それくらいに完成度が高いクルマだと感じる。

全モデルのフィットに言えることだが、コンパクトなサイズのなかで最大限のユーティリティと使いやすさ、そして運転の楽しさが味わえるのはフィットならではの強みだろう。


わるいところ、微妙なところ

オプションでもパドルシフトが装着できないこと。
標準車が1.3Lなのにわざわざ1.5L車を買うということは、それだけ走りを求めているということ(だと思う)。なら、走りに関わるパーツはオプションでもいいから用意しておくべきではないか。
いやまぁRSを買えと言われればそれまでなのだが、おとなしい外観だけど中身はスポーティがいいという需要は一定数あるはずだ。
まぁ、パドルシフトと言えどもCVTの疑似変速でしかないから必要ない気もするが。

あとこれは色々評価が分かれるところだが、エアコンのスイッチがタッチパネル式なのはちょっと…。(1.3Lの素のモデルの13Gのみ物理スイッチ式)
ちなみに評価がよろしくなかったからなのか、後継のGR/GS型は普通の物理ダイヤル式になっている。

ポジションランプ点灯状態

そして個人的に疑問だったのは、ポジションランプの位置。
1.5L車のポジションランプはヘッドライトユニット内ではなくバンパーに付く。なんでそこにしたの。
(調べたところハイブリッド車の一部グレードもここに付くらしい)


乗り換え先に悩みそうなクルマ

このフィット、ハマる人にはとことんハマりそうなモデルだと思う。
歴代のフィットの中で唯一尖ったスタイルだし、収納や機能性も問題ない。パワートレインも革新されて新世代のものが載っかっている。

問題はそこなのである。
このデザインに惹かれて買った人は、現行型の丸っこいフィットを買おうとは思わないだろう。
GK型のフィットも登場から10年が経過し、そろそろ乗り換えようかなという人も出てきそうなお年頃。しかし、今のホンダにはGKフィットのような"尖ったカッコ良さとコンパクトさ"を兼ね備えたコンパクトカーが存在しない。

結果的に、乗り換え先が見つからないのだ。
2024年現在、ホンダのデザインの傾向は割と丸っこいデザインにシフトされているので、GKフィットのデザインセンスとは相反するような感じになっている。次期型のフィットはまたデザインの路線を変更するとか囁かれているが、果たしてどうなるか。

あと本文中でほとんど触れなかったが、MTの設定があるフィットはこのGK型までである。
現行型(GR/GS型)はMT設定がないので、この型のMT乗ってる人が「そろそろくたびれてきたから新車に買い替えるか もちろんMTで」ということになると、フィットの選択肢は無くなる。

色んな面で、本当に替えがきかないフィット。
それがGK型のフィットなのではないか、なんて思った。

最後までご覧いただきありがとうございました!


乗車個体のデータ:
年式…2013年9月
型式…DBA-GK5
車体番号…GK5-100****
グレード…15X
排気量…1500cc
ボディカラー…アラバスターシルバー・メタリック (NH700M)
ミッション…CVT
走行距離…20953km(返却時)
車体寸法(全長×全幅×全高)…3955×1695×1525mm
タイヤサイズ…185/60R15(前後)
車体重量…1050kg
最小回転半径…4.9m
エンジン…L15B型 直列4気筒DOHC
最大出力&トルク…132ps/6600rpm & 15.8kg・m(155N・m)/4600rpm

現在の状況…同一登録番号にて現役

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