9/29 sheeplore@大塚Hearts Next

 あらゆる楽器を演奏する4人のメンバーと、ドラム、VJのサポートが加わった6人体制のバンド。前方の三名はそれぞれシンセサイザーやサンプラー等とギターを手にしていて、曲によってどちらを演奏するのか(或いはどちらも演奏するのか)が変わる。後方のベーシストはベースの他、タンバリンやシェイカーを曲によって手にするマルチなバンド。わたしの大好きなバンドだ。
 最近は鍵盤の音を中心としたホーリーな雰囲気の曲が多い。しかし2曲目に演奏した"Yesode"は打って変わり、打ち込みのドラムとエレクトリックピアノの音を軸に少々ダークな雰囲気から始まるテンポの速い曲だ。注目したいのは下手後方で激しくタンバリンを叩くメンバーがさっとベースに持ち替えてソロを弾くところ。切り替えの早さと集中力が現れている。
 外国語のサンプリングから始まる"T.V.Eye"は斬新で激しい一曲。下手で長い髪を揺らしながら演奏されるギターソロはいつ観ても恰好いい。
それから、「いつでもお前を捕まえられる」という歌詞を歌っているときのボーカリストの表情にいつも多少の狂気を感じる。特に昨日の「つ、か、ま、え、ら、れ、る」と一文字ずつ短く発したときは心臓を抉られたように感じた。メロディを歌っているときの声が柔らかく奥深いからこそなおのことその変化にどきっとさせられる。昨日のこの曲はなかなかすんなり終わることなく、上手でつまみをぎゅぎゅんといじり続けるメンバーの姿にやられた。
 アンコールでは"slowdown"という長編の曲を披露。10分ある。曲中、歌の入らない部分が長く続き、楽曲の中の世界を歩いているように思える。長い間歩き、ようやく「時計の止まった町」にたどり着くように感じる。
 彼らの魅力は音楽の柔らかい部分でもあるが、実は激しい轟音を放つときもある。昨今は柔らかい方を中心にライブで演奏していると思う。大きな音で勢いよく演奏する姿もまた観たいので、今後も彼らの動向を追っていきたい。

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