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縦割り110番に"自動車運転免許試験の民間教習所等への移管"の提案と、その結果に対する行政文書開示請求をした件 -開示決定と考察編-

  1. プロローグ

  2. 縦割り110番

  3. 開示請求

  4. 再請求

  5. 開示決定と考察

政治家に声を届けるウェブサイト"Polipoli"にて、今回縦割り110番で提案したのと同内容の政策提案を行っています。もしよろしければ賛同をお願いします。

自動車運転免許試験の民間教習所等への移管


開示決定

結果、以下の通り開示決定された。
丙運発第16号はWebで読めるので、補正のリストにはチェックを入れなかったため開示決定には含まれなかった。


開示された文書

以下が今回開示された文書一式。

その後、"丙運発第16号"については、その文書のどこが今回の請求内容に合致しているのか、電話で問い合わせて、警察庁の情報公開担当から担当部署(交通局?)に確認してもらった。その結果、"第12 試験官"の部分が該当しているとの回答を得た。

以下の私の請求内容に対して

③本提案が実現され運転免許試験の技能試験を民間に委託して実施した場合に交通の安全の確保ができないこと、およびその根拠が分かる一切の文書。特に、道路交通法第九十九条による指定を受けた民間の自動車教習所 (以下、指定教習所とする)においては現状でも同条の 5 第1 項の通り技能試験を実施しているわけであるが、これに比しても本提案が実現した場合に有意に交通の安全の確保ができないこと、およびその根拠が分かる一切の文書。
④本提案が実現され運転免許試験の技能試験を民間に委託して実施した場合に、指定教習所を含む民間にて実施される、道路交通法第九十九条の二第四項に定められた技能検定員による技能試験が、現行制度で行われている公安委員会において指定された警察職員により実施される技能試験と同等に交通の安全の確保に足る技能を担保できないこと、およびその根拠が分かる一切の文書。

この特定文書の箇所のどこが合致すると判断したんだろう?

第12 試験官
1試験官の指定
規則第24条第8項に規定する公安委員会の指定は、指定書を交付して行うものとする。
2 試験官の資格要件
試験官としての資格要件は、次のとおりとする。
(1) 巡査部長以上の階級にある警察官又はこれに相当する警察職員であること。
(2) 25歳以上の者であること。
(3) その者が従事する試験に用いられる自動車に係る免許(仮免許を除く。)を現に受けており、かつ、大型自動車、中型自動車、準中型自動車又は普通自動車の運転経験の期間が通算して3年以上の者であること。
ただし、二輪車に係る免許についての試験にあっては、二輪車の運転経験の期間が通算して3年以上の者であること。
(4) 交通の方法に関する教則の内容となっている事項、技能試験の実施に関する知識、自動車の運転技能の評価方法に関する知識、技能試験官として必要な運転技能及び自動車の運転技能に関する採点方法など必要な知識を有する者であること。
3 試験官の教養
(1) 試験官として新たに指定を受けようとする者(以下「新規指定者」という。)及び試験官の職から離れていた者で再度試験官として指定を受けようとするもの(以下「再指定者」という。)に対しては、次の表に掲げる区分に応じ教養を行うものとする。
ただし、交通警察業務について相当の経験を有する者が教養を受けようとする場合には、適宜、教養の科目及び時間の一部を省略することができる。
(表は割愛)
(2) 試験官に対し、技能試験の実施に必要な事項について、月10時間以上の教養を行うものとする。

的外れ過ぎて意味が分からないし、困惑する。文盲にも程があると思うのだが、我が国の行政能力はかくも低劣なのだろうか? ちょっと戦慄する。
私が請求した内容の文書が存在しないのであれば、まだ素直に"不存在"を出してくれた方が誠実だと思う。縦割り110番において、根拠もなく"対応不可"とした対応は言語道断ではあるが、百歩譲って"不存在"であれば、まだ行政の不作為や怠慢を証明する証拠になる。素直に過ちを認めることこそ真摯な態度だと思う。請求内容に合致しない文書で強弁して開示決定を打ってくるやり方は不誠実で不適切だし、卑劣だと思った。
電話でやり取りした際、警察庁の情報公開の担当者の方にも同情された。でも、警察庁の担当部署としては上記回答になるとのこと。釈然としないし、ちょっと意味が分からないが…

まとめと考察

Fact

  • (少なくとも警察庁において)縦割り110番の提案に対して大した検討もなく対応可否を判断している。

  • 上記にも関連するが、(少なくとも警察庁において)縦割り110番の提案に対して明確な根拠を以って対応可否を判断しているとは限らない。その判断は、回答作成者個人に委ねられている可能性がある。

"対応不可"の方針を決めたのは誰か? 

以下は、あくまで私の考察。
開示された資料を見る限り、警察庁企画課の某警部が本提案を否決したように見える。しかし、いくら決裁を経ているとは言え、所詮一介の警部の一存で、何の相談や指示、組織的な検討もなく、国家行政としての方針の可否を判断することなどあり得るのだろうか? もちろん公文書に残っていないだけで口頭による指示等が行われていた可能性もあるが、そうであればその記録が一切残っていないのは大いに疑問だし、個人的には大変懐疑的である。
警察庁に"縦割り110番担当"みたいな専門の担当者がいるのかは分からないし、その提案に対して例えば組織的に"原則、対応不可"等の方針があるのか、個別案件に関してそれぞれ検討を行っているのか、シンプルにその対応可否の判断は担当者個人の裁量に任されているのかも分からないが、いずれにせよかなり雑で杜撰な検討に基づいて判断が下されているのは否めない。
これでは、"国民の声を行政に反映する"と言うせっかくの"縦割り110番"の制度を形骸化させかねないし、恣意的な意思決定により行政を不当に歪める結果にもなりかねないと感じる。

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