アラフィフ母がC級コーチ資格を取った話
先日、サッカーのコーチライセンスを取得しました。
JFA公認のC級コーチです(JFA=日本サッカー協会)。
成り行きで取ることになったんですが、とても学びが多く、取ってよかったと心から思ったので記録に残しておきます。
C級コーチライセンスとは
サッカー指導者の国内ライセンスは、ざっくり言うとS級、A級〜D級があって、
S級=Jリーグや日本代表の監督を目指す人向け
A級=アマチュアトップレベル
B級=アマチュア全年代 基礎2
C級=アマチュア全年代 基礎1
D級=小学生年代の指導者向け
C級は子どもから大人まで指導できるコーチの基礎資格です。
受講コースにもよりますが、だいたい8日間の講習が一般的。
座って受ける講習だけでなく、サッカーの実技も指導実践も筆記試験もあります。
くわしい内容については規約があるので記せないのですが、想像よりもだいぶガチでした。結構キツかったです。
アラフィフ母のスペック
大学時代にサッカー経験あり。
離島でサッカー指導者が少ないので、我が子の所属するスポーツ少年団でコーチをしています。
コーチを始めて1年ちょっと。週に2〜3回、1〜4年生を中心に教えています。
大学時代にサッカー…とは言っても、体育系の大学や学部ではないので、レベルは高くありません。
「なでしこ」という言葉ができる前の、まだ女子サッカーが全然盛んではなかった時代に大学リーグでサッカーをしていました。
キツかったこと
体力的にもキツかったし、時間を捻出するのもキツかったです。具体的には…
母業と講習会の両立がキツかった
講習のスケジュールが「金曜の夜+土曜+日曜(を3回)」だったので、仕事の合間を縫って、金曜の夕方までに週末のご飯の用意をしたり、子どもたちを預ける手配をしたり…が地味に大変でした。
子どもたちも遠征や練習、学童などそれぞれ予定があり、その準備をさせたり、暑い時期だったので熱中症対策や十分な量の水分・氷を用意したり…。
自分のことに集中したいくらい余裕がなかったけど、ワンオペなのでそういう訳にはいきません。
講習受けている他のメンバーはみんな男性なので、「あー、こんな準備しなきゃいけないの私くらいだろうなー」とちょっとうらやましく思いました。
(ワーママあるあるですね)
とはいえ、毎度のことながらママ友たちにめっちゃ助けてもらったので、ライセンス取れたのはママ友たちのおかげです。
お泊まりさせてもらったり、お昼や夕飯食べさせてもらったり、家で遊ばせてもらったり、送迎してもらったり…。頼りになる友人たち、本当にありがとうです🙏
暑い中、男性陣とやる実技がキツかった
6月末、7月、9月上旬と、暑い最中の3週だったので、単純に暑さがキツかったです。
しかもここは屋久島。南の島ですから。
日差しもやばかったし、雨が降ったときの不快指数MAXの体育館での実技もやばかった。
男子高校生と試合をすると聞いていたので「このままでは死ぬ…!」と思い、2カ月前から少し走ったりしていましたが、微々たる準備だったとしてもやっておいてよかった。
実際に体が変わったかということより、「やることやったし」って気持ちで臨めたことが大きい。
今回の講習会、通常であれば24名でやるところを、離島なので少なめの人数で開催してくれています。
なので、本来は受講者が指導者役と選手役に分かれて指導実践をする(と思う)んですが、助っ人として高校生や小中学生が来て選手役をやってくれたので、体力的にだいぶ助けられました。
と言っても選手役も多少はやりますし、実技の講習は全部やるので、アラフィフのBBAにはそれなりにキツかったです。
とくにね、ゲーム性のある練習の場合、成人男性や高校生に負けないように!となると常にフルパワーじゃないとついていけないんですよ…。みんな手加減してくれてたとは思いますが、それでも。
ワンプレー全力でやったら息が切れまくりで脚も出なくなるので、「え、まだやるの…。正直もう交代したい…」と思いながらなんとかついていく、の連続でした。
「落ちたらやべー」のプレッシャーがキツかった
離島なのでね。
受講者みんな知り合いだし、私が受講していることを(サッカー関係)みんな知ってるし、受け直すとしたら鹿児島まで行かなきゃいけないし(必然的に泊まり。無理)、「絶対に落ちたくない」という強い気持ちがありました。
でも実技とか分析力とか「私、足りてないじゃん」と自覚することも多くて、「足りない部分は他でカバーしなきゃ」とわりと必死でした。
筆記に関しては、受講前「筆記は大丈夫だろ」と高を括ってたんですが、実際に講習が始まってみたら覚えなきゃいけないことがたくさん。
「やばい、ここ出たら落ちる」みたいなところがちょいちょいあるのに、学習する時間がなかなか取れなくて焦りました。
宿題のレポートや受講必須のeラーニングもあるので、日々の生活を回しながら、さらに学習もするのはまあまあ大変。
これから受講する人は、この辺の宿題を早めに済ませるの推奨です。あっちゅー間に試験日が来ます。
楽しかったこと
「キツかった」と相反するようですが、めちゃめちゃ楽しく充実した日々でした。
終わってホッとしている反面、寂しく思う自分がいます。
サッカー漬けの日々がただただ幸せだった
1日中サッカーのことを考えて、サッカーして…という生活は、幸せ以外の何者でもありませんでした。
子どものことも仕事のことも夕飯のことも考えず、どっぷりサッカー漬け。
サッカーの映像を見て分析して、サッカーについて、指導や育成について、ほかの受講者の方たちと意見を交わす。
座学が終わったらグランドに出てサッカー。夢のような日々でした。
学生時代の部活みたいで楽しかった
結局は、暑いのも、体力的に追い込まれるのも結構好きだという話。
部活の合宿を思えばそこまでキツくないし、サッカーできるの幸せだし、日焼けで顔の上と下半分の色が変わってしまったけど、帽子かぶってればわからないからまあ良い。
島のコーチ陣(もともと顔見知り)とも仲良くなれたのが良かったです。
試合会場でお会いするときも壁がなくなりました。
チューターさんの話がすごかった
最終日に懇親会を開いていただき、みなさんと親交を深めたんですが、チューター(講師)さんがどえらい経歴の持ち主で、話してくれる持ちネタがどれもすごすぎておもしろかったです。
だって、いきなり「私の師匠はクラマーさんというんだけど…」とか言い出すんですよ。
えっ!? クラマー??? って、クラマー? あの「日本サッカーの父」!?
冗談かと思ったら本当で、あのデットマール・クラマー氏でした。
歴史上の人物だと思っていましたが、この日から私は「クラマー氏の孫弟子」ということになりました。すげー。
普段ならこの流れで私の鉄板ネタ(日本代表の誰々と合コンしたとか六本木で誰々にナンパされたとか)を出すところですが、とてもクラマー氏とは並べられないのでそっと胸にしまいました。
講習を受けて良かったと思ったこと
前知識がまったくない状態で講習を受けましたが、非常に学びの多いものでした。
良かったと思う理由は次の3つです。
サッカーの基本を体系的に理解できた
教えなきゃいけないことがクリアになった
育成年代を担当することの責任感をひしひしと感じた
サッカーの基本を体系的に理解できた
私たちの年代で、サッカーを基礎から体系的に指導されてきた選手って少ないんじゃないかと思います。よほどのエリート以外。
私は大学時代、複数の学生コーチにサッカーを教えてもらいましたが、技術や戦術などその時々でセオリーを教えてもらうものの、それらひとつひとつはバラバラのもので、言わば「コーチ陣が(選手として)教えられてきたことの集合体」といった感じでした。
(おそらく40代以上のサッカー経験者のほとんどはそんな感じで指導されていますよね)
なので、私もひと通りの基本は教えてもらったものの、細かいところでは抜け落ちている部分もあるし、人に教えるほど自信が持てないもの(とくに自分のポジションじゃないやつ)…なんてのもありました。
ほとんど大体わかっている。けど、わかっていないものもあるかもしれない。そして何がわかっていないかはよくわからない。
今回の講習ではそんな「ボヤッと理解していた〝サッカーの基本〟」を、しっかりと整理された理論やメソッドとして教えてもらい、頭の中ではっきりとした輪郭を持てた。そんな感じです。
教えなきゃいけないことがクリアになった
子どもたちと関わっていて、一番良くないのは「教えすぎること」だと思っています。
それは講習を受ける前も受けた後も変わらず。
けれど、「教えなさすぎるのも良くないんだな」と思うようになりました。
とくに技術や基本的な戦術に関しては、手本を見せたり、何をどうしたらできるようになるかアドバイスすることもすごく大事だなと思いました。
子どもたちに考えさせること、自分で決めさせることが一番大事だと思っていたけど(まあ今も)、その前に基本がないと考えるところまでいかないよね、というか。
守破離というか。
育成年代を担当することの責任感をひしひしと感じた
もうね、一番は間違いなくこれです。
可能性の塊である子どもたちの「サッカーが好き!」という気持ちを守りつつ、基礎をしっかりと積み上げて次の年代のコーチに繋げる。
この使命感と責任感を持てたことが、C級講習を受けて一番「良かったこと」です。
今までの私は「子どもの〝サッカーが好き!〟を守りたい」だけでした。
ずっとサッカーが好きでいられるように自主性を重んじるモチベーターでいたい。
そしてうまくなったらもっとサッカーが楽しくなるから、上達させてあげたい(←でもどうやって?)。
この「どうやって?」の部分もクリアになったことのひとつですね。
「指導者にライセンスは必要か?」という議論はつねにありますが、少なくとも育成年代に関しては「あったほうが子どもたちのためになる」と思いました。
受講を迷っている方がいらしたら、「ぜひ!」とおすすめしたいです。
労力もお金もかかりますが、得られるものも大きいです。
そして、最後に。
C級の講習中ずっと感じていたのは、私に関わってくださったコーチのみなさんへの感謝です。
コーチのみなさんがサッカーの基礎をしっかり教えてくださったおかげでC級取れました!
そして楽しさを教えてくださったおかげで、この年になってもサッカーと離れられずにいます☺️
ありがとね〜。
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