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【ブックカバーチャレンジ6日目】 「限界の正体」(為末大)

※Facebookでの投稿を転載したものです。また、本書については以前ブログ記事でも読書録を纏めているので併せてご参照くださいませhttps://note.com/wildcard_koto/n/n85b11500b855

6日目は元陸上競技選手の為末大さんの著書です。
為末さんは、2001年(エドモントン)、2005年(ヘルシンキ)の世界選手権で、400mハードルで銅メダルを獲得。
この種目で日本人でメダルを獲得したのは為末さんただ一人であり、2001年大会でマークした47秒89は、19年経った今も日本記録として燦然と輝いています。
個人的に、為末さんとは同い年で私も高校時代陸上競技者だったことから、「陸上競技マガジン」で為末さんのことは高校の時から知っています。
2001年大会、2005年大会の両銅メダルは日本人として誇らしかったですが、特に2005年大会は「もう為末は終わった」とも言われていた頃で、そんな逆境を跳ねのけて大雨が降りしきる決勝で倒れこみながらゴールし、メダルを獲得したときの感動が今も鮮明に頭に残っています。
2012年の現役引退後は、自ら起業し、アスリートの支援を行う傍らで、積極的にメディアを通じてスポーツのみならず、幅広くOpinionを発信し、様々な気づきを与えてくれています。
そんな氏の著書を手にしたのは、2016年の夏のことです。私が初めて転職してから数ヶ月の頃でした。
本書はこんなメッセージで始まります。

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限界を感じるとき、世間では、
「圧倒的な努力が足りない」
「やればできる!強く願えば、夢はかなう」と更に頑張る方向で圧力がかけられます。中略
しかし、本当にそうなのでしょうか。僕はスポーツの世界に関わる中で、意識すらせずに、すんなりと限界を突破する事例を沢山見てきました。中略
「日本人はメジャーリーガーでは通用しない」という野球界の常識も、野茂選手の活躍によって完全に過去のものとなりました。
今では毎年のように多くの選手が海を渡り、結果を残しています。
僕は引退したあとも、人間の心について学びながら、限界について考え続けてきました。その結果、一つの仮説に至りました。
「限界とは人間が作り出した思い込みである」
「人は、自分で作りだした思い込みの檻に、自ら入ってしまっている」
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もうここまで読んで、すっと本の世界に引き込まれていったのを思い出します。
各章では、自分を信じることの重要性や、自分はやれるという自信の培い方、無意識で取り組むことの重要性など説得力のある考え方が目白押しで、付箋も多く貼られています。
転職後自分が思うようにパフォームできず、「やっぱり35歳を過ぎての転職は限界があるのかなー」とか自信が持てなかったり、後ろ向きになってしまうことがしばしばあった時でしたので、氏の考え方は膝を打つ感覚があり、深く心に刺さりました。
私はトップアスリートの本は好んでよく読みます。
勿論スポーツが好きであることから、無意識的に手にしてしまう面はありますが、一歩引いて考えたとき、トップアスリートの思考は研ぎ澄まされていると感じるからです。
ビジネスはまだ「見せ方」の世界があります。利益は償却期間等で前倒しや後ろ倒しもテクニックとしてできてしまいますし、プレゼンテーションで印象を変えることもできます。(必要なスキルですし、やましいことはないことが前提です)

でも、アスリートは起こっていることが全てで、言い訳が全く通用しない究極の世界で生きているというのが私の見方です。
特に陸上競技は、「判定」や「見解」の余地がありません。
為末さんの場合は長年トレーニングしてきて、本番は50秒足らず。
その間全てを無駄なく出し切らねばならず、そのための思考錯誤、創意工夫は相当なものだと推察されます。
才能も必要でしょうが、思考の深さも一流でないと、きっとトップには居続けられないでしょう。
現役を引退しても、輝きを増している同い年の為末さんを横目に、私は私の世界で成長を続けていきたいと思います。

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