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都市崩壊と暴動と人心荒廃の解像度がアホ高い異常シナリオのアークナイツをやって理性を溶かせ

ガチャ課金をマネタイズとして設計されたゲームにとってキャラクターが「商材」であり、ざっくりいえばお客さんにはキャラクターという「商材」を買ってもらうのがソシャゲの基本的な構造です。なのでソシャゲにおいて構築される全ては「商材」を際立たせるための従属物であり、ゲームシステムも、シナリオも、全てキャラクターのために設計されキャラクターの売上のために存在します。

という基本的なソシャゲの構造をパワーでぶっ壊しに来ているのがアークナイツです。ヤバイ。どうヤバイかっていうとシナリオがヤバイ。シナリオでキャラクターという商材を売る気がゼロであり、その代わりに延々と都市崩壊と暴動と人心荒廃の様子を克明に執拗にそこまでやるかってくらい描き続ける狂気みたいなシナリオになってるところです。端的に頭おかしいので是非読んで欲しいという話を今日はします。

都市崩壊に対する異常な執着

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まず聞いて欲しいのですがこのゲーム、序盤のシナリオは面白くないです。なんで面白くないかというと、いきなり「この都市は崩壊する!暴動が発生している!逃げなきゃ死ぬ!」という混沌とした状況に放り込まれ、仲間がバタバタ死んでいきながら逃げ回る様子を延々と見せられるだけだからです。

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挨拶代わりに死体オブジェが輝いているの図

この世界には『モータル・エンジン』みたいな移動都市がいくつもあって、そこで不治の病の感染者が差別されたり逆に感染者が健常者を襲ったりしてる地獄みたいな感じです。お話はその移動都市の一つがいきなり崩壊する話から始まります。

「チェルノボーグ」というロシア風の移動都市が天災と暴動によって破壊される話なんですが、そんな都市をひたすら逃げ回る辛い話が1章。そんな1章をなんとか読み終わると、次に始まるのが「龍門」という中国風の都市が陰謀と暴動によってボコボコされる話なんですよ。なんかもう永遠に都市崩壊の話が続くんですよねアークナイツ。

主人公の相棒でありメインヒロインの「アーミヤ」の姿は見たことある人も多いと思うんですが、少なくとも1章読んだだけではアーミヤが全然可愛くない。ただの鉄の女。何しろ絶賛都市崩壊中であり一步間違えば全員死ぬ!みたいなローカル極限状態なのでヒロインムーブしてる暇なんか無いといえばそうなのですがそれにしても可愛い描写がない。じゃメインヒロインアーミヤちゃんのメインヒロインムーブを犠牲にして何に項が割かれているかというと都市崩壊に伴う人々の残虐な死に様なんですよ。

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都市に暴徒が集まりまくってるので当然といえば当然なのですが人がバンバン殺され、悪役は死体の山を積み上げてオブジェを作っていく。この世界はこういう世界です、というのを見せるにしたって限度があんだろみたいな暗く辛い話が莫大な文字数で克明に描かれていくんです。

まだまだ続くぞ都市崩壊

さらにすごいのは、この1章で破壊され尽くしたチェルノボーグという都市がその後のイベントシナリオやらなんやらで徹底的にこすり続けられるところ。主人公たちが暴徒やら悪役やらと戦ったり逃げ回ったりしてる時期、学校に閉じ込められてしまった学生たちがどうなったか?みたいなシナリオがあるんですがそれがまぁ晴らしい。

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閉じ込められた学生たちは派閥を作って生き残りの道を探し、やがて物資が尽きて互いに奪い合いを始め、最終的には……みたいな話がちゃんとあります。生き残るために級友を殺すとか食料がなくて食べていはいけないモノに手を出すとか……どれだけ辛い話をすれば気が済むの。

とにかくシナリオを読み進め世界観の理解が進むほどに「つらい…」「かわいそう」「どうしてそんな悲しいこと言うの」という気持ちが積み上がっていきます。

ここで強調したいのは、シナリオにおける「都市崩壊に伴う描写への異常な執着」です。くどい、しつこいといえるほどに人心荒廃が荒廃し人々が殺し合い秩序が壊れていく様が描かれる。まるで見てきたのような解像度で。これを書いた人は「秩序が崩壊する様」を生で見てきたことがあるんじゃないかと疑いたくもなります。

ソシャゲでそんなシナリオやる!? いえ辛い話をやるソシャゲは別にアークナイツに限らないんですが(そもそも大陸系ソシャゲ、悲しい話好きすぎない?)、アークナイツのすごいところはマジでシナリオでキャラを売る気がないんですよね。最初の話に戻りますが、本来ソシャゲにおけるシナリオの仕事は「キャラクターの販促」です。FGOやプリコネなんかのシナリオがわかりやすいですが、新キャラをガチャで引いてもらうために新キャラの魅力をアピールするようなシナリオを作るのが基本です。その点アークナイツは最初からシナリオでキャラクターを売る気がないです。なんなら新キャラそっちのけでキャラの過去話(だいたいつらい)とか始めるし、新キャラが1ミリもシナリオに出てこないまであります。

頭おかしい。異常シナリオです。

シナリオに頼らないつよつよゲーム部分

なんでそんな異常シナリオが書けるかというととにかくゲーム部分がしっかりしてるからです。基幹ゲーム部分のタワーディフェンスの出来がめちゃくちゃ良いです。ソシャゲとは思えないくらいめちゃくちゃ遊べます。

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要するに端的にゲームとして出来が良い。出来が良いゲームは楽しいので、使っているうちにキャラクターたちに愛着が湧いてくる。キャラクターを好きになれるので各種商材が売れる……という非常に健全なマネタイズ戦略になってます。とはいえアークナイツがどれだけ楽しいかについては他の人が無限に語ってる気がするのでここでは書きません。

販促はタワーディフェンスゲーム部分で十分(ガチャはキャラの性能で十分回る)ので、シナリオは販促の制約を離れて好き勝手できてしまうわけです。そこで生まれたのが上記の異常シナリオ群なのではないか、と考えられるわけです。

誤解を恐れずに言うと、ぶっちゃけ販促の制約から時離れた結果「趣味が爆裂したシナリオ」になってるんじゃないかと思います。いや、徹底して同じテーマのシナリオを貫くことでブランドイメージが……みたいなお上品な考察もできるっちゃできるんですが、私はもう「趣味じゃん!!」でいいと思ってます。それくらい爆発してます。「かわいそうな女の子大好きですねあなた!!!!!!」という感じ。私も大好きです。かわいそうな男の子も大好きです。どんどん曇らせていこうな。

つまりめちゃ出来の良いゲームだからこそ販促から離れたシナリオが出来て、その結果ギンギンに尖ったシナリオが爆誕しちゃったよ、という話です。

年末はアークナイツで理性を溶かせ

とにかく異常なシナリオなので読んで欲しいんですが、今から始めるのはちょっと……と躊躇する気持ちもわかります。ですが今なんとアークナイツはサービス開始一周年記念を迎え、色々キャンペーンが開催されているんですよ!!

なんか34回くらい無料でガチャ回せるらしいです。ガチャ回すと気持ちいのでとりあえず回してください。ついでにシナリオ読んで人が死んだり街が燃えたりするのを見てドキドキして欲しいです。

ぶっちゃけ私、アークナイツの戦友(フレンド)少ないんで、誰かに戦友になって欲しくて今キーボードを叩いています。誰かアークナイツを初めて私の戦友になってくれマジで。



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