【ブックカバーチャレンジ4日目】 「ざっくり分かるファイナンス」(石野雄一)
※Facebookで投稿した記事を転載したものです
4日目は3大経営資源「ヒト」、「モノ」、「カネ」で言うところの「カネ」にカテゴライズされるこちらの書籍です。
2012年に本書を手にしています。
私の周囲でも、「カネ」は敬遠されることが多く、アカウンティングは日頃の業務で馴染みがあっても、ファイナンスは「ちょっと・・・」と不人気だった感は否めません。
かく言う私もそうで、それまでのビジネスマン人生でP/L(損益計算書)は業務で使いましたが、
B/S(貸借対照表)を深く勉強することはありませんでした。
当時、会社ではIR部に在籍していました。
IRとはInvestor Relations のことで日本語に訳すならば投資家向け広報といったところでしょうか。
当部で、機関投資家向け、最後は個人投資家向けの対応も少し経験できました。経営、会社の見方が一枚も二枚も厚みが加わった経験でした。
投資家、資本市場に向き合う仕事は初めてで、投資家や証券アナリストさんが何を重視し、経営に何を期待しているのかということを深く理解するには、企業価値、資金調達、資本政策、投資などに係るファイナンス理論を学ぶ必要がありました。
本書は、それらを端的かつ雄弁に語ってくれ、ファイナンス初心者だった私の好奇心を大いに喚起してくれました。
いい入門書に出くわせたことは運がよく、その後、類似の図書を濫読、精読しながら、実務での気づきも相俟ってファイナンスを面白く学んだことを思い出します。
当時、当社は足元で他社の勢いに押されており、私がIRに在籍した3年間は連続減益で、まさに逆風のIRを強いられた時期でもありました。投資家さんから経営陣が厳しく質問されているのを間近で見て、身が引き締まる思いがしたものです。(私のような1係長には手加減してくれました笑)
決算発表直前は稼働が急激に上がらざるを得ず、2週間前ぐらいからどんと忙しくなり、週末出社、最終週は明け方まで深夜?残業し、決算発表当日は眠くて仕方がなかった記憶が蘇ります(笑)。
それでも、経営陣のメッセージを咀嚼し、全社各部の皆さんからの豊富なデータ提供等の協力を得て臨む決算発表は、
「舟を編む」作業のようでもあったなと今では良き思い出です。
皆さんの協力を得て完成したマテリアルは、決算発表、その後の投資家からの取材、海外ロードショーと随所に活躍してくれました。
各種イベントの中でも、海外ロードショーは特に貴重な経験でした。
役員さんに随行する形で、欧州、米州東海岸、西海岸、アジアの有力投資家さんを訪問し、質疑を交わすものです。
何とか役員をサポートしなければという緊張感で過ごしつつ、約1週間行動を共にしたのはビジネスマンとして得難い経験でした。
また、投資家からの取材では、スピーカーとして対応する機会に恵まれ、皆で固めたスタンスを踏まえながらも、借り物の言葉ではなく、自分の言葉で語りたいという気持ちが強かったので、独自に知り得た状況や知識、言い回しも駆使しながら、対応しました。上手いか下手かは投資家さんの評価を仰ぐしかありませんが、会社を代表して話すという当該業務は私が好きな業務でした。
「逆風のIR時代」ではありましたが、上司、同僚の精鋭の皆さんと過ごせたことは私にとっての財産です。
一方で、優秀でエッジの立っていた同僚に比して、自身に特長があまりないと自覚し、もっと尖っていきたいなという思いが宿ってきたのもこの時期でした。
当時、ビジネススクール(グロービス)に通って様々なバックグランドの友人と交流したことも拍車をかけていったのでしょう。
本書で学んだように、目先の利益を追求する「PL型」的な考え方ではなく、私自身もファイナンス的思考に立脚して、未来志向、長期思考で将来に渡る自身の提供価値、キャリアをどう最大化していくべきか、そんなことを改めて考える遠因になった時代でした。
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